「私のことじゃない」
「これね、A子ちゃんから聞いた話なんだけどね、ほら、あの子、××さん、何でも好きな人がいるんだって。なんか階段で転んだ時に受け止めてもらって、ときめいちゃったんだって。ロマンチックだよね~。あーあ、私もそういう特別な恋とかしてみたいなぁ。っと、あ、これ、一応内緒ね? 私も口止めされてるの今思いだしちゃって」
「これさ、B音が言ってたんだけどさ、××さんに好きな人がいるんだって。出会いっていうのが結構すごくて、えーっと、なんだっけ、確か階段、あ、そうそう、階段でぶつかった時に知り合ったらしいよ。まぁ、今はお互い話してる感じしないし、片思いなんだろうね。これ、他の人には言わないでよ? こういう話広がるの、なんだか可哀そうだし」
「ねぇねぇ、きいてよ……C名さんが言ってたみたいなんだけど、××さん、前人とぶつかって怪我させちゃったんだって……多分階段の曲がり角って言ってたと思う……ほら、最近××さん帰り早いでしょ? 多分病院に見舞いに行ってるんだと思う。他の人は恋愛感情もあるんじゃないかって言ってたけど、どうなのかな……」
「知ってる? いや、私もD森が言ってたのを聞いただけなんだけどさ。××さん、人を怪我させたらしいよ。それも病院に入院させるくらいの。といってもわざとかはわからないみたい。なんかその人のことが好きって話もあった気がするし、内心はかなりのものなんじゃないかな。でも、面会する機会にもなるし、しっかり謝れば逆にお近づきになるチャンスにできるんじゃないかな?」
「最近学校で事故があったみたい。E奈さんが言ってたよ。××さんが人とぶつかって怪我させたって。なんか距離感を近くしたかったけど、うまくいかなくて病院に搬送されるくらいのになったみたい。まぁ、理由があるみたいな感じだし、もしかしたらこれを狙った可能性もあるのかね?」
「F代君がさ、なんかよくわかんない顔してたんだよねー。だから何かあったのかきいたら、××さんが人を怪我させたって話をきいたって言っててさ。わざとっぽい感じもあるけど、だからといって人にあれこれ吹聴するもんでもないからって隠してたっぽい! まぁ、病院送りにするくらいってことだし、ほんとか? ともなるよねー。あんな地味そうな顔なのに。たまに休んだりしてるけど、やっぱり怪我のことでなんか話し合いとか入院先に行ったりとかあるのかな?」
「G菜からもしかしたらって話があったよ。××さんが最近人を病院送りにしたんだって。私もまさかそんな危ない人だ行ってるてなくてびっくりした。なんか最近帰り早いのも、入院先にいってるとか。事故とはまたちょっと違うみたいで、何回かやってそうな感じ。ちょっと距離置いた方がいいかも」
「あ、そうだ、今日ね、H場が変なこと言ってたんだけどさ。あれ、知ってるの? そうそう、××さんのこと。ううん、そういうのじゃなくて、なんか××さんって危ない人らしいよ。結構人怪我させるんだって。病院送りにさせたこともあるんだって。いや、だから変なことっていったじゃん。私も本当のことかはわからないけどさ、でも、実は裏でなんかやってそうな感じもあるじゃん、××さん。こういう話も出回ってるし、火のないところに煙は立たないってやつじゃない?」
「なぁ、I間が言ってたの、もう聞いたか? じゃあ俺が教えてやるよ。いいか……××なんだけどさ、かかわるとやべえって話だ。あんな顔しておいて裏ではかなり喧嘩っ早くて何人も病院送りにしてるみたいだ。目とか合わせると、何されるか分かんねぇぞ。中学の時も一緒だったんだけどさ、結構な期間休んでたことがあったんだよ。あれ、今思ったんだけど、いわゆるやらかしてムショに入ってたんじゃねぇかな。え、少年院?」
