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第5話 ラ…じゃない!謎の果たし状!?

 オレの名前は神牙ハルキ!この数週間毎週児童館の予選大会に参加を続け、なんと!ようやく5回勝つことができたんだ!これで、ようやくオレも公式大会に参加ができるし、バーストギアクラブとして団体戦にも参加ができるぜ!


 そんなある日の朝、オレの下駄箱に一通の手紙が入っていた。

「神牙ハルキさんへ、話したいことがあるので今日の放課後、児童館に来てください。待ってます。」

 これってもしかして…果たし状か!?バーストギアができるのは児童館だけだし、というかわざわざバーストギアじゃないことなら学校で話していいはずだし!

 今日はポケットにブレイジングファングを入れて登校したから、学校が終わったらすぐに児童館に行ってバーストギアだ!…上靴を持ってこないとだから、結局すぐには行けないけど。


 中休み!いつもの階段でアイナとショウに、朝下駄箱に入っていた手紙を見せてみた。

「これってラ」

「果たし状!すごい…!」

 ショウが何かを言いかけたが、アイナが被せるように喋った。

「だろ!どんな人が入れたんだろうな~!」

「…筆跡である程度分かったりとかしないの?」

「オレあんまり人の字見ないから!わかんねー!」

「ちょっと、貸す」

 オレはアイナに手紙を渡すと、背を向けて、ショウと一緒にジロジロと見始めた。何かボソボソと喋ってもいるようだが、いまいち内容が聞き取れない。

「…どこかで見た、筆跡。でも、わからない」

「オレのクラスの人でもないかな。…でも女子の字か字がキレイな男子ってところかな」

「へー…」

 アイナから手紙を返してもらい、もう一度よく読んでみる。読めるには読めるけど、キレイとは言えない字。でも、汚いと言うほど汚いというわけではない。

「このラ…じゃなくて、果たし状、どうするの?」

「もちろん!今日児童館に行って、相手をたしかめてくるぜ!」

「…そっか。オレも気になるし放課後行ってみようかな…なんて」

「アイナも、行く」

「本当か!じゃあ、手紙の主とバーストギアやったらバーストギアクラブで試合しような!」

「そんなすぐに終わることなのかなぁ…」

「案外、早い、かも。でも、遅い、かも…」

「え?」

 アイナが曖昧な返答をする。何が早くて遅いかもしれないんだ?


 昼休み!アイナは委員会で集まれないらしいから、教室でアオイと話すことにした。ついでに、下駄箱に入っていた果たし状の話もした。

「なあ、アオイ、見てくれよ!これ!」

「これは…」

 アオイは手紙を読むと、言葉を詰まらせた。ショウが見た時も何かを言いかけていたが、もしかして、それのことを言おうとしているのだろうか?

「そういえば、ショウがラって言いかけてたけど、これって果たし状じゃないのか?」

「え!…ラ…かぁ…そうだな…」

 驚く様子を見せるアオイを見るのは珍しい。ラの正体はずっと隠され続けているが、なんだろうか。

「あ、今日、オレ児童館行こうと思ってたんだよね」

「え!そうなのか!?」

「うん。友達に児童館でバーストギアの練習に誘われてね。行くしかないんだ」

「アオイの友達ってどんな人なんだ?」

「女の子だよ。バーストギアがとても強いんだ。試合の数も大事かもしれないけど、強い相手と戦うのが1番早いってその子が言ってくれてね」

「へぇ…」

「…というか、その子の字に似てるんだよね…この手紙…でもなぁ…」

「そうなのか!?強い相手からの果たし状か~!!!」

「でもね…ハルキ。似てるだけで違うこともあるし、これが果たし状じゃないかもしれないんだよ?」

「え?」

「まあ、ハルキのことだからちゃんと児童館行くんでしょ?果たし状じゃない可能性も頭に入れておきなよ?」

「お、おう…」

 アオイに女子の友達がいたことも知らなかったし、これが果たし状じゃない…?本当に正体不明のラかもしれないのか…!?


