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第7話 開幕!公式大会団体戦! 前編

 オレは神牙ハルキ!今日はバーストギアの公式大会の団体戦にバーストギアクラブとして参加するぜ!今日は朝の7時半に公園に集合になってんだ。大会は9時に始まるらしいけど、それまでは出場チームの確認とか、バーストフィールドの配置とか色々見れるんだってよ。アイナは出場チームの確認を長めにしたいから、早めに行くことになったんだ。ショッピングセンターまで30分以上かかるからな…。


 オレはいつも通り早起きをして、少し早めに公園に行く。うろ覚えラジオ体操で、長距離歩く準備を万端にしておく。

 公園に設置されてある大きな時計の針が3を指した頃、アイナが1人で公園にやってきた。

「おはようアイナ!早いんだな」

「おはよう、神牙。楽しみで、動きたかった、だから、途中、スキップも、した」

 表情を変えないままアイナは話す。言葉では楽しそうに見えるが、顔はまったく楽しそうには見えない。

 ベンチに座っているオレに対して、アイナはずっと滑り台を滑ったり、誰かが作ったまま放置されている砂山に枝をさしたり、ブランコを立ち漕ぎしたり、落ち着きがない。アイナの楽しいの表現はこういうことなのか…?

「…そういえば、先週さ」

「ん?何?」

 ブランコから飛び降りると、走ってアイナは近寄ってくる。

「ほら、癖の話、してくれただろ?欠けてるとかなんとかも」

「言った」

「あれ、もっと詳しく聞かせてもらえないか?」

「…確証がないことをあなたにたくさん伝えることはできない。だから、ムリ」

 あの日のようにアイナはスラスラと話す。アイナにも癖があるとすれば、カタコトの喋り方ということなのだろうか。そのカタコトの喋り方をやめると、バーストギアが弱くなる?うーん、答えがわからない分、なんにもできない。

「カクショウがない…か。よくわかんねーけど、言いたくないってことだよな!」

「…神牙、バーストギアより、国語、学ぶべき」

「アイナが難しい言葉ばっかり使ってくるからだろー!」


 7時半にショウが公園に到着し、3人でショッピングセンターへと向かうことにした。やっぱり30分は長く感じる。

「楽しみだな!どんな人が参加するのか!」

「そうだね。S4とかの強いチームがいなければいいんだけどね…」

「別に、アイナ、勝てるから、いい」

「…アイナが勝ててもオレと神牙は勝てないかもしれないんだからね」

「オレ1週間、2人に言われたやつちゃーんと練習したんだぜ!」

 そう、オレは先週ショッピングセンターの帰り道、アイナとショウが普段やっている練習方法を短い期間だったけどやらせてもらった。

 アイナはひたすら強い人の試合を見るらしい。あとはアリナと一緒にバーストギアをやる…。オレもとにかく強い人の試合を見ることにした。アルイナ、暁ユリカ、ノースシャドウ…ランキング上位の3人の試合を見るだけでも少しはバーストギアがわかってくるかと思ったが、強い人たちの試合はレベルが違いすぎて何もわからなかった。

 ショウはとにかく試合をやって、カスタマイズを見直すとのこと。オレもアイナ、ショウ、2人が用事があるときはアオイと一緒に児童館でバーストギアをやっていた。やっぱり、バーストギアって楽しい!…全部負けたけど。あと、カスタマイズを見直そうと思ったけど、オレ…ブレイジングファング以外のカスタムギア…持ってないんだよな。だから見直すこともできなかった。

「ま、ほとんど意味なさそうだったけど!」

 アイナとショウが少し呆れたような顔でオレを見る。2人の練習方法ではどうにもならない。あーオレもそういうの考えないとなのか…。


 ショッピングセンターにつくと、オレたちと同じように出場チームの確認を早めにしたいからか、たくさんの人がいた。

「まず、受付」

 アイナに袖を引っ張られ、カウンターの方へ向かう。予選大会で5回勝った時に児童館でもらった出場認定証をカウンターで提示し、予選大会のようにチーム名、出場する人、全員の使うカスタムギアを書くことで、団体戦に参加ができる。

