第12話:今の苦労か未来の死か その2
「まずは軽く試験といくか……小僧、木剣を持ってこい」
さて、心臓に悪い初邂逅の直後、魔法の訓練を中断して試験が始まったのはそんなランドウさんの言葉をきっかけとしてだった。
その言葉に俺は素直に従う――前に、まずは大きく挙手をする。
「その前に質問があります」
「……なんだ?」
「あなたのことはなんとお呼びすれば?」
俺が文句でも言うと思ったのだろう。ランドウさんは片眉を跳ね上げるようにして小さく目を見開くと、僅かに考え込んでから首を横に振る。
「……好きに呼べ」
「では先生とお呼びします」
好きに呼べと言われたので早速そう宣言する。それもこれも、俺――ミナトからランドウさんに対する呼び方には死亡フラグが潜んでいるからだ。
『花コン』で主人公が二年生に進級すると、王立学園に特別講師としてランドウさんが招聘されるというイベントが必ず発生する。
ミナトはランドウさんを師匠と呼んで慕うけれどランドウさんはミナトを弟子だと思っておらず、ミナトが闇落ちする多くのルートでランドウさんに殺され、その際に『師匠』って途切れ途切れに呼んだら『少しとはいえ剣を教えた者としてケジメをつけに来ただけで、俺はお前の師匠じゃねえ』と言葉でも切って捨てられるのである。
ついでに一番弟子どころか弟子とすら認めていなかったし、なんならランドウさんが一番弟子と認めたのはゲームの主人公だ、なんて宣言する描写もあった。
それでも一応は師匠と呼ぶことを許していたのは、レオンさんやレオンさんの父親、つまり俺の祖父に対する義理があるとかなんとか。それらを思えば、師匠呼びさえしなければ俺の死亡フラグも圧し折れるって寸法である。あくまで願望でしかないけども。
そんなこんなで、ランドウ先生に言われた通り木剣を持ってくる。ナズナが取りに行こうとしたけどすぐに止めた。ここでナズナに頼んで偉そうにふんぞり返っていたら、『花コン』で知るランドウ先生の性格的にそれだけで死亡フラグが立つと確信したからだ。
「それで先生、試験とは何をするんですか?」
三歳の頃から毎日体を動かしてきたし、既に木剣を使った訓練も始めている。現状では素振りと型稽古、それとナズナを相手に軽く打ち合うぐらいだけど、まったくの素人ではない。
訓練に使う木剣は切っ先から柄尻までが一メートルほどで、木製ながら鍔もついている。ブロードソードの柄を伸ばして木製にしたような外見だ。重さは一キロ程度だが木の材質が頑強かつ粘り強いものを使っているため、普通に武器としても使える。
そんな木剣を使って、一体何をするのか。
「俺が止めていいって言うまで一切手を抜かず本気で素振りをし続けろ。振り方は上段からの振り下ろしのみだ。いいな」
真剣な表情で言い放つランドウ先生に、俺はこの時点で嫌な予感しかしなかった。
『花コン』ではランドウ先生関連のイベントで、キッカという国が登場する。ゲームや漫画、小説等の創作物で登場するジパング的な国だと思えば大きな間違いはないだろう。
国の形こそキッカ――菊の花のように中央に丸い陸地があり、その周囲にいくつもの群島が集まる形になっているが、服装は和服、武器は刀や槍や弓、貴族や武士が存在し、中央の島にはミカドなる一族が存在する。
ちなみにランドウ先生みたいな存在が出現するあたりから察せられるが、割と戦闘民族だ。海洋国家のため海戦も得意で個人戦闘、集団戦闘までなんでもこなす。
それらの事情から考えれば、サンデューク辺境伯家も元々はキッカの国のサンジョウケなる家から出奔した者が興した家だから、自然と尚武の家柄になったのかもしれない。
『花コン』の世界では同一の言語が使用されているため、存在すればの話だが未開の部族相手でもなければキッカの国でも言語が通じないということはない。もっとも、言語が通じても話が通じないということは現実社会だろうとどんな場所、時代だろうと起こるものだ。
