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第五麺:「欠けた麺輪を求めて」

王として即位してから数日、ヌードル卿は王宮の奥深く、ペスカトーレ将軍と密談を重ねていた。


ヌードル卿:「ガストロは民の信仰を掌握している。

王冠は被ったが、この国を本当に動かすには“教団の味”を超える力が必要だ」


ペスカトーレ:「……ならば、陛下が本当の意味で国を支配するには、“四麺”を揃えるしかない。

それは、かつてアルデンテの神代において、五大麺柱に次ぐ存在とされた四人――

陛下の武を補完する“麺のめんのわ”です」


ペスカトーレが一枚のスープ染めの地図を広げる。

そこには残る三人の居場所が示されていた。



①アラビアータ伯爵(怒れる炎の魔導士)

•出身:トマティア盆地

・性格:激情と誇りに満ちた火の魔導士

・現在:ファルファッレ王亡き今、独自に民兵を組織し、反教団派を扇動中。

ただし、感情が先走るため制御が難しい。


ペスカトーレ:「トマティアの地ではすでに火柱が上がっている。

だが彼の怒りは、教団への恨み――陛下にとって最も強い“炎の剣”になるかもしれません」


②カルボナーラ修道士(山の守人)     

•出身:カルボナラ山脈

・性格:質実剛健。武と信仰を併せ持つ老騎士。

・現在:山岳修道院にて沈黙を守る。かつてのカルボ隊隊長。

教団の腐敗には気づいているが、動くには理由が要る。


ペスカトーレ:「陛下が“麺神の呪い”を抱く者として正しき目的を語れば、彼は剣を再び振るうでしょう。

ただし……信仰の失墜には誰よりも敏感な男です」


③ジェノベーゼ姫(翠の策略家)

・出身:不明(伝説によれば、東の翡翠森林)

・性格:冷静・謎多き女。緑の魔力の使い手。

・現在:正体不明。だが各地で情報屋や闇の貴族との接触が報告されている。


ペスカトーレ:「彼女を得れば、教団の情報網に対抗する術が手に入るかもしれません。

だが――忠誠の代償は“高くつく”と噂されています」


ヌードル卿は、静かに立ち上がり、空のスープ椀を見つめる。


ヌードル卿:「俺は“味の王”ではない。

だが、腐ったスープを飲ませ続ける教団には――必ず“茹で直し”を食らわせる」


ペスカトーレ:「陛下が四麺を得たとき……王国に新たな味が訪れるでしょう」


ヌードル卿:「ならば行く。俺の力が、まだ“足りない”というのなら――

すべての麺を、俺の手で茹で上げてみせよう」


ヌードル卿のもとに、黒衣の近衛とペスカトーレ将軍の小隊が集う。

王都に残るガストロには、表向き「地方視察」として通知が出された。


こうして、“麺王ヌードル卿”の密かな遠征が始まった。

教団が知らぬ間に――“王による麺の再構築”が進み始めたのだ。



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