第八麺A:「北風と煮詰まる決意」
ヌードル卿は、風にそよぐ緑の布を見つめながら、呟く。
ヌードル卿:「……ジェノベーゼ。やはり見つからなかったか。
あれほどの力を持ちながら、姿さえ掴ませぬとは……今は追えん。まずは、教団だ」
ペスカトーレとカルボナーラが静かにうなずく。
ヌードル卿:「王冠など、偽りの麺には不要だ。まずは――この国の芯を腐らせた“ガストロ”を、茹で上げる」
ヌードル卿:「ジェノベーゼを味方にすることはできなかったが四麺のうち三麺は揃った。地方の視察という嘘は今頃はガストロにバレているだろう。このまま王都には戻らず軍の用意をする。」
トマティア盆地・アラビアータ陣営
赤の炎が舞う訓練場。
アラビアータ伯爵は火の魔術を操る部下たちを前に、唸るような声を響かせていた。
そこに届いたのは、ヌードル卿からの伝令。
伝令兵:「アラビアータ伯爵殿。新王より伝令。
“北を焼き払え。偽りの教団に、正義の煮え湯を注げ”」
アラビアータはその文を握り潰し、燃え上がる炎に放り込む。
アラビアータ:「ようやく、汁が煮立ってきたな……!
王都よ、待っていろ。俺の激辛が、骨の髄まで染みるぞ!」
彼は即座に出陣を決意。トマティア盆地を発ち、北へ向かう――。
カルボナラ山脈・修道院本陣
一方、カルボナーラ修道士のもとにはヌードル卿自らが現れる。
ヌードル卿:「ここからは、“正規軍”として動く。
カルボ隊の技と、ペスカトーレ将軍の軍を合わせ――アルデンティーナを目指す」
カルボナーラ:「ならばこの老骨、再び麺神に仕えよう。
“真なる調和”を求めて……」
同じ頃、ペスカトーレ将軍はオリーバ諸島から精鋭艦隊を率いて合流。
海上から王都へ向けた包囲を進める。