「なぁ、お前だから言うけどさ、J守がいってたこと、俺は信憑性あると思うんだよ。いやいやいや、そっちじゃなくて、少年院にいたって話だよ。俺も人から聞いたってなるけど、中学のころ、××さん、なんか服が汚れていたこともあったらしいんだ。あれさ、殴り合いとかしてたんじゃないか? で、少年院に行ってしばらくいなかったってやつだ。教科書も結構ぼろぼろだったし、教科書の角とか使ってたんかな……?」
「うんうん、あ、そういう話ならK藤が言ってたよ。××さんでしょ? うん、ほらK藤は××さんと同じ中学にいた友達がいたからさ、その時の様子も知ってるんだけど、服が汚れるくらい荒くれだったんだって。うん、血とかもでてたんじゃない?」
「私、本当だとは思わないんだけどさ。L森さんからこんな話きいたの。××さんが殺傷事件起こしたことあるって。最近もあったみたい。それ、病院送りのってやつ。血だらけになるくらいって言ってたけど、本当だったら今も教室にいるの、おかしくない? あ、でも、帰りが早いし、もしかして取り調べとか受けている可能性はあるのかな……」
「えっと、面白い話面白い話……面白いかはわからないんですけど、M央からきいたんですけど、あ、ごめんなさい私の友達からです。その子の同じクラスに××さんって子がいるんですけど、裏では殺傷事件とか、少年院にいったこともあるって。最近帰りが早いみたいなんですけど、もしかしたら取り調べとか受けているかもって。そういえば、最近警察のパトロールとか増えてる気がするんですけど、これ関連だったりするんですかね? ってことで、身近にそういう人がいるのってなんだかおもしろかったりしませんか?」
「N瀬、なんかやばい気がするんだよね。隣のクラスに××って人がいるの知ってる? その人、人殺しかけたことあるんだって。捕まったこともあるし、最近もなにかやらかして警察から取り調べ受けてるとかで、それを身近にいて面白いんじゃないか、だって。んなわけないじゃん。私は怖いよ。決めた、もう隣のクラスにはいかない。目つけられたら何されるかわかったもんじゃないし。今警察のパトロールも増えてるっていってるし、早くつかまってくんないかな」
「O田が怖いこと言ってたんだよね。隣のクラスに××さんっていう人がいるみたいなんだけど、人殺しかけて捕まったことがあるんだって。僕もそういえばパトロール増えてきた感じがするし、最近何かやらかしたって言ってたし、本当に何か起きてたのかな。それにしては、誰も欠席している感じないし、学校外の人だったりするのかな」
「P香ってやつから聞いた話でさ。4組に人殺して捕まったことがあるやつがいるんだってよ。××ってやつ。最近もやっちまったって。今警察から取り調べ受けてるんだけど、また捕まるんかな。最近は休むことも増えてきたっていうのも別のやつからきいたんだけど、検査みたいなの受けたりしてんのかな。ドラマでみたんだけど、狂ってるのかどうか検査するんだろ?」
「びっくりしたよ。いやさ、Q戸ってやつが知り合いにいるんだけど、結構あいつガサツでチンピラって感じなんだよね。でも、4組の××って人が人殺ししてるって知った時、めっちゃ慌ててたんだよね。あれ、知らなかったの? 他の人からもきいてみたら? 確か今日は××いなかったって4組の人いってたし、確か私たちくらいなら鑑別所? みたいなところにいってるんじゃない?」
「R原先輩からすごい話きいた! ××って人がこの学校にいるんだけど、今人殺しの容疑で拘留されてるんだって! ほら、ちょっと前に学校でなんか噂に関するアンケートあったでしょ? あんなの今までやったことなかったからなんだろうって思ったらこのことだったんだね! あれかな、緘口令みたいなの敷かれたりするのかな?」
「S々木っちが言ってたこと、ほんとだったとはねぇ。さっき先生が言ってたやつのこと。最近事件が起きたなどの噂は事実ではないよってやつ。一つ上の先輩に××さんっていう人がいるんだけど、多分その人についてのだと思う。今人殺して捕まってるんだって。最近ずっと学校にきてないみたい。やっぱ学校としてはそういうの隠したいだろうし、だからあんなお知らせ言ったんだろうなぁ」
