【第5話】 食堂にて
武藤
「あと何個残ってる?」
井上くん
「並んでる人が多くて、ここからだと見えないよ」
武藤
「授業終わって速攻で来たからな。今日こそは限定のBIGり焼きそばパン食べたい。」
井上くん
「限定50個しかないから、入学してからまだ一度も買えてないし、武藤くんずっと食べたがってるもんね」
武藤
「今日こそ食べれる気がするんだよな」
~15分後~
武藤
「残ってるのはあと7個か。前には5人しかいないし、ぎりぎり買えそうだな」
チャラい大学生A・B
「うぇーい。もう後すぐじゃん。並んでくれてありがとう」
武藤
「あ、なんだよ。横入りしてきやがった。おい、しっかり並べよ」
チャラい大学生A
「は?こいつが並んでたじゃん。1年は黙ってメロンパンでも食べてろよ」
チャラい大学生C
「並んでました~」
武藤
「こいつ、、」
井上くん
「仕方ないよ。ここのパンは何でもおいしいから違うの食べよう」
武藤
「くそ。残り3つか。前のこいつらが来なきゃ俺ら2人とも買えたのに」
チャラい大学生C
「おばちゃん、俺焼きそばパン1つね」
食堂のおばちゃん
「はいよ。150円ね」
チャラい大学生A
「俺も焼きそばパンで」
食堂のおばちゃん
「ごめんね。焼きそばパンは売り切れだよ」
チャラい大学生A
「いやいや、そこに2つ余ってるじゃん」
食堂のおばちゃん
「ごめんね。この焼きそばパンはそこの1年生2人に買われちゃったんだよ」
チャラい大学生B
「は?俺らのが先に並んでんだろ」
おばちゃん
「ずるしといてなんだい。わたしゃずっとお客さんのこと見てるんだよ。あんたらが割り込んだのだってしっかり見てるんだよ。せめてもの優しさで並んでた1人だけには売ってやる。ほんとは売りたきゃないけどね。さぁ、分かったらさっさとどきな」
チャラい大学生A・B
「なんだよ。もう2度とこんなパン買わねーよ」
おばちゃん
「はい、あんたらご注文は?」
武藤
「おばちゃんマジありがとう!」
井上くん
「ありがとうございます」
おばちゃん
「わたしゃずっとお客さんのことを見てるんだ。ここで働いて10年ずっとね。あんたみたいなお客さんのために働いてるんだよ」
井上くん
「僕ですか?」
おばちゃん
「あんた、毎回パンを買うとものすごい丁寧にお礼を言ってくれる。食べ終わった後にも、毎回私の顔を見ると言ってくれるからね。パンを本当においしいと思ってくれてるんだと感じるよ。そんなあんたみたいな真面目で利口な子が、しっかり並んでるところ割り込みされたら、助けたくなるってもんだよ」
井上くん
「ありがとうございます!本当にここのパンは何でもおいしいですから!」
おばちゃん
「さぁ、ご注文はなんだい」
井上くん 武藤
「「BIGり焼きそばパン!」」