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閑話3

掲載してなかった閑話があったのて、せっかくなので上げておきます。

 アキリアは文官執務室の扉の前に立っていた。決心をして来たものの、なかなか入れずに立ち止まってしまった。リメラリエがリヴァランから狙われている今、対抗する術を持つ人はここにしかいない。そう思いつつ、止まってしまっていた。すると、後ろから声をかけられる。

「入らないなら退いてくれますか、アキリア卿」

 後ろを振り返ると肩につくほどの長さの赤い髪に、赤い瞳の漢が立っていた。

「メディス卿」

 それはアキリアが探していた男だった。アキリアは逃げている場合じゃないと一瞬で思い、そのまま声をかけることにした。

「メディス卿、ご相談があります」

「へぇ?確か先日は私のことを睨んでいたように思いましたが」

「申し訳ありません」

 あっさり謝ったアキリアにメディスは少し驚いた顔をした。しかし、少しため息をつくとすぐにアキリアに声をかけた。

「ここではなく別の場所にしましょう」


 移動したのはメディスの個人部屋だった。城内のにも部屋を持っているらしかった。

「どうぞ」

 椅子を勧められて、アキリアは大人しく従った。お茶が置かれるのを待って、口を開く。

「メディス卿、……リメラリエ嬢を守るためにリヴァランへ対抗する術を協力頂けないでしょうか」

 アキリアの言葉にメディスは驚愕に目を見開いた。

「私に協力を求めるのかい?」

「私の力だけではどうにもならないので」

 アキリアは酷く不安だった。リヴァランへの対策がほぼ思いつかない。彼らの魔力についての知識があまりにも欠けている。このままでは簡単にリメラリエを奪われてしまう気がしていた。

「魔力に対抗できるのは魔力しかないと思っています」

 そう言ったアキリアにメディスは少し頷いたように見えた。少し思案したあと、メディスがアキリアを見る。

「とりあえず、誤解を解いておきたい」

「誤解、ですか?」

 よく分からずアキリアは首を傾げる。

「私はリメラをどうこうしようとは思っていない。第二夫人や愛人にする気だと言う噂もあるのは知っているが、ありえない」

 その言葉に、アキリアは固まった。その噂はアキリアも聞いていた。誰がどうみてもリメラリエとメディスは仲の良い様子に見えた。メディスはすでに結婚しているが、そう言う関係を勘繰る人間もいる。

「……、でも事実愛称で呼んでいらっしゃるじゃないですか」

 アキリアは気になっていたことを口にした。リメラリエが城で働き始めてからそんなに経っていないがそれにも関わらずメディスはリメラリエを"リメラ"と呼んでいた。

「あぁ、だからなのか。今後は気をつけよう。私はずっとあの子の魔力の教師だったんだ」

 知らなかった事実にアキリアは驚く。

「彼女が社交などを避けていたのを知っているだろう?その間彼女が興味を示したのは、魔力だけだ。そのためファクトラン大公がうちに依頼して派遣されたのがたまたま私だった。その当時私も彼女と同じように屋敷に引きこもっていたような人間でね」

 今のメディスからは信じられないようなことだ。文官のなかでもかなり厳しいと聞いたことがある。

「……、同じところにいるのに違う場所にいるような子だった。それが心配で。私からするとリメラリエ嬢は、手間のかかる妹のようなものだ。あまり頼ってもらえないが」

 その話を聞きアキリアは申し訳なくなる。おそらくアキリアは無意識に嫉妬心を剥き出しにしていた。穴があったら入りたい。

「まぁ、そんなことはいい。あの子がリヴァランに連れ去られるようなことは私も望まない。いくつか私の研究している魔道具が役に立つかもしれない」



 そう言って快くメディスは協力をしてくれた。これがなければ彼女を無事に助けることはおそらく出来なかっただろう。

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