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自分探しの異世界冒険  作者: バーチ君
新たな大陸で自分発見の旅!
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スタンピードで見えたもの

 オレと師匠が城壁のところに行くと、銃を持った兵隊が城壁の上と城壁の外に約500人ずつ並んでいた。後ろから皇帝が完全武装でやってきた。手にはバズーカ砲のようなものを持っている。



 皇帝ニコライが近くの兵士に聞いている。


「魔物達の軍勢はまだか?」


「はい。そろそろ見えると思います。」



 その言葉通り、森の方から土煙が上がっている。どうやら、前方はゴブリンとオークのようだ。ゴブリンの中心にはゴブリンキングがいる。オークの中心にはオークキング、その周りにオークジェネラルがいる。その後ろにはオーガの軍勢だ。中心にいるのはオーガキングだろう。オーガの周りには昆虫の魔物達だ。そして、ゴブリン、オーク、オーガに混ざるようにホーンウルフ達やブラックウルフ、ホーンベア、ブラックベア、ホーンボア、レッドボアがいる。オーガの後ろには、死霊系の魔物達だ。さらに最後尾にはサイクロプス、キメラ、コカトリスが控えている。



「シン。これはやばいぞ! そうとう犠牲者が出るぞ!」



 どうしようか悩んだ。古代兵器がどの程度魔物に対抗できるか見てみたいのも事実だ。



「師匠。しばらく様子を見てみましょう。」


「そうだな。」



 皇帝ニコライが最前列に出た。そして、自ら号令をかける。


「みなのもの。構えろ。」



 魔物達を引き付けるつもりのようだ。魔物との距離が200mを切った。



「撃て―――――!」


「バキュン! バキュン! ズキュン! ズキュン! ババババン!」



 ゴブリン達やウルフ達が次々と倒れる。だが、ゴブリンキングには全く効かない。


 ニコライ皇帝は手の持ったバズーカ砲を放つ。



「ズド――――――ン!」



 ゴブリンキングに直撃した。ゴブリンキングの上半身が吹き飛んだ。だが、魔物達の行進はなおも続く。城壁の前にいた兵士達の顔色が変わり怯え始めた。



「おい、銃が効かないぞ!」



 ニコライ皇帝は兵士達に号令をかける。



「撃て――――――!」


「バキュン! バキュン! ズキュン! ズキュン! ババババン!」



 球が命中したウルフ達やオーク達は倒れるが、オークキングは倒れない。魔物達が反撃に出る。魔法を放ったのだ。兵士達を電撃が襲う。後ろから強烈な光線が放たれ、城壁の一部が崩れた。恐らく、サイクロプスだろう。



「シン。これ以上は無理だな。」


「はい。」



 オレは最前列にいるニコライ皇帝の前に出た。



「シン殿?」


「後はオレに任せてください。」



オレは魔力と闘気を解放する。すると、赤髪は逆立ち、黄金の瞳はキラキラと輝く、背中には純白の翼が出た。全身から神々しい光が放たれている。オレは上空に舞い上がり、両手を広げ魔法を発動する。



「ストーム」



 すると、辺りの空が黒い雲で覆われ始めた。激しい風が吹き始め、それがいくつもの竜巻へと変わっていく。空からは叩きつけるような雨が降り始め、無数の稲妻が地面に落ちる。


 魔物達は上空に巻き上げられ雷に打たれていく。その光景を、皇帝も兵士達も口を開けてみている。



「これが神の使徒の力か?!」



 ニコライ皇帝はシンに恐怖すら感じた。



 だが、まだまだ魔物はたくさんいる。後ろには、コカトリスもいるのだ。すると、隣にいた師匠が魔法を放った。



「ディスアピアランス」



 辺り一面を黒い霧が覆っていく。霧の中からは魔物達の悲鳴が響き渡ってきた。



「ギャ――」「グォ――――」



 霧が晴れ渡ると、そこにはサイクロプスやキメラ、コカトリスが数体こちらに向かってきている。その周りにはゾンビやリッチのような死霊系の魔物達がウジャウジャトいた。



オレはさらに魔法を発動する。



「メテオロイド!!!」



 すると、空に広がる真っ黒な雲が赤くなり始めた。次の瞬間、空から無数の隕石が落下する。真っ赤に燃える強大な石が地面に降り注いだのだ。その爆音と熱風に兵士達は、慌てて城壁の中に逃げ込もうとしている。師匠が、兵士達の周りに結界を張った。



「ズド――――ン! ドドドド―――――ン!」



 辺り一面は土煙が上がり、周りは何も見えない。土煙が収まると、そこには巨大なクレーターがいくつもできていた。まだ、後ろに強力な魔物の姿が見える。リッチキングのようだ。オレは、再度魔法を発動する。



「ブラックホール」



 オレの手から放たれた漆黒の渦がどんどん大きくなり、リッチキングに近づいていく。リッチキングは逃げようとしているが、渦の吸い込む力が強く徐々に吸い込まれていく。



 師匠が純白の翼を広げてオレの近くに飛んで来た。



「終わったようね。」


「はい。久しぶりに疲れました。」



 師匠はニコニコ笑っている。兵士達は全員がオレ達に平伏し、拝んでいる。



 オレと師匠が地面に降り立ち元の姿に戻ると、オレ達の前にニコライ皇帝がやってきた。片膝をついて臣下の礼を取りながらオレ達に言った。



「ありがとうございました。おかげで民の命が救われました。」


「オレ達は自分ができることをしただけです。気にしないでください。」


「先ほどの話の続きを城で致しましょう。」


「はい。伺いましょう。」



 オレと師匠は城まで歩いていこうとすると、兵士達が次々と平伏して見送ってくる。オレと師匠は目立ちたくなかったので、転移して城まで行くことにした。オレと師匠が転移して、突然姿が見えなくなると周りの兵士達は驚いて回りを見渡した。