 カウンターの人から名札をもらい、それを大会の時につけるそうだ。

「よし!次はどうすんだ?」

 アイナから名札をもらい、パーカーのポケットに入れ、次にやることを聞く。

「開店時間、待つ」

「…え?」

「開店は9時。神牙暇つぶしとか持ってきた?」

「な、ない」

「オレマンガ持ってきたからさ、一緒に読もう!」

 ショッピングセンター入り口前に設置されているベンチでオレとショウは座る。ショウは背負っていたリュックからマンガを取り出そうとしている。アイナはベンチの前に立ち、団体戦に参加すると思われるチームを眺めている。

「じゃーん!バーストギア!」

「あ!ロッコロのやつじゃん!」

「そう!オレ最初はマンガの方から好きになったんだよね…」

「へ~、なんかショウってマンガ読む印象ないな…」

「まあ、バーストギア以外のマンガは読んでないから、合ってはいるかもよ、その印象」


 一方、バーストギアクラブがいなくなった後の公園で、アルイナとノースシャドウが集まっていた。

「は~ぁ…。久しぶりね、ノースシャドウ。身長伸びた?」

「伸びるわけないだろ、こんな短期間で」

 あくびをしながら公園にやってきたアルイナと、ベンチの近くでうろ覚えラジオ体操をしていたノースシャドウ。

「今日は、団体戦見に行くの?」

「ああ。バーストギアクラブが出るからな」

「最近そればっかりね」

「そりゃ、気になんねーのか?児童館の強いやつ2人に、よくわかんねー個人開発ギアを使う神牙ハルキ。もし誰かが個人戦で勝ち上がってきた時のためだよ」

「負けると思ってるの?」

「…少しな」

 アルイナが公園から出ていこうとするので、ノースシャドウは少し走って追いかける。足を念入りに動かしても、少し痛む。


 アルイナはどんどんと前を進むのに対して、ノースシャドウは歩くのが遅い。

「…あんた歩くの遅くない?」

「いつもこれだよ。…足が痛いんだよ」

「ふーん…」

 ノースシャドウが隣に来るまでアルイナは歩くのをやめ、次はノースシャドウが歩くスピードに合わせる。アルイナは開店の何十分も前に集合するのはなぜかを疑問に思っていたが、このスピードなら、納得の集合時間だと思った。

「…先週もショッピングセンター行ったんだ」

「え?そうだったの?私も行きたかったんだけど」

「オレは新発売のカスタムギアを見るために行ったんだ。…ああ、あと神牙ハルキと試合したぜ」

「…は!?」

「オレも会えると思わなかったよ」

 ショッピングセンターへと向かう途中の道で、イスにできそうな大きな石を見つけ、ノースシャドウは座る。ヒザを痛そうにさすっている。

「神牙ハルキだけいたの?それともバーストギアクラブ?」

「バーストギアクラブでいたぜ。なんだっけな…神牙が弱いから神牙だけでも特訓させたいってさ」

「それならバーストギアクラブでやらせる方がよかったんじゃないの?」

「イベントスペースのバーストフィールドが空いてなかったし、誰も話しかけるのが苦手なんだろ」

「ふーん…。自分が神牙ハルキ試合をしたかったとかじゃなくて?」

「それもあったけど…」

 ノースシャドウは立ち上がると、ショッピングセンターに向かって歩き出す。アルイナもその横に行き、ゆっくりと進んでいく。


 歩き出してから10分が経ち、また大きな石に座るノースシャドウ。1人でショッピングセンターに行った時も、こんな風に休みながら行ったのか、と容易にアルイナは想像ができた。