 放課後!オレは上靴を持って、児童館へと走って向かった。ショウとアイナはもう児童館についているだろうか、手紙を書いた人はもう児童館にいるのだろうか。そんなことだけを考えていたら、あっという間に児童館についていた。

「こんにちはー!」

 平日の児童館は久しぶりだ。遊び飽きたおもちゃ、学校よりも狭い体育館、土曜日なら気にならないものがなんでも気になってくる。

「あ、ハルキ」

「アオイ!」

 玄関で靴を脱いでいると、アオイが足音もなく近寄ってきた。相変わらず心臓に悪い。

「…よかったらさ、一緒にバーストギア、やらない?」

「え!いいのか!」

「うん、友達もういるんだけどね、ハルキのこと話したらブレイジングファングが気になるんだってさ」

 アオイは後ろを見るので、オレもつられてアオイの後ろに立っている人のことを見る。灰色の髪の毛を1本に結んだ、身長の高い人だ。

「もしかして、オレに果たし状くれた人か?」

「ちょ、ハルキ…」

「果たし状って…。ふふ、そうよ私があなたに手紙を書いた出雲アリナよ」

「出雲…?」

 出雲ってたしか、アイナもそんな名字だったような…。

「妹があなたたちの学年にいると思うんだけど…」

「あ!もしかして、アイナのねーちゃんか!?」

「あら、アイナのこと知ってるのね!」

 アリナは驚きながらも嬉しそうな顔をした。たしかに、よく顔を見てみると、笑った時の表情とかがアイナとそっくりだ。

「そういえば、ブレイジングファングが気になるって、オレの試合とか見てたのか?」

「ええ。先週の試合とかも見てたわよ。聞いたことのないギアだったから気になっちゃって。北影くんに協力してもらったの」

「じゃあアオイ、この手紙のこと知ってたのか?」

「…まあね。ハルキの下駄箱、6年生がわかると思うか?」

「私、馬鹿正直に手紙書いたら北影くんに全部修正されちゃって…最終的にあの手紙になっっちゃったの」

「どんな感じだったんだ?」

「拝啓とか、時候の挨拶とか、堅苦しい文章だったね…。字は汚いのに」

「そうそう!それで、北影くんがラ!」

「それはやめてくれ!」

 なんだかデジャブを感じるやり取りだ。このラの正体にオレは永遠にわかることはできないのだろう…。

「…悪いな、大声出して。出雲さんはブレイジングファングの試合を見たいんでしょ?」

「そうそう!ブレイジングファング!予選大会の試合も見てたけど、離れたところでしか見れなかったから、もっと近くで見たいと思って!」

「もちろん!いいぜ!でもいいのか?オレとアオイの試合でも」

「いいの!相手が誰だったとしても、ブレイジングファングと神牙くんの実力を知れたらそれでいいから!」


 体育館…ではなく、おもちゃや本がある部屋にはいつもふすまが閉じられている部屋がある。その部屋に入ると、真ん中にバーストフィールドが置いてあった。

「平日は体育館でできないから、ここでやるしかないんだ」

「オレこの部屋初めて入った…」

 真ん中にはバーストフィールド、壁には誰かが書いたと思われる、バーストギアの基本についてが書かれてラミネートされた紙。それ以外は何もない、バーストギアだけに特化した部屋だ。

「ようやく、オレのギアを教える時が来たね」

「あ!そうだ!アオイのギア!知りたかったんだよ!」

 アオイはニットベストの内側からネックレスと取り出し、青い鍵を取り外した。

「オレはフロストファントムを使う!」

「フロストファントム…!」

「クールタイプで防御特化、ま、特に…」

 閉じられていたふすまが勢いよく開く。驚いてアオイは喋るのをやめてしまった。開けたのはアイナで、止めさせようとしたのかショウはアイナの肩を掴んでいた。

「あ、神牙と北影!それに…はじめましての人だ…」

「アリナ…」

「あ、アイナ!もしかして、その子が柊くん?」

「ど、どうも…柊ショウです」

「やった!これでアイナのお友達みんなに会えちゃった!」

 アリナは嬉しそうにする一方で、アイナはアリナを睨むように見ている。

「アリナ、余計」

「ごめんって!アイナからクラスの人の話聞けるのが嬉しくて!聞いたことある人も見れて!」

「いい、話さなくて、いい!早く、試合、する」

 アイナは姉を前にすると、こんな反応をするのか…と思ったが、アイナから姉の話をされなかったのはこういうのをバレないためにするためだったのだろうか?まあ、話す機会がなかっただけだろうけど。


