第十七麺「進軍、そして封印」
――それでも、兄を救いたい。
リゾたち、ついに王都へ進軍
世界の均衡が崩れ、生命のスープは濁り、空にはかつてない禍々しい暗雲が垂れ込めていた。
人々は、麺魔グルテン・ネロの影響を感じつつも、それが王の内に宿っているとは知らない。
ついに――
カルボ隊を中心とする義勇軍が、王都アルデンティーナを包囲した。
その先頭に立つのは、リゾ・アルデンテ、ルーチェ・アルデンテ、
そしてジェノベーゼ姫とヴェルデ。かつて王家に連なる者たち。
ルーチェ:「あの城を取り戻すだけじゃない。兄さまを――救うのよ」
リゾ(小さく頷く):「奪われた誇りと希望を、取り戻すんだ」
神殿前、新旧対決
リゾたちが突入する直前――
神殿の門前では、ふたつの因縁の戦いが始まっていた。
●カルボ隊 新旧団長激突
神殿正面では、カルボナーラ修道士と現団長ボルチーニが向き合っていた。
かつて共に山岳を守り、祈りと剣を交えた師弟――いま、信念を違えた者同士として。
カルボナーラ:「グルテンの器と知ってなお、私は従う。…これは罪なのだろうな」
ボルチーニ:「罪を背負う覚悟があるなら、俺はその手を止めてみせる!」
拳と剣がぶつかり合う――
信仰と義、迷いと誓いの激突。
新団長と旧団長、カルボ隊の“魂”を巡る一騎打ちが始まった。
●海の将 vs 影の刃
一方、裏門から侵入しようとするのは、オリーバ諸島の海将――ペスカトーレ。
待ち受けるは、かつてガストロの影として王国の裏側を支配していた暗殺隊長、スコルダリア。
スコルダリア:「あんた、老いたな。海よりも深く、時代に取り残された」
ペスカトーレ:「だがな、“老いた剣”には重みがあるんだよ。教えてやろうか――死神にすら斬れぬものをな」
海と影、戦術と暗殺、静かなる死闘が始まる。
神殿突入、兄弟の対面
その混乱の中、リゾ、ルーチェ、ヴェルデ、ジェノベーゼは
ついに王宮奥深く、グルテン教と化した神殿内へ突入を果たす。
玉座の間で彼らを待っていたのは、
かつての兄――いや、今やグルテンの器となったヌードル卿だった。
ヌードル卿(グルテンの声):「来たか、弟よ。
この身はすでに、汝らの及ばぬ処にある……!」
黒き瘴気が渦巻き、空間が歪み始める――
その中で、リゾは剣を抜く。
《アルデンテのソースブレード》。
麺神の血を引く者にのみ扱える、真の浄化の刃。
リゾ:「兄さん。あなたは“器”なんかじゃない。俺の、たったひとりの兄だ!」
リゾの剣が光を放ち、神殿を揺るがす一閃が放たれる――
グルテンの瘴気が砕かれ、
ヌードル卿は膝をつき、息を荒くしながら床に伏した。
ルーチェ(涙):「兄さま……!」
ジェノベーゼがうっすらと笑う。
ジェノベーゼ:「麺魔は封じられた……けれど、戦いはまだ終わっていないわ」