何故、そんなことを考えているのか。
「ひゃく……ごじゅう……ろく……」
それは、今にも両手からすっぽ抜けそうになるのを堪えながら木剣を振り下ろしつつ、試験の内容を俺が聞き間違えた、あるいは意味を履き違えた可能性を考える俺がいるからだ。
一切手を抜かず本気で素振りをし続ける。
ランドウ先生はそう言ったが、これは簡単なことではない。その言葉には休憩は抜きで、というニュアンスが含まれていたため難易度がとんでもないのだ。
一日に何百回と素振りをするだけなら、七歳の俺でも休憩を挟みながら行うのならやりようはある。だが、一切手を脱かずに本気で素振りを続けるとなると話は別だ。
正直なところ、今の段階で既に腕の感覚がなくなりつつある。木剣を手放さないよう必死に握り締めているが、握力も死にかけているためいつすっぽ抜けるかわからない。
可能な限り強く柄を握り締めている影響で手のひらの皮が剥けてきているし、肉刺も潰れて血が滲み始めているのを感じる。腕の感覚とは裏腹に手が痛い。
「ひゃく、はちじゅう……きゅう……」
もしも『花コン』のミナトが同じ試験を課されたのなら、途中で投げ出したのも納得だ。俺は中身が中身だから耐えられるけど、七歳児にやらせることとは思えない。
もっとも、耐えているといっても振り始めの時と比べれば雑で下手糞な素振りになっているだろう。手を抜かずに本気で振り下ろしてこそいるが、腕や手だけでなく体全体の動きが鈍重になり、素振りの一回にかける時間も長くなっている。
「御当主様、これ以上はどうか! 若様の手が!?」
「黙っていなさい、ナズナ。ランドウが止めるよう言っていないし、ミナトも止めていない」
そんな言葉が聞こえた気がしたけど、痛みと素振りに集中しているせいで内容までは理解できない。ただ、視線を向けてみるとレオンさんがナズナの肩を押さえているのが見えた。
つまり、レオンさんの目から見てもまだまだやれるってことだ。そう判断した俺は自分の血で滑りそうになる柄を、必死で握り締める。
「にひゃく……にじゅう、ごっ!?」
でも、とうとう木剣がすっぽ抜けた。ついでにささくれ立った木の破片が手のひらに食い込み、更なる痛みと出血を呼び起こす。
(それでも、まだ、なんだよな……)
ランドウ先生は止めろと言わない。それなら続行だ。将来死なないために、今、死ぬ思いをしてでも頑張るしかないのだ。
俺はフラフラと歩き、木剣を拾い上げると服の裾で血に濡れた柄を乱雑に拭う。そして木剣を構え、再び振り下ろし始めた。
「そこまでだ。止めろ」
そして結局、ランドウ先生が止めるように言ったのは素振りが五百回に到達した時だった。
これ以上腕が上がらない、本当にギリギリのところを見極めたようだ。普段はそこまで重く感じない木剣を持ち上げることすらできなくなった俺は、荒い息を吐きながらその場に膝を突く。
木剣を置いて両手を見てみると、手の平全体の皮がめくれて血だらけだった。ところどころに細かい木片が食い込んでいるが、手の平全体が痛すぎて木片が食い込んだ違和感すら覚えない。
それでいて両腕の感覚はほとんどなく、足や腰が痛い。というか手の平だけでなく体全体が熱くて痛い。頭がぼーっとするし、このまま倒れて意識を失いたい。
「剣の才は……まあ、凡才だな。だが貴族のボンボンの割に根性はある、か」
倒れて眠ろうかと思ったけど、ランドウ先生の言葉でなんとか意識をつなぎとめる。
そうだ、途中でなんで木剣を振っているのかすら忘れかけていたけど、これは試験だった。将来への投資のためだった。いや、なんの投資だっけ? ……まずい、疲れすぎて頭が回らない。
俺が回らない頭で必死に考え事をしていると、いつの間にやら目の前にランドウ先生が立っていた。そして俺を見下ろし、真剣な目で見てくる。
「俺の声は聞こえてるか?」
「……なんとか」
聞こえていますよ。言葉が聞こえるのに言葉の意味を理解するのにタイムラグが発生するぐらい疲れてるけど、聞こえています。前世含めてここまで疲れたことはないよ。