 アイナとショウも部屋に入り、ドアの前に座る。アイナは相変わらずアリナを睨んでいるようだがアリナの方は何も気にしていなさそうにニコニコとしている。

「気を取り直して、オレはフロストファントムを使う!」

「オレはブレイジングファングだ!」

 バーストフィールドにギアを置くと、フロストファントムは青色で十二面体のキレイな形になった。これが体に当たったら意外な痛さがありそうだ。

「システムロック!バトルスタート!」

 カスタムギアが少し光りだし、バトルが開始される。クールタイプは防御特化。攻撃特化のパッションタイプとは相性が悪そうだ。

「いくぜ!ブレイジングファング!アタックだ!」

 ブレイジングファングに指示をすると、一直線にフロストファントムに近づいていく!フロストファントムは避けるためか、横に移動をするが移動速度は遅い。

「フロストファントムはブレイジングファングと似て移動速度が遅い。でも、防御だけはどんなギアよりも自信があるよ」

 横に移動をするフロストファントムにぶつかるために、少しずつ横にズレながらブレイジングファングも移動をし、フロストファントムと衝突!だが、どちらもギアもダメージを受けたような様子はない。

「す…すっげー…!」

「ふふ、フロストファントムが1番すごいんだよ!」


 神牙と北影の試合を見ているアイナと見ていたショウには疑問があった。

「…なあ、出雲。フロストファントムってノースシャドウと同じカスタムだよね。強いのか?」

 バーストギアの醍醐味ともいえる”カスタム性”。人のカスタムギアを見ていると、両方のパーツが同じカスタムのギアというのをほとんど見ることがない。

 強いカスタムともなれば誰もが一度はマネするはずだ。だが、そういうギアというのは、使っているギアよりも、使っている人が重要でマネをしたとしてそのギアの本領を発揮させることができるかは自分の実力次第だということを覚えていた方がいい。

「クールタイプの中でも、防御に完全特化。でも、防御に偏りすぎ、強いかは、微妙」

「強さが全てではないってとこか」

「…でも、技術、ある。ブレイジングファング、ぶつかるとき、うまく、ダメージ逃がした」

「そうなの?」

「クールタイプ、防御、高い。でも、移動速度、遅い。ダメージ逃がす、難しい。だから、技術ある、北影、強い」

「でもノースシャドウと同じカスタムなのは…なんでだろうな?」

「憧れ、とか?アイナも、ブレード、暁ユリカの、マネ。最初、ライトニングチェーン、だった」

「あー懐かしいな、初めての鎖との試合、そんなギアだったよな」

「ショウは、最初から、ずっと、アルゴリズムナイト」

「1回コレ!って決めたらさ…なーんか、気持ち的に変えられないんだよな…」

 ショウはネックストラップにつけているアルゴリズムナイトを見ながら呟くように言う。

 アルゴリズムブレイカーのアルゴリズムと、フロストナイトのナイトのカスタムでアルゴリズムナイト。扱うのは難しいギアだが、それでも使い続けられているショウはやはり、上級者で、自分しか相手のできないだろうと、アイナは考える。


 攻撃力の高いブレイジングファングではあるが、それ以上にフロストファントムは防御力が高い。というか、それよりブレイジングファングの防御力の方が低いので、こちらの耐久性が気になってくる。今どのくらいダメージを負っているのか全くわからない。