「学校が殺人事件を隠ぺいしてるって話知ってる? T莉からきいたんだけどさ、学校に××って人がいて、人を殺して捕まってるんだって。といっても捕まるっていうのはちょっと違うんじゃないかな。確か最初に検査を受けて、それで正気ならって話でしょ? 病的な感じだったら、多分先に治療とかするんじゃない? そういうのってどれくらい入院することになるんだろ」
「××って人が捕まった話があったろ? そうそれ、学校が話題にするなっていってたやつ。U結がさ、今は検査受けてるんじゃないかって言ってけど絶対もう病院にいるって。中学にもなんかやらかしてたんだろ? さすがに何回もやってすぐ釈放だったら意味わかんないって。きっと暴れないように檻とかのある部屋に閉じ込められてんだよ」
「いやぁ、みんなどうにか無事に進級できたね。そういえば××先輩の名前、どこにもなかったよね。V丸が言ってた通り、やっぱり捕まっちゃったのかな。でも、さすがに人殺したみたいだし、仕方ないよね。そういう人ってこれからどうするんだろ。留年って形になるのかな、それとも退学?」
「あ、先輩。先輩にも言っておきますね。W佳も話してたんですけど、そう、××って人のです。先輩の学年に名前なかったっていってたじゃないですか。もし留年だったら私たちの学年にいるってことになるんで、それは嫌だなって思って確認したんですけど、どこにも名前なかったんですよね。ってなると、多分退学ですよね? じゃあ今は病院にいるか、少年院にいるかって感じですよね。あー、よかったぁ。戻ってきたら同じ学年になるって可能性だけで、怖くなっちゃいますし」
「X美ちゃんが言ってたけど、下の子の学年にも××さんの名前なかったって。え、転校したって先生言ってたの? あー、そっか、そうすれば捕まったってことにはならないもんね。でも、ここまで話が広がってるし、みんな騙されないんじゃない? でも、いなくなったのは良かったよね。今までは戻ってくるかもってことで話も続いてたし、やっとこんな物騒な話もなくなるんだね」
「やっと授業終わったー。で、次は数学? うわ、移動教室じゃん、めんど。いや、Y佐も言ってたけど今は××さんもいなくなったし、警戒しながら廊下歩く必要ないんだ。まったく、なんか一々警戒してたのが馬鹿だよね。こんなことならこんな噂なんて出回らなければ楽だったのに」
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「でさ、結局それって誰が最初に言い出したの?」
「さぁ? でも、なんかきっかけがあったんじゃない? きっかけがないとこんな話だってでてこないし」
「ふーん、そんなものなのかなぁ。なんか、かわいそう」
「殺人鬼だよ? むしろ、ちゃんと成敗されてよかったでしょ」
「うーん……」
「じゃ、私は先に行ってるからね」
「はーい」
「あっ、いた。おーい、一緒に教室行こー、って、A子、どったん? なんかしんどそだけど」
「あー、うん、いやさ、さっきZ依の話聞いちゃったんだけどね。××のこと」
「あー……そっか。A子、××ちゃんと結構話してたんだっけ?」
「うん。私はみんなが言うような殺人鬼にはみえなかったんだけどな……」
「まぁ、そうやって偽ってきたところはあるんじゃね? じゃないと、すぐにばれっし。てか、今回は秒でばれちゃったけど」
「それもだよね。誰が最初に言い出したのか、わからないみたいだし。本当、誰がこんな噂流したんだろ」
「噂なんてそんなものっしょ。つーか、噂っていうか事実? ま、なんかあったらニュースになるっし、それまで待ちじゃね?」
「うん、そうだね」
「じゃ、教室行くか―」
「はぁ、4限目で移動教室って嫌だよねぇ」