「そうか。それなら答えな。お前、何故剣を学ぶ?」
ここでサンデューク辺境伯家の嫡男だから、とか、それが貴族の義務だから、といった曖昧な答えを返すとまずい。それぐらいはまだ思考できる。
だから、ランドウ先生が納得してくれる理由をひねり出すしかない。体中の痛みがそれを邪魔するけど、ここが正念場だ。
俺は必死で『花コン』の内容を思い出す。ゲームではあるが、ランドウ=スギイシという人物が『魔王』を殺し得る可能性を持つほどに強くなった、その理由を。
ランドウ=スギイシという男は、守りたいと思い、守ると誓った人を守りきれなかった。
そもそも、何故ランドウ先生が中規模ダンジョンを単身で攻略したのか? それは、そのダンジョンが守りたかった人の命を奪ったからだ。
ランドウ先生は元々ナズナと似た立場の人で、仕えるべき相手がいた。その相手は女性で、同年代で。互いを大切に思い、立場の違いから言葉にこそしなかったが想い合ってもいた。
そんな女性と共に、小規模ダンジョンが突如として急成長して中規模ダンジョンになるという事故に巻き込まれた。これは『花コン』の世界だと稀に起こる事象だが、結果としてその女性を守り切ることができなかったのだ。
女性は命を落とし、ランドウ先生は三年もの年月をそのダンジョンで過ごし、やがては攻略……ダンジョンの基となっていたボスモンスターを殺した。
時間をかけたのは強くなるため、そして愛した女性の遺品を回収するためでもあった。ダンジョン内で死亡したり物を落としたりした場合、宝箱から出てくることがあるのだ。
そのあたりも『花コン』で明かされるのだが、ランドウ先生は想い人の遺品として魂の具現とも言われる『召喚器』を探し続けていたのだ。
しかし三年かけて中規模ダンジョンを隅から隅まで探索し、宝箱を開け続け、新たな宝箱が生まれてからも開け、最早そのダンジョン内に遺品がないのだと判断せざるを得なかった。
ダンジョン内で失った物は、そのダンジョン内で入手できるとは限らない。他のダンジョンの宝箱から出てくることがあり、キッカの国のめぼしいダンジョンを潜って周ったランドウ先生は他国のダンジョンに愛した女性の遺品が現れている可能性に賭け、アーノルド大陸へと渡ってきたのだ。
アーノルド大陸はダンジョンの数が多く、キッカの国には存在しない大規模ダンジョンもある。それならばキッカの国で既存のダンジョンに潜り続け、新しいダンジョンが発生するのを待つよりも、アーノルド大陸に渡った方が愛した女性の遺品を手に入れる可能性もあるだろう、と。
「……守りたいと……思った人を、守れる……ように、です……」
だからこそ、俺は剣を学ぶ理由を口にする。ランドウ先生が納得してくれるであろう理由を、必死に絞り出す。
「なるほど、な」
俺の言葉を聞いたランドウ先生は数秒ほど目を細めて俺の顔を見ると、納得したように頷く。
なんとか、辛うじてだが、乗り切れたのではないか。ランドウ先生の顔を確認すると、薄く、笑顔すら浮かべているのだから。
「――お前、まだ小賢しいことを考える余裕があるみたいだな」
だから、そんな言葉と共に俺の左腕から生木が圧し折れたような音が聞こえた理由が、わからなかった。
「…………あ?」
思わず声が漏れる。いつの間にかランドウ先生の右手に刀が、彼の『召喚器』が握られており、刃を返した状態で振り切られていた。
そして現状を理解するよりも早くやってくる、左腕からの激痛。それまでの素振りで痛んでいたはずの両手や両腕、体全体の痛みをまとめて凌駕する規模の痛み。
――左腕を折られた。
そう理解するまでにかかった時間は、はたしてどれほどか。激痛、灼熱感、違和感に嘔吐感。俺は左腕を右手で押さえながら前のめりに倒れ、地面に額を打ち付ける。
「わ、若様っ!? よくも若様を!?」