「あんたに1つ聞いてもいい?」

「…なんだ?こうやって休みながら先週も行ったのか?って話か?」

「たしかにそれも聞きたかったけど。…でも今聞きたいのは妹に言われたことで…」

「妹ね…」

「…あんた、自覚してる癖とかある?」

「癖…あるといえばあるな」

「何?」

「オレ、歩いたら足がいてーんだわ。だから、痛くならないような歩き方を探したら、足音が出ない歩き方にたどり着いたんだよ」

「…たしかに、思い出したらあんたって足音なかったわね」

「ずっとやってるからな。…アルイナはあんのか?」

「私は髪いじり。ほら、毛先ハネてるでしょ!?これどうにかしたいのよ…」

 アルイナは髪の毛を持ち上げ、ハネている部分をノースシャドウに見せつける。ノースシャドウから見て、左は長いのに、右が短いことがハネていることより気になる部分である。

「切ればいいんじゃねーの?オレくらいさ」

「そうしたいけど、妹が長い方がいいって言うから、切りたくても抵抗があるのよ…」

「ずいぶんめんどうだな、妹さん」

 アルイナは横を向く。返答が思いつかないようだ。


 午前9時。ショッピングセンターの開店時刻になった。出場チームの人たちがショッピングセンターに入っていくのを見ると、アイナはベンチに座った。

「ずっと立ってて足痛くないの?」

「別に」

「そ、そっか…」

 アイナは目の前の景色をまばたきもせずじっと見ている。ショウはマンガを読むのに飽き、座ったまま寝ているような体勢をとっている。

「大会って何時に始まるんだ?」

「10時。それまで、イベントスペース、練習、できる」

「10時かぁ…てかそれまで練習した方がいいんじゃないかな?」

「多分、空いてないから、諦める、大事」

「あはは…」

 アイナが言っていることは先週のことを思い出せば、その通りだと思える。

「なあ、神牙」

「ん?どうしたんだ、ショウ」

 ショウは下にうつむいたまま、顔はこちらを向いていた。

「…バーストギア、楽しいか?」

 ショウは最初、何かを言いかけていたが、すぐに言葉を変えた。

「もちろん!ショウは?楽しい?」

「楽しいぜ」

 省はもう一度顔を下に戻す。試合中のような荒い口調だが、ほんのりといつものような穏やかさはあった。

「ショウってさ、試合中ちょっと口悪いだろ?あと今もちょっとだけさ。…あれに理由とかあるのか?言いたくないならいいんだけど…」

 ショウは下を向いたまま話しだしそうな雰囲気もない。言いたくないのだろう。

「ま、言いたくないならいいって言ったのはオレだしな」

「理由、言ってやってもいい」

「え」

「でも、秘密にしてほしいんだ」

 オレは一度アイナの方を見る。アイナもショウの秘密に興味があるのか、オレたちは目が合った。

「絶対話さない!すごく気になるし!」

「出雲は?」

「言わない。言う人、いない、から」

「…寂しいやつらだな」

 ショウは下を向くのをやめ、地面に置いていたリュックから水筒を取り出した。

「…この中、なんだと思う?」

「え?水とか?」

「違う」

「お茶」

「違う」

「ジュースでも入れてんのか?」

「ジュースじゃない」

 何を言ってもショウからの返答は「違う」というもの。水筒からはチャポチャポ聞こえるから、液体以外が入っていることはない。

「じゃあなんだ?コーヒー?紅茶?」

「そんなオシャレなもんは飲まねーよ」

 ショウは水筒の蓋を開け、中身を飲む。

「…レモン汁だよ」

「レ、レモン汁…!?」

 蓋を膝の上に置き、中蓋も外す。水筒に指を入れ、一滴をオレのほっぺたにつける。

「すっぱ!…マジじゃん!?」

「オレ、すっぱいもの好きなんだ。だからこまめに飲まないと気分とか…色々悪くなるんだ。こうやって水筒に飲み物のフリをさせてよく持ち歩いてるってわけ」

「秘密、にしては、しょぼい」

「悪かったな…でも、これみんなに言えないことだからさ、自分でもおかしいのわかってるし」

 ショウがたまに口が悪いのはすっぱいものをしばらく口にできていないから。ということなのだろう。もしかすると、ショウの強さにつながる癖とか、欠けてる部分というのはこのことだったりとか…は、さすがにないか。

