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魔法少女ミーラヤ・バギーニャ

魔法少女は知っている

作者: 川里隼生

「ルナ・インパクト!」

 ミーラヤ・ビエリーの必殺技が決まりました。彼女は忘れっぽい性格をしているので自分の必殺技の名前を忘れることもありますが、今日は覚えていたようです。


 敵さんが完全に浄化されたのを確認して、私たちは変身を解きます。正体を隠しているわけではないので、街中で堂々と。とはいえ、さっきまで謎の怪獣が暴れていた場所の近くに人の気配はありません。


「ねえ、この掛け声っているの?」

 ビエリーの白い衣装から元の紺色の制服に戻ったかなでが言います。これはほぼ毎回言っています。そして毎回、ミーラヤ・ローザプイこと安那あんなに言い返されます。

「キャッチーなフレーズは絶対いるの!」

 曰く、そうしないと話題にならないしおもちゃも売れないんだそうです。安那は何かを勘違いしていると思うんですよね、私。


 安那と私は小学一年生の春に出会って以来の付き合いで、中学一年生の今年度は同じクラスです。なので私は知っています。安那が最初に持った将来の夢が魔法少女であることを。しかも、専門家と呼んで差し支えないほどの知識とこだわりを持っていることを。


 私たち三人は変身するとピンク、青、白に色分けされます。私は青です。問題なのはビエリーの色が相場通りの黄色ではなく、白であるという点です。私としてはトリコロールに似た配色でおしゃれだと思うのですが、初めて変身したときの安那は黄色のほうが収まりがいいはずだと虚空に向かって文句を言っていました。


 私たちには一人ずつ小さな妖精さんがついているのですが、私を担当してくれているのはエスという真っ赤な熊の姿をした子です。そのエスに、私たちの色の組み合わせに意味があるのかと尋ねたことがあります。

「ないよ。青が不満なら変えられるけど、変える?」

 ドライな返答でした。


 きっと三人とも色は変えないでしょう。私は今の青に不満を持っていません。安那が主人公カラーのピンクを手放すとは思えませんし、奏も将来の夢が変わっていなければ白に不満はないはずです。しかも奏は見た目通りの性格をしていますから、仮に安那から変更を迫られたとしても自分の意に反することはしません。


 どうして断言できるのかって? 知っているからですよ。奏の夢が看護師であることも、奏が頑固者であることも。だって私と奏は幼稚園で出会って以来の付き合いですから。

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