「黙ってろ、小娘……しかし解せねえ。おいレオン、事前に俺のことを話したか?」
「話すわけないだろう。ミナトの本心じゃないか? それとランドウ、事前に聞いていたし許可もしたが、本当に折るかお前……」
怒りを滲ませたナズナの声が聞こえてくるが、それに構う余裕すらない。
痛い、痛い、痛い。痛くて熱くて気持ち悪くて吐きそうで。他に思考を割く余裕もなくて。なんで自分がこんな目に遭っているのかと疑問すら覚えて。
ああ、こんなにやばい痛みは二度目だな、なんて。呑気に思考する自分がいることにも気付いて。
「痛ぇか、オイ。でもな、実戦じゃあ腕が折れたぐらいでうずくまってる余裕も暇もねえ。それじゃあ殺してくれって言ってるようなもんだぞ」
ランドウ先生の声が頭上から降ってくる。いくら身長差があるっていっても、なんでそんなに上から声が聞こえるのか。そうか、俺が顔面を地面に突っ込んでいるからだ。
「ぐ……ぎ、ぃ……」
歯を割れんばかりに噛み締めて、激痛と吐き気を飲み下して、俺は顔を上げる。そして、意外そうな顔で俺を見るランドウ先生を真っすぐに見る。
「……おいおい。こりゃあ予想以上だ。本当に、思っていたよりも根性があるな。喋れるか? もし喋れるなら言え。何故剣を学ぶのかを。本心からな」
ざけんな、喋るどころか顔を上げるだけで精いっぱいだぞ。それでも、ああ、そうだ。人間、一度目は無理でも二度目ならなんとか耐えられるもんだ。
「……死にたく、ない……」
「アァ? 命乞いか? 安心しろよ。さすがに殺すまでは――」
前世で死ぬ時、腹を刺された時もこれぐらい……いや、今以上に痛かった。刺した上で何度も刃物を捻られたからな。致命傷と骨折なら致命傷の方が上だ。だから今はまだ、マシなんだ。比較できる痛みを知っているから、耐えられるんだ。
そう自分に言い聞かせて。目の前の男から剣を学ぶ理由を口にする。
「――死にたくないからだ!」
見放されたら将来殺される可能性が高いから――そんな理由はもう知らん。蹴り飛ばす。
俺は死にたくない。二度目の生ぐらい全うしたい。だから生きたいし、そのためには強くなりたい。強ければそれだけ死ににくいし、選べる選択肢も増える。逆に、弱ければ選択肢も減るし理不尽に死ぬ可能性も高まる。
「弱けりゃ自分の生き死にも選べねえ……そんなの嫌に決まってるだろうが! だから強くなる! 文句あるか!? あるならかかってこいこの野郎!」
木剣を右手一本で握り、叩きつけながらそう叫ぶ。
理由を求めれば単純極まりない。死にたくない、生きたいという生物としての本能。『花コン』だゲームだ主人公だ『魔王』だ、そんなもの、この場では放置だ。
振るった木剣は素手で受け止められ、ビクとも動かない。それでも構わねえ。おら、かかってこいこの野郎、と勢い込んで両手に力をこめる。
「次はなんだ!? このまま戦うか!? また素振りでもするか!?」
痛みが酷すぎて逆にテンションが振り切れた感じがする。アドレナリンがドバドバだ。もう自分が何を口走っているのかすらわからなくなってきた。
「…………」
ランドウ先生は俺を無言で見下ろしてくる。その視線が何を意味しているのかわからない。だから俺は何ガンつけてんだこの野郎の精神で睨み返す。
「合格だ」
「……?」
合格ってなんだ。戦わないのか。こっちはアドレナリンで痛みを感じなくなってるから戦えるぞ。負けるとしても一発でいいから叩き込んでやるわ。
「そのまま動くな。すぐに治してやる」
俺が戦意旺盛に困惑していると、ランドウ先生はどこからともなくガラス瓶を取り出し、レオンさんへと投げ渡した。
「骨を接ぐからかけてくれ」
「わかった……合格はいいとして、お前の見立ては?」
「斬らずに済んで良かったな。人間だよ、コイツは。おいミナト、痛むが我慢しろ」
レオンさんと何やら意味深な言葉を交わしたかと思えば、ランドウ先生が俺の左腕を掴む。アドレナリンが出てても折れてるから違和感がすごいんですけど?