「はぁ…そろそろ中入ろうぜ、ショッピングセンターの中回んねーか?」

「いいね!先週ショウと一緒じゃなかったし!」

「賛成」

 オレたちはショッピングセンターへと走っていった。


 朝9時少し過ぎ、ようやくアルイナとノースシャドウもショッピングセンターについた。休みながら行ったことでいつもより時間がかかったとアルイナは感じていた。

「あそこ、バーストギアクラブの人たちいるけど、話しかけに行かなくていいの?」

「神牙ハルキだけなら行ってもいいけど、3人で楽しそうだしな」

 ベンチに座るバーストギアクラブメンバーを指さしながら話す。ノースシャドウは冷静に返答をする。興味があるのかないのか、全くわからない声をしている。

「で?どうする?10時まで時間あるけど」

「オレは…このままでショッピングセンターに入ればプレイヤーに怖がられるし…その他のやつには変な目で見られそうだし…かといってお面を外して動いて友達に見つかるのも厄介だしな…」

「まあ、私も妹に見つかったら何を言われるか…」

 2人とも面倒な立場にいるようで、ショッピングセンターの中に入りにくいようだ。

「でも、先週行ったとき誰にも話しかけられなかったし…よし!オレは入るぞ、お先に」

「ちょっ!待ってよ!私を置いてかないでー!」

 ノースシャドウは早歩きでショッピングセンターに向かっていく。それに続き、アルイナも走ってノースシャドウを追いかける。


 9時半。ショッピングセンターのイベントスペースに行くと、たくさんの人たちがバーストギアを目的に集まっているようだった。

「すっげーな…これ参加する人たちなのかな?」

「団体戦は個人戦と違って、参加するのにハードルが少し高いのと、優勝してもミステリアスタイプのギアをもらえないってことから、参加するチームは少ないんだ」

「え?そうなのか?」

「うん、参加しても2,3チーム…それでもチームメンバーは多めって感じ。毎回ってわけじゃないけどね」

 そういえば、開店前にショッピングセンター前にいた集団も2つか3つくらいの固まりだった気がする。

「でも見る人は多いんだな」

「そりゃ…バーストギアだからね…」

 オレはパーカーの左胸あたりに名札をつける。手書きのキレイな字で「バーストギアクラブ・神牙ハルキ」と書かれている。名前の部分はショウは柊ショウ、アイナは鎖と書かれている。

