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第十三麺A:「焦げつく世界、茹で直す旅」

カルボ隊、進軍す


カルボナラ山脈の雪を割って、黒と白の鎧に身を包んだ騎士たちが進軍する。

その中心にいるのは、勇敢なるカルボ隊隊長――


ボルチーニ・カルボナーロ:「リゾ殿、貴殿は王の血を継ぐ者。

我らカルボ隊は、貴殿の剣と共にあろう」


リゾ:「ありがとう、ボルチーニ……この剣、父の無念と、世界の平和をかけて振るう」


ルーチェもまた、緑のマントを風になびかせ、前を見据える。


ルーチェ:「兄様……あなたがまだ、どこかにいると信じてる。

でも……私たちは、あなたを止めなきゃいけないの」


変わりゆく世界、煮え立つ地


だが進軍の途中、世界の変化は彼らをすぐに包み込んだ。


地面に亀裂が走り、地下から濁ったスープが噴き出す。

かつて清らかだった川が、濁りきった“スープの奔流”と化していた。


村人の声:「泉が……煮えた……! 突然熱くなって……家畜が全滅だ……!」


ヴェルデ:「これは……ただの異常気象じゃない。麺魔の力が、世界の底を揺らしてるんだ」


そして王都から逃げてきた僧兵から、さらなる報せが届く。


僧兵:「ヌードル卿が……グルテン教を掲げて、国の仕組みをすべて作り変えてしまった!

教団の神殿は……もう、かつての聖堂じゃありません……!」


王都への進軍、中断の決断


リゾは剣を強く握りしめる。

怒りと悲しみ、そして恐れが胸に交錯する。


リゾ:「……今のままじゃ、王都に着く前に、こっちが煮崩れる」


ルーチェ:「兄様を止めるには、力が足りない。

残された“具材”を、かき集めるしかないわ」


ヴェルデ:「じゃあ、まずは“具だくさんの国”へ行くか。

トマティア盆地――王国最大の穀倉地帯。そこを掌握できれば、食糧と軍を得られる」


ボルチーニ:「アラビアータ伯爵の領地だな。かつての四麺の一角……話し合いで済めばよいが」


再び、旅の鍋を火にかけて


夜の山道、霧の中を進む影たち。


ひとときの平穏すら、今の世界には存在しない。

だが希望はまだ、煮込まれてはいない。


リゾ(独白):「兄さん……いや、ヌードル卿。

いつかもう一度、“家族”として向き合えるその日まで……俺は、戦う」

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