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自分探しの異世界冒険  作者: バーチ君
新たな大陸で自分発見の旅!
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魔の森

 翌朝、ファルコとの待ち合わせ場所に行くと、すでにファルコが来ていた。



「遅くなりました。」


「いいや。オレが早すぎただけさ。じゃぁ、行こうか。」



 オレと師匠はファルコとともに魔の森に向かった。


 魔の森の入り口付近では、弱い魔物しかいない。スライムやホーンラビット、レッドアント、イエローバタフが中心だ。オレ達は魔物を倒しながら進んだ、ファルコは必死に魔石を取り出している。



「ファルコさん。内緒にして欲しんですが、実はオレ、爺ちゃんから空間収納の魔法が付与してある鞄をもらったんですよ。それに入れていきませんか?」


「ええっ――――――!!」


「絶対に内緒ですよ。」


 

 オレは鞄の中に魔物の亡骸を収納した。



「シン殿。その鞄は大白金貨の価値があるぞ! 生まれて初めて見たよ。」



 その後も森の奥へと進んだ。



「シン殿。ナツ殿。俺はいつもこの辺で引き返すんだが、どうする?」


「もう少し奥まで行ってみませんか?」


「今日は3人いるから、もう少しだけならいいだろう。でも、危険になったらすぐに引き返そう。」


「はい。」



 奥に進むにつれて魔物も強くなった。レッドベア、ホーンボア、グレートウルフの群れがいた。すると、奥の方で悲鳴が聞こえた。



「キャ―――! 助けて―――――!!」



 オレ達が悲鳴のする方に向かうと、木が少なくなっていく。少し開けた場所には狩人が3人倒れていた。そして、最後の一人だろうか、地べたにへたり込んだ女性の狩人が剣を魔物に向け後ずさりしている。



「シン殿。あれは恐らくサイクロプスだ。初めて見たぞ!」


「ええ、わかってます。」



 オレは刀を抜いて一気にサイクロプスの足元に来た。すると、一つ目の巨人はオレに気づいて手に持った石の斧を振り回してきた。オレは刀でサイクロプスの足を切り付ける。足からは血が噴き出す。



「ギャ―――――」



 傷が浅かったようで、サイクロプスは目からオレをめがけて光線を放った。オレが避けた後の地面は焼け焦げていた。ここで、師匠がサイクロプスの目をめがけて剣を投げつけた。恐らく、ファルコさんには剣が早すぎて見えていない。サイクロプスの目に剣が刺さり、サイクロプスは周りが何も見えない状態だ。オレは大きくジャンプして、ファルコさんに気づかれないように刀に風魔法を付与した。そして、サイクロプスの頭を切り落とした。



「フ――――――」



 オレが女性の近くに行くと女性が恥ずかしそうにしている。恐怖で漏らしてしまったようだ。



「大丈夫ですか。」


「ありがとう。」



 女性がオレの顔を見た瞬間、顔色を変えた。



「君は昨日ギルドにいた美少年じゃないか。恥ずかしいところを見られてしまったわね。」



 死んでいる狩人達は俺と師匠に絡んできた3人組だった。



「シン殿は本当に強いな。サイクロプスに会って生きていられるだけでも奇跡なのに、一人で倒してしまうなんて考えられん。」



 オレはサイクロプスの目に刺さった剣を抜きながら言った。



「師匠がサイクロプスにこの剣を投げてくれたからですよ。」


「え?! いつの間に?!」


「シン殿とナツ殿には恐れ入ったよ。」



 師匠が女性を先に森の中に誘導した後、オレは鞄に入れるふりをして空間収納にサイクロプスの亡骸を仕舞った。3人の狩人の死体は開けた場所の端に埋めておいた。


 4人は街まで帰った後、ギルドに報告した。



「サイクロプスが現れたの?! では、ギルマスに言ってすぐに討伐隊の手配をしましょう。」


「それは大丈夫だ。ここにいるシン殿とナツ殿がすでに討伐したからな。」


「えっ?! ええ―――――――――!!」



 なら、狩人のカードを見せてください。受付の女性にカードを見せると、オレも師匠も最低のFランクだ。



「どうして、Fランクなんですか?」



 何故か受付の女性が切れている。



「オレ達、ランクには興味がないんで。」


「ちょっと待っていてください。」



 受付の女性が2階に上がって行った。恐らくギルマスに報告にでも行ったのだろう。上から体格のいい髭を生やした男性が降りてきた。



「君達か? サイクロプスを討伐したFランクというのは?」


「はい。」


「ちょっと上の部屋まで来てくれるか?」



 しょうがないのでオレと師匠とファルコさんはギルマスの部屋に行った。



「サイクロプスはS級の魔物だ。君達をFランクのままにしておくわけにはいかん。」



 なんか以前にも同じようなことがあった気がする。あの時と同じように師匠がギルマスに言った。



「そうか。ではどうするつもりだ。もし、ランクを上げようとするならば、私もシンも狩人ギルドから脱退するが。」


「それは困る。」


「ならばそのまま据え置きにしてくれ。」



 ここでギルマスは悩んでいるようだった。



「国やギルドからの強制依頼のないCランクでもダメか?」


「ダメだ!」


「しょうがない。君達の希望通りにしよう。」


「すまない。」


「ところで、ギルマス。サイクロプスの亡骸は欲しいですか?」


「当たり前じゃないか。だが大きすぎてここまで運べないだろう。」


「もし運べるとしたら、秘密を守れますか?」


「もちろんだ。」


「なら、解体場に行きましょう。そこで人払いをお願いします。」


「分かった。」



 オレ達は全員で解体場所に向かった。そこで、オレは鞄から出すふりをして、森で討伐した魔物すべての亡骸を出した。



「どうしたんだ?! その鞄は!」


「祖父の形見ですよ。」


「君のおじいさんは何者なんだ?」


「よく知りません。」


「まぁいいだろう。君達には何か事情がありそうだからな。報酬を用意するからここで待っていてくれ。」



 しばらくオレと師匠とファルコさんで雑談していると、ギルマスが帰ってきた。討伐の報酬と素材の買い取りで、白金貨6枚になった。オレと師匠で白金貨2枚もらい、残り4枚をファルコさんに渡した。



「いいのかい? 俺は何もしていないぞ!」


「いいんですよ。子どもさんにお金がかかるでしょ!」


「ありがとうな。」



 オレ達3人はギルドを後にした。


読んでいただいてありがとうございます。

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