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自分探しの異世界冒険  作者: バーチ君
新たな大陸で自分発見の旅!
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亜空間の家づくり

 南にあるという古代遺跡に向かって、オレと師匠は再び旅に出た。相変わらず、オレも師匠も犬獣人の姿だ。特にオレは7歳ぐらいの子どもに姿を変えた。すかさず師匠がオレお抱きかかえる。



「やはり、シンのこの姿は可愛いな。ペルが惚れてしまうのも分かる気がするぞ!」


「やめてくださいよ。師匠。」



 オレと師匠は森の中の道をひたすら南に向かって歩いた。南に行くに従って、木々は広葉樹から針葉樹に変わっていく。そして気温が下がり始めた。さすがに、すれ違うものは誰もいない。



 辺りにはちらちらと雪が舞い始めた。



「師匠。雪です。」


「そうだな。シンは雪を知っているのか?」


「はい。元いた世界でも降りましたから。小さい頃は雪だるまや鎌倉を作ったのも覚えています。」

 

「雪だるまとはなんだ?」



 オレは小さな雪のボールを2つ作ってそれを上下に重ねて見せた。



「これです。これに目や口や手を付ければ完成です。」


「これはスノーマンではないか?」


「スノーマンですか?」


「ああ、雪の魔物だ。普通は雪山にいて人を襲って食べる魔物だ。」



 オレ達は降り積もる雪の中を歩いた。すると、雪原に住む魔物スノーウルフが群れでいた。どうやら、オレ達を獲物と認識したようだ。左右に分かれ、オレと師匠を挟み撃ちするように位置している。オレは、近くに誰もいないことを魔力感知で確認して、魔法を発動する。



「ファイアーアロー」



 空に無数の火の矢が現れる。オレが手を下げると、火の矢は魔物に襲い掛かる。一気にスノーウルフは全滅した。辺り一面、雪が解けて蒸気が発生している。



「これで食料が確保できたな。」


「はい。」



 雪の中で師匠が体を震わせた。恐らく体が冷えたのだろう。オレは、師匠の周りに保温結界を張った。



「ん?! 体の冷えがおさまったぞ! シン。お前か?」


「はい。女性に冷えは禁物ですから。」


「シ――――――ン!」



 師匠が子どもの姿のオレに抱き着いてきた。オレのほっぺにキスの嵐だ。



「シンは優しいな。」



 オレと師匠は一旦師匠の屋敷に転移で戻った。温かい風呂に入ってゆっくり温まっている。寒かったせいか、風呂が気持ちいい。ただ、子どもの姿のオレを師匠が洗いたがるので、オレは元の姿に戻った。



「シン?! 私の貴重な時間を奪う気か?」


「疲れたので、早く出て今日はもう寝ましょう。」



 何故か師匠はムッとしていた。


 翌日、昨日の場所まで転移して再び歩き始めた。するとオレの魔力感知にたくさんの反応があった。どうやら、古代遺跡があるようだ。遠くから人々の悲鳴が聞こえる。



「ギャ―――――!」


「助けてくれ――――――!」



 オレと師匠が遠くから確認すると、複数のスノーマンが兵士達を襲っていた。兵士達が剣でスノーマンを切り裂くが、スノーマンはすぐに修復している。兵士達になすすべがない。


 オレは刀に闘気を満たし、師匠は剣に闘気を満たし、スノーマンに切りかかった。本来、刀や剣で切られたスノーマンは復活するが、オレ達が切ったスノーマンは復活することはなかった。



「感謝する。だが、この場所に何か用事か?」


「古代遺跡を観光に来ました。」


「なんだと~! お前達は何者だ?」


「僕達ですか? 僕達は使徒ですよ。」


「使徒?!」


「嘘をつくな。キャッツの街に現れた使徒は青年と美女と聞いているぞ!」



 師匠は美女と言われて体をくねくねさせている。



「僕達はこの古代遺跡を調査して、消滅させに来たのさ。」


「やはり、お前達はこの古代遺跡を奪いに来たんだな。」


「シン。しょうがない。元の姿を見せてやれ。」



 オレは魔力と闘気を解放した。神々しい光に包まれ背中に純白の翼が出た。



「本当だったのか? あの噂は?」



 兵士達は片膝をついて挨拶をしてきた。



「オレ達を案内してくれるかな?」


「はい。わかりました。」



 オレ達は兵士の案内で古代遺跡の中に入った。中を調べていくと、古代遺跡の中には戦闘機と戦車があった。



「このほかに古代兵器はなかったんですか?」


「はい。これだけです。」



 すると、以前と同じように突然黒い霧が現れた。ホログラムにナザルが映し出される。次の瞬間、戦車と戦闘機がすべて消えた。兵士達は驚いている。



「シン。ナツ。ここの兵器ももらっていくぞ! 古代兵器がすべてそろえばこの世界もあの方のものになるさ。楽しみに待っているがいい。」



 ホログラムとともにナザルの姿は消えた。隣には驚きのあまり地べたに座り込んだ兵士達がいた。



「みんな。外に出よう。この遺跡はこれから消滅させるから。」


「わかりました。」



 オレ達は外に出た後、師匠の魔法で古代遺跡ごと消滅させた。兵士達が再び腰を抜かしたことは言うまでもない。


 オレと師匠は、もう用事のないこの場所から足早に立ち去った。


王都に行く途中にはいくつかに街がある。その街に寄っていくつもりだ。雪原地帯を抜け、森に入り、さらにその森を抜けたところに小さな村があった。その村には何の問題もなかったので、すぐに次の街に進んだ。ここで師匠がオレに言って来た。



「シン。お前、空間魔法がかなり上達したようだが、亜空間を作ることはできるか?」


「亜空間ですか?」


「そうだ。もし亜空間が作れるのならば、いちいち私の家に転移することなく、その亜空間の中に家を作ればいいだろう。」


「確かにそうですが、できるかな?」


「ブラゴができたぐらいだ。今のお前にできないはずがない。試しにやってみろ!」


「はい。」



 オレは体中の魔力と闘気を亜空間を作る魔法につぎ込んだ。体中から眩しい光が放たれる。そして、空中に真っ白な空間が現れた。オレと師匠はその中に入ってみる。そこは真っ白なただの空間だ。



「シン。花畑とか、小川とか想像してみろ。」


「はい。」


「頭の中に田舎の風景を思い浮かべた。すると、真っ白な空間に色とりどりの花が現れ、小さな川ができた。」


「やはりな。」


「恐らく亜空間の中は、その亜空間を作っているものの想像の力ですべてが生み出されるのだ。ただし、その分魔力が消費されるのだろう。」


「ブラゴには真っ白の亜空間を作ることはできたが、それ以上のものを作る魔力がなかったのだろうな。」


「なら、オレがこの中で家を想像すれば家も、風呂も作れるということですか?」


「恐らくな。もしかすると、小鳥や小魚なんかも作れるかもしれん。」


「すると、森が現れ、小鳥たちが現れた。」


「さすがだ。シン。これで私達だけの空間、私達だけの家ができるぞ!」



 オレ達は亜空間から出て、再び次の街を目指して街道を歩いている。街道を走る馬車や獣人達と何度もすれ違う。人の往来が多いようだ。すると、30人ほどの武装した集団が急ぎ足でオレ達を追い越していった。



「彼らは何者ですかね?」


「人目を気にせず歩いているのだから盗賊ではあるまい。狩人ではないか?」


読んでいただいてありがとうございます。

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