三角形な奇妙な日常25
仲間にも、口寄せのネックレスをくれた、あの占い師にも感謝の気持ちでいっぱいだ。
そして季夜。
また俺の前に現れてくれた。
感謝しかない出来事だ。
仲間が話の続きを始める。
「だからさ、住原の誕生日祝いをみんなでやりたいと思うんだけど。どうかな?」
その台詞に仲間達は「良いな、それ」と明るい声を漏らす。
誕生日祝いか……何だかくすぐったいけれど……。
「サンキュー。じゃあ、祝ってもらおうかな」
照れながら俺は言った。
俺がそう言うと仲間達は、ほっとした表情を浮かべた後、俺の誕生日祝いの事でわいわいと盛り上がり始めた。
「じゃあ、ささやかだけどみんなで住原を祝ってやろうぜ!」
「店、どこがいいかな?」
「ボーリングとか、カラオケとか? ファミレスで飯食べてさ」
俺の誕生日祝いの話で場は盛り上がる。
「あ、あのさ」と俺が言うと、仲間達は、「どうした?」と俺に視線を向けた。
俺は気まずいながらも「俺の誕生日っていつだっけ?」と話す。
仲間達から、「ええっ?」と驚きの声が漏れる。
「いや、自分の誕生日何て眼中に無くてさ。今、ちょっと思い出せない」と俺が言うと山野が呆れた顔をして、「後、五日後だろ」と言う。
五日後……金曜日か。
五日後。
そのカウントダウンを聞いて、俺は何処かもやもやした。
その日、確か何か大事な日じゃ、無かったか?
俺が考え始めたその時、次の講義が始まる予鈴が鳴り響いた。
「行こうぜ、住原。次の講義、遅刻しちまう」
「あ、ああ」
俺は仲間達と共に速やかに教室から、また別の教室へと移動した。
大学の講義を終えた俺は仲間達とハンバーガーショップでだべっていた。
それはアルバイトへ行く前の憩いのひとときとなった。
話題は俺の誕生日パーティーの話。
話しているうちに店はカラオケに決まり、午後の五時半ごろ、大学が終ってからみんなでカラオケ店へ行く事になった。
デキる仲間が既に店の予約を済ませてくれていた。
時間はフリータイムで。
「季夜も来れたらな」何て一人がそう言うと、場は何となくしんみりとした。
俺にとって季夜の死はまだ受け入れがたいものだった。
友達が死ぬ。
それは人生最大の出来事。
多分、こいつらにもそうに違いない。
季夜は間違いなく俺達の特別であったから。
なおさらだ。
その仲間の一人がこんな事を言う。
「あいつもさ、天国から来てくれるよ」何て。
その言葉を聞いて、季夜と口寄せで毎日、会っている俺はどきりとした。
仲間には口寄せの事を話していない。
こんなの話したところで正気を疑われるだけの様に思えて話せなかった。
しかし、みんなだってきっと季夜と話したいはずだ。
今、此処で口寄せの事を言うべきか否か考えるも、やっぱり告白する勇気の無さに押されて俺は言い出せなかった。




