プロローグという名の賊退治
こんな感じの話になる予定。三日坊主なのでどこまで続くかわかりませんがよろしくお願いします。
「――へっへっへ、死にたくなけりゃあその姉ちゃんたちを置いていきなっ」
7人の野盗が下卑た笑みを浮かべ、安物くさい武器を手に道を塞いでいる。
対するこちらは俺を含めて3人。数的不利。
だがしかし――連中が待ち伏せていることを俺たちは知っていた。
慌てず騒がずポケットに手を入れると、そこに入っている物を拳に握り込む。
「命が惜しければ、失せろ」
「あぁん? バカかてめえは。この状況が――」
「ふっ、警告はしたぞ?」
先手をくれてやる義理はない。言い切らせずに、動く。
「ちぃっ! ヤロウ、突っ込んで来る気か……!?」
まさか。俺は多人数を相手に接近戦を挑むほど馬鹿じゃないし、何よりそんなに強くない。
俺が前へ動いたのは助走。ドッジボールやら遠投やらで行う、それだ。
ステップを踏みながら腕を振りかぶり、少し慌てたように武器を構える野盗どもへ――。
「必殺! えたぁぁぁぁなるふぉーすぶりざああぁぁどぉぉぉっ!!」
必殺――ならぬ、必睡の礫を投げつけた。
「なんだっ!?」
「何か投げ――」
この野盗どもは見るからに防具がしょぼい。わずかでも攻撃が通れば俺の勝ちだ。
「つっ……!」「むっ……」「くっ」「……っ」
俺が投じた小石に肌を打たれた前衛の4人がわずかな呻き声を発して、地面に倒れ伏した。
「なんだとっ!?」
「ふっ……! そいつらは我がスキルにより二度と目覚めない眠りについた」
「ば、バカな……! そんなスキル……聞いたことねえぞっ」
「ユニーク・スキルなもんでね」
「マジかよ……」
「お、おいっ……サントーッ!?」
「触るなっ!」
俺の声に、仲間へ手を伸ばそうとしていた野盗が体を硬直させる。
「その眠りは伝染する。触ったが最後、お前も眠ることになるぞ?」
「ぐっ――」
「バカどもがっ……! ンなもんハッタリだ! 寝てるだけだ! さっさと起こしてやれっ!」
「い、いや、けどよ――」
「ヤツの話がホントなら、わざわざ言う必要ねえだろうがっ!?」
「――ハッ! そ、そうかっ!」
「そうだ! わざわざ止めたってコトは、そうされると困るってことだッ」
ぐぬぬっ、バレただとっ!?
「寝てるだけだ、早く起こして回れっ!」
頭らしき男の命令に、残った2人が動き出す。
「ぐ……!?」「……おぁ?」
だが、俺の言葉通りに――眠った連中を起こそうとした2人もまた、倒れた。
倒れてしまった。
「ば、バカな……」
ただひとり残った頭が、呆然とした声を漏らす。
ちなみに俺の口からも同じ言葉が出ていたのだが、相手には聞こえていなかったようで幸いだ。
「我が主の好意を無下にするとは愚かなことを――」
答えを告げたのは、女の声。
お、おおおおっ、そうか! リーンがやったのかっ!
思わず振り返って、従者を見る。
彼女が仲間を起こそうとした2人を眠らせ、さらに起こされたはずの奴らを再び眠らせたのだ。
「く、クソがぁぁっ! おいっ、女に当たっても構わんっ、男を射殺せっ!」
周囲の森へ向けて、声を発した。
「おいっ! どうしたっ!? 早くうたねえかっ!」
その怒声は虚しく響くだけ。
野盗への援護は一向にやってこない。
「甘いな、伏兵はお前たちとの遭遇前にすでに殲滅済みだ」
「なん、だと……」
「自分たちが狩る側だと思っていたか? ――残念、お前たちは狩られる側。ネギをしょったカモだったのだよ」
「アカシ様、いまいち意味が……」
「ごほん。というわけで、お前も我が剣の錆となって消えるがいい」
そう言いながら、俺は腰から剣を抜く。刃などこれっぽっちもついていない木刀を。
「――調子に乗りやがって……ぶっ殺してやらぁぁぁっ!!」
頭が長剣を振り上げ突っ込んでくる。
2メートル近い大男なので迫力はなかなか。だが傭兵崩れにしては素人臭い。
……まあ、弱かったから犯罪者に転落したのかもしれないが。
俺は木刀を上段に構え、敵が間合いに入――る遙か前に、腕を思い切り振った。
頭頂部の刃を飛ばす某ウルトラヒーローの必殺技的なイメージで。
近距離から投じられた木刀は防御も回避も許さず、どかっと野盗親分に命中。
突っ込んできた勢いのまま眠りに落ちた男は、大地と熱い抱擁を交わし、さらに地面と濃厚な口づけをしながら滑っていった。
顔面が気の毒なことになっていそうだが、俺は悪くない。
木刀を拾い、腰に差しながら言い放つ。
「――安心しろ、峰打ちだ」
かくして。
俺たち<シエスタ>一行は『賊退治』の依頼を達成したのだった。