 大会のため、イベントスペースのバーストフィールドが一旦使用禁止となる。参加すると思われる人も、見に来ただけであろう人もたくさん集まってくる。

「なあ、アイナ」

「…なに?」

「今から本屋見に行ってもいいか?」

「全然、いい。でも、なんで?」

「そういや今日さ…ロッコロの発売日なんだよ…」

「そう、だね」

「終わったら買いに行きたいから…あるかだけ見に行きたいんだ…」

「いいよ。柊に言っとく。10時の10分前、ここ、絶対。覚えてて」

「わかった!」

 オレは少し小走りで、本屋のある2階へと向かう。だが、人が多くて、エレベーターもエスカレーターも使えそうにない。

 オレは前回アイナと一緒に使った階段の方へと向かうことにした。


 階段に行くと、死角にお面をつけた人がいた。ノースシャドウだ。

「あ!ノースシャドウ!」

「…奇遇だな」

「ちゃんと見に来てくれたんだな!来てたなら話しかけてくれよ~!」

「ちゃんとって…こんなに情報集めに最適な機会を逃すわけないだろ?あと、人に話しかけるのはハードルたけーんだ。…お前はすごいよ」

 ノースシャドウは壁に背中をつけ、あぐらで座っている。どこかで見たような服装をしているが、誰が着ていたのかは鮮明に思い出せない。

「どうしたんだ?階段使ってどこ行こうとしてんだ?」

「本屋!今日ってロッコロの発売日だから、あるかだけ確認しに行くんだ」

「ほーん。オレもついてっていいか?」

「もちろん!ノースシャドウもロッコロ読んでんのか?」

「最近からだけどな。新発売のバーストギアの情報あるし、あとマンガは読んでて面白いし。買って損してないぜ、今のところ」

 ノースシャドウはゆっくり立ち上がり、階段もゆっくりと上る。歩く姿はまるで…。

「今月のロッコロの付録、ランダムのカードらしいぜ?お前はTCG好きか?」

「え!うーん、ルール覚えられなくて…カードもレアとかじゃなくてカッコいいかでほとんど判断してる」

「そりゃ損してんな。ルール覚えれば楽しいぜ?楽しめば楽しむほど楽しさはなくなるけど」

「な、なんだよそれ~!」

 階段を使えば、すぐに本屋に行くことができる。その分足が痛くなるが、今のオレならすぐ行けるというのが最優先だ。


 本屋の近くに来ると、まっすぐにノースシャドウはロッコロのある場所に行く。他のものには目もくれず、まっすぐと。慣れてるな…。

「あるぜ」

 ノースシャドウはロッコロを指さした。ちゃんと今月号の見たことない表紙だ。

「よっしゃ!帰りの楽しみ増えたな!」

「楽しみ…か。いいね、それ」

「だってさ、大会に出るから今日はたくさんバーストギアできるし、帰りにロッコロ買ったら家に帰ってからも楽しい状態でいれるんだぜ?」

「たしかにね」

 ノースシャドウからはあっさりとした返答。キツネのお面をつけているからそれ以外にわかる情報がない。

「よし!時間もいい感じだし戻るか…今買いたいけど見るだけって言っちゃったし」

「そうか。んじゃ、オレも」

 来た道を戻る。とはいっても階段を下りるだけだが。ノースシャドウは少し心配になるほどゆっくり下りる。階段が怖いのか、それとも足が痛くて下りるのに時間がかかるのか。オレが気にするような問題ではないが。

「オレはここまでな」

「え?近くで見ないのか?」

「友達と見るんだ。ここで待ち合わせって言っててさ。それに、オレあんま目立っちゃいけないし」

 ノースシャドウは最初にいた位置にしゃがんだ。たしかに、ランキング3位が大会に来ていたら出場するチームの人たちよりも目立つよな…有名人って大変だな。

 オレはノースシャドウに「じゃあな!」と言い、イベントスペースの方に走った。


「バーストギア!公式大会団体戦!冬!まもなく開幕ですよー!」

 たまにテレビで見るようなバーストギアの公式の人らしき人が大声を出す。驚いて身を震わせる人、急な大声に耳をふさぐ人、動じない人、様々な対応が見られた。

「さて、そろそろだね」

「神牙、柊、ついてくる」

 アイナはそのままイベントスペース近くに設置されているテントの方へ歩いていく。アイナも団体戦に参加したことないと思うのだが、この行動はまるで参加したことがある人のようだった。


 開会式が終わると、すぐに試合をするようだ。参加チームはオレたちを含めて4チーム。最初は他のチームが試合なので休むことができる。…肝心な開会式だが、緊張しすぎてほとんど記憶がない。

「いやー始まったな!団体戦!」

 オレはテントの中でアイナとショウに話しかける。楽しみでウズウズして走り回りたい気持ちを頑張って抑えている。

「楽しみなの?神牙」

「もちろん!オレ大会とか参加したことないからさ!…緊張して緊張して…指の皮がボロボロだぜ」

 オレは左親指をショウに見せた。今までにないくらい皮がボロボロになった親指だ。

「…それは異常だな」

「でも、噛むのやめられないんだよ~!」

 オレは左親指を口に入れる。少し血の味がする、そんな指だ。

「そういえば前から少し思ってたけど、神牙ってよく指噛んでるよね…」

「うん、オレの癖、無意識でやるから対策しても対策の対策を考えないといけないんだよ」

「…なんだそりゃ」

 ショウは少し呆れたような顔をする。アイナはテントから2チームの試合を静かに見ている。オレの指を噛む癖を知っているからか、アイナが会話に入ることはなかった。

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