「おい。消えたぞ!」


「どこに行ったんだ?」


「やっぱり使徒様だ! スゲ――――!」



 城に行くとまだニコライ皇帝は戻ってきていない。そこで、師匠と古代兵器ついて改めて相談をした。



「師匠。魔法が発達していないこの大陸では、確かに魔物の被害が深刻ですね。」


「かといって古代兵器は戦争の原因になりかねないぞ!」


 

 オレは地球にいたときのことを思い出した。オレのいた日本では、一般市民は銃を持つことが許されていなかった。そのため、他の国に比べ銃を使った犯罪が少なかった。



 オレと師匠が応接室に呼ばれ中に入ると、ニコライ皇帝が立ち上がって待っていた。3人揃ったところで、あらためてソファーに座って話し始めた。


 ニコライ皇帝が話始めた。



「古代兵器が役に立つ魔物もいますが、役に立たないような強力な魔物がいるのも事実です。ですが、私には国民の命や生活を守る義務があります。」


「ニコライさん。ニコライさんの考えも分かります。ようは使い方の問題だと思います。他の国を侵略したり、武力で国民を抑えようとするならばオレは絶対に許しません。」



 ここで、師匠が話に加わってきた。



「シン。それは、人間に対して使うなということだな。」


「はい。それと管理の問題です。一般市民や悪意を持つ人間には絶対に持たせないということですね。」


「シン様。それでしたら冒険者はどうでしょうか? 現在彼らには渡しています。」


「銃を希望する者には申請させ、ギルドマスターが責任を持って審査して推薦します。その推薦を受けて国が審査をして、最終的に国が許可を出す。それでも、悪事に利用するものは出てきます。その場合は悪事に加担したものは極刑にする。それでどうでしょうか?」


「シンは、国が積極的に管理し、平和利用することは認めるということだな。」


「はい。それで問題が発生するようなら、オレと師匠で古代兵器を消滅させればいいですよね。」


「そうだな。ただ古代遺跡はどうするのだ。」


「確認しに行きます。ミサイルのような武器は危険です。オレ達で処分しましょう。いいですねよ。ニコライ皇帝。」


「承知しました。シン様とナツ様にお任せします。」



 オレと師匠は城を出て師匠の家に帰った。



「シン。良かったのか?」


「すでに人々に広がっていましたから。それに、魔物の被害を防ぐにはしょうがないですよね。」


「そうだな。平和利用することが前提で、転移装置のようにすべての国に平等に渡せれば問題はないな。」


「はい。」


 

 翌日、オレと師匠は古代遺跡に行った。すると、ニコライ皇帝が視察に来ていた。



「シン様。ナツ様。やはり来られましたね。」


「ええ、どんなものが発見されているのかを確認したいですからね。」


 

 古代遺跡の奥に行くと、そこには何もなく大きな空間があるだけだった。それを見てニコライ皇帝が驚きの声を上げた。



「嘘だ! 何もないではないか? どうしたのだ?」


「ニコライさんどうしたんですか?」


「この場所には、一杯になるほどの武器があったのです。」


「どんなものがありました?」


「先が尖った長い筒や、馬車のような形に大筒のついたものがいくつもとありました。」


「シン。恐らくミサイルと戦車だな。」


「はい。でも誰が?」



 すると、オレ達の前に真っ黒な渦が現れた。そこに、ホログラムのようなものが映し出される。



「シン。ナツ。久しぶりだな。まさかこの大陸まで来るとはな。いずれこの世界はあの方のものになるだろう。楽しみにしているがいい。」


「ナザル! ここの武器はどうした?」


「・・・・・」


 

 ナザルを映し出したホログラムは黒い霧とともに消えた。



「間違いないな。ナザルがどこかに持って行ったのだろう。」


「あの武器が使われたら、世界がかなり危険にさらされますよ。」


「ああ、ナザルの居場所を探さねばならんな。」


「シン様。ナツ様。どういうことか説明していただけませんか?」



 ここで、オレ達は別の大陸から来たことを説明した。



「まさか、本当にあったんですね。伝説と言われている大陸が。」


「ありますよ。この大陸と同じように人々が平和に暮らしています。それに、この大陸では姿が見えなくなった獣人族やエルフ族、ドワーフ族も人族と仲良く暮らしていますよ。」


「そうですか。この大陸にも昔はいたようです。ですが、今は人族だけになりました。」


「この大陸の人々が心から平和を願い、行動するようになればまた戻ってくると思いますよ。」


「そうですね。マング王国、チギト王国、ヒッタイ帝国が共に手を取り合って前に進むしかなさそうですね。」



 オレと師匠はニコライ皇帝の承諾の元、古代遺跡を消滅させた。


 その後、ニコライ皇帝と城に行き、他の大陸について聞いてみた。



「ニコライさん。他の大陸について教えてください。」


「はい。ここから一番近い大陸は、南のオセアンですね。そこには、獣人族が暮らしています。ただ、我々人族が中に入ることもできませんし、彼らが出てくることもありません。」


「他はどうですか。」


「ここから北には、少し離れてユーフラがあります。そこは人族が暮らしています。この大陸とも交流が盛んです。ここから西に向かうとドラゴ島という島があり、ドラゴンの生息地です。さらに西に行くとリフカという大陸があります。そこは魔族の大陸です。言い難いのですが他の種族が近寄ることはありません。」



 恐らくニコライ皇帝はオレと師匠が魔族だということも知っているのだろう。


読んでいただいてありがとうございます。

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