そう思ったのも束の間、慣れた手付きで折れた骨を接ぎ合わせ、それを確認したレオンさんがガラス瓶に入った液体を骨折した部分にかけてくる。
「いっ……たいけど、痛くなくなった?」
「骨を折ったから中品質のポーションを使った。ポーションは飲んでも効くが、こうして患部に直接かけた方が効果が高い。ただし骨折なら骨を接げばいいが、斬られて内臓に傷が付いたらそっちから先に治せよ。外側だけ塞がって酷い目に遭うぞ。よく覚えておけ」
え? ポーションって使い方で効果が変わるの? たしかに痛みも熱さも吐き気も一気に収まってきたけど。
「手の平は……このぐらいなら低品質のポーションで足りるな。まずは木片を抜くぞ」
意外に、というべきか。ランドウ先生は俺の手のひらに食い込んでいる木片を丁寧に除去すると、左腕の時と同様にポーションを両手にかけてくれる。すると潰れていた肉刺も擦り切れて破れていた手のひらの皮膚も再生し、痛みが引いた。
「あとはこれも飲んどけ」
言われて差し出されたポーション……今しがた手にかけたものと同じ色のものを飲む。そうして一分と経たない内に体全体の痛みと疲れが引き、一気に楽になった。
うん、楽になったんだけど、痛みが一気に引いたせいか、それとも精神は限界だったのか。頭の中でプツン、と何かが切れたような気がする。ドバドバだったアドレナリンがどこかに飛んでいって、一気に眠気が襲ってくる。
赤ん坊の頃に戻ったような、抗いがたい眠気で全身から力が抜ける。俺はそのまま前のめりに倒れ――ランドウ先生が受け止めてくれた。
「回復用のポーションだと体は治るが、精神の方はそうじゃねえ。魔力を回復するためのポーションなら多少は精神も癒えるがな。それに回復魔法と同じで病気は治せないし、脳震盪みたいな一時的な症状にはあまり効果がない。これも覚えておけ……っと、聞こえてないか?」
聞こえてるけど、それまであった痛みの数々が一気に消えたせいで本当に眠い。なんとか目を開けていようと思ったのに、俺の意思を無視するように瞼が落ちてくる。
「お前の眼鏡にかなったみたいだが、剣を教えるとしても今日みたいな無茶はやめてくれよ?」
「善処はするが、俺の弟子にするんだ。こいつは凡才だが凡人で終わらせる気はさらさらねえ。お前のところの嫡男でなければ俺の旅に連れて行くんだが……」
「やめてくれ……剣術も大事だが、他にも学ぶべきことがたくさんあるんだぞ……」
眠りに落ちる前に、ランドウ先生と困った様子のレオンさんのそんな会話が聞こえた気がした。