「…タイムアウト!どっちも負けよ」

「えー!」

 試合に夢中になっていたが、気が付くと、5分が経っていたようだ。バーストフィールドでカスタムギアになっていたギアは鍵に戻ってしまった。

「ま、これがクールタイプの良くないところって感じかな」

「良くないところ?」

「クールタイプは防御力が高くても攻撃力が低いから、ギアバーストすらも苦手なんだ。だからタイムアウトになりやすい。相手の攻撃力次第でもあるけどね」

「ブレイジングファングの攻撃力でもダメなのか…」

 アオイはフロストファントムとブレイジングファングをバーストフィールドから拾い、オレにブレイジングファングを渡してくれた。

「ありがとうね。私のわがまま聞いてくれて」

「全然!オレはアオイと試合できて楽しかったし!」

「オレもギアのこと教えられてよかったよ、ずっと隠しててモヤモヤしてたからさ」

「敵になりうる相手に自分のギアのことを教えるなんてね」

 ショウが話に入り込んでくるが、アオイはショウの痛いところを突く。

「毎回敵に当たっている相手に毎回負けてるのはどこの誰だろうな」

「オレは!相手が悪いんだよ!」

 ショウが毎回鎖に負けているということはバーストギアをやっている人の間では有名なのだろうか?まさかアオイが知っているなんて思わなかったな…。


 アリナとアオイは一緒に先に帰ってしまった。

「そういえば、手紙を書いたのって誰だったの?」

「えっと、アリナが書いたんだけど、内容はアオイが考えたんだってよ!」

「それ、果たし状、だった?」

「じゃない感じだったけど、ラ?ってアリナも言いかけてたぞ」

「ほら!やっぱり出雲、神牙がもらったのはラ」

「でも、考えた、北影。だから、それ、果たし状。北影、きっと、神牙と試合、したかった」

「やっぱり!?」

 さっきからラで止められてるけど、もう、これの正体はどうでもいいか!

「ドッジボールやる人ー!体育館集合ー!」

 体育館の方から声が聞こえた。

「ドッジだってよ!行こうぜ!アイナ!ショウ!」

「え!チームで何かするって…」

「体力づくり、これ、大事」

「そうだぜ!」

 オレはアイナとショウの手を引き、体育館の方へと連れていく。オレは踵をつぶして上靴を履き、アイナは器用に片方の手で自分とショウの上靴を持っていた。ショウは姿勢を崩し、オレにずっと引っ張られる形で体育館へと行くことになっていた。

 ちなみに、ドッジボールはオレとショウはボロボロ。オレは球技だけはどうしても苦手で、ボールを投げても相手にキャッチされるし避けるもの下手。対してショウはボールをキャッチできないし、避けれないしで…もしかしてオレより下手なんじゃないか!?でも、アイナはボールを投げるのも避けるのも全部上手い!な、なんだろうな…この差は…。


 バーストギアはせずに、今日は帰る時間になった。アイナとショウは帰る方向が同じなので、一緒に帰っていった。オレはブレイジングファングを左手に持ち、帰り道を歩くことにした。

「なあ、ブレイジングファング、今日の手紙の内容わかるよな?」

「ああ、わかるぞ、要約すると話したいことがある!児童館で待つ!というものだったな?」

「そうそう!それの話をしてたときに、ショウとアリナがラって言いかけてたんだけど…ブレイジングファングはわかるか?」

 いつもなら即答してくれるブレイジングファングが数秒間をあけ、ラの正体を話してくれた。

「おそらく…ラブレターだろうな」

「ラブレター?」

「ああ。愛を告白する手紙のことでな、相手に対する愛を直接相手に言えない!というときに、手紙として、相手に渡すんだ」

「へぇ…」

「内容も、典型的なラブレターとよく似ている」

「そ、そうなのか…」

「…告白という言葉は、秘密にしていたことを打ち明けるという意味だ。北影アオイの使うギアはフロストファントムという秘密を告白してもらっただろう?」

「あ!たしかに!…でも、結局どういう意味の手紙だったんだろうな?」

「神牙ハルキを児童館に呼ぶために作成された文書…というのがいい線か」

 ずっと伏せられ続けていたものはラブレターのこと。でも、アイナもアオイもそれを隠す必要はあったのだろうか?まあ、アリナがオレが好きではないのはわかるけど…それでも、なんで隠してたんだ?教えてくれよ!2人ともー!!

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