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自分探しの異世界冒険  作者: バーチ君
新たな大陸で自分発見の旅!
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謎の男出現

 オレと師匠はドワーフ王国を出た後、山を下り草原地帯に出た。いよいよヒッタイ帝国だ。何もない草原地帯を進んで行くとやっと道を見つけた。道に沿ってひたすら北へ向かって歩いている。草原には見慣れない草もたくさん生えていた。



「シン。そろそろ街がありそうだ。」



 左右からくる道と何度も交差するようになり、人や馬車も増えてきた。大きな交差点に差し掛かると看板が立っている。右はミチナカ村、左はサカイ村、真っすぐはクイシキ街と書いてあった。オレと師匠は、クイシキ街に向かうことにした。


 クイシキ街の前までくると、城壁のような大きな壁はないが木の柵があり、そこには数人の門番がいた。オレと師匠は狩人の身分証を発行してもらっているので、それを提示してそのまま街に入ることができた。


 街に入ると、辺境の街だけあってハイカラな服を売っている店はなく、おしゃれなレストランのような店もない。どちらかというと日用雑貨や食料品を扱う店が多かった。


 オレと師匠は街を散策しながら狩人ギルドに向かう。狩人ギルドの中は人がまばらだった。掲示板を見ても、ごみの片づけや店の手伝い、行方不明のペット探しのようなものがあるだけだ。


 受付の女子も1人しかおらず、のんびりした街のようだ。それでも、受付の女性のところに行って話を聞いてみた。



「旅の途中でこの街に寄ったんですが、魔物退治とかはないんですか?」


「隣の街のヨシダにはたくさんあると思うわよ。あの街は近くに魔の森があるからね。」


「ありがとう。」



 オレと師匠はクイシキの街を出て、ヨシダの街に向かうことにした。吉田の街に向かう馬車が何台もいたが、どの馬車にも護衛がついていた。どうやら、受付の女性が言っていた通り、ヨシダの街付近には魔物が出るようだ。



「師匠。どんな魔物がいるんですかね?」


「さあな。どうせ大したことはないだろうな。」



 区意識の街を出発して大分経ったころ、普通の人間には見えないだろうが、1キロ先で数台の馬車が道の真ん中に停まっているのが分かった。オレと師匠は急いで向かった。すると、ゴブリンとオークが一緒になって馬車を襲っている。ゴブリンの中にもオークの中にも上位種がいた。



「師匠!」


「ああ、わかっている。」



 状況を確認すると、すでに殺された護衛もいるようだった。護衛達は、数の多い魔物達に囲まれる形で対峙している。オレと師匠は二手に分かれて、後ろからゴブリンとオークを殺していく。



「ホブゴブリンとオークジェネラルはオレ達が相手をしますから、それ以外をお願いします。」


「わかった。感謝する。」



 オレはオークジェネラルと向き合っている。正直相手にならないが、一方的すぎると護衛達に疑われてしまうので、それなりに戦った。オークジェネラルを討伐して、師匠を見ると座って休んでいた。



「シン。お前、何で遊んでたんだ?」


「オレ達が強すぎると、また疑われますよ。」


「別に構わんではないか。」


「師匠はオレとゆっくりとした旅を楽しみたくないんですね?」


「馬鹿を言うな! お前との時間は貴重だ!」



 師匠が真っ赤な顔で反論している。めちゃくちゃ可愛い。オレは師匠を後ろから抱きしめてしまった。すると、護衛達がオレ達に近づいてきた。



「楽しんでいるところ悪いな。君達のお陰で助かったよ。感謝する。俺はBランク狩人のファルコだ。」


「オレはシンです。」


「私はナツだ。」


「シン君も男前だが、ナツさんも美人だな。」



 なんかファルコさんが師匠を見る目が怪しい。



「オレが成人したら結婚するんです。」


「そうか~。そうだったか~。ところで君は何歳だ?」


「14歳になりました。」


「まだまだ子どもじゃないか。ハッハッハッ」



 ファルコさんは笑いながら馬車の中の人のところに行った。すると馬車の中から1人の老人が降りてきた。



「助けていただいたようで感謝します。お二人も、良かったら私に護衛として雇われませんか? 次の街ヨシダまでで結構ですので。」



 オレと師匠か考えていると、ファルコさんが声をかけてきた。



「一緒に雇われていた連中が、2人ほど殺されてしまったんだ。君達がいれば俺も心強い。お願いできないだろうか?」


「わかりました。」



 ヨシダまでの2日間、1人金貨2枚で雇われることにした。3台の馬車の中には3組の家族がいた。どの家族も平民だ。先頭の馬車に乗っていた老人だけは商人のようだった。



「それにしても、シン殿もナツ殿も強いな~。」


「旅をして修行していますから。」


「そうなのか。2人で旅など、羨ましいな~。」


「ファルコさん。ヨシダの街の近くに魔の森があるって聞いたんですけど、危険なんですか?」


「そうだな。毎年、あの森に行った狩人が何人も帰ってこないからな。」


「ファルコさんはいかないんですか?」


「俺は浅いところだけしかいかんよ。」



 ヨシダまでの旅はその後何もなく無事に終わった。街に着いてファルコさんと別れた後、オレと師匠は宿屋を探して、久しぶりに宿に泊まることにした。



「狩人ギルドに行きましょうか?」


「そうだな。」



 オレと師匠が狩人ギルドに向かおうと街中を歩いていると、ファルコンさんが子どもの手を引いて歩いていた。



「ファルコさん。子どもさんですか?」


「ああ、そうだ。今年で5歳になるんだ。」


「僕、父ちゃんのように強い狩人になるんだ~!」


「きっとなれるよ。」



 オレが男の子の頭をなでようとすると、先に師匠が男の子の頭をなでていた。



「そうだ。シン殿、ナツ殿。明日一緒に魔の森に行かんか?」


「いいですよ。」



 ファルコさんと待ち合わせ時間を決めて、狩人ギルドに向かった。狩人ギルド内はたくさんの狩人で賑わっていた。他のギルドと違って珍しくギルド内に酒場まであった。既に酔っぱらっている者もいる。



「ねぇ、君。可愛い顔しているわね。今夜、遊ばな~い。」


「オレ、まだ14歳ですから。」


「別にいいじゃない。お姉さん、子ども大好きよ~。」



 オレがあたふたしていると、師匠に手を引っ張られた。



「シン。行くぞ!」


「はい。」



 掲示板を見に行くと、ゴブリンやらオークやらオーガの討伐依頼が出ていた。やはり魔の森の方角だ。この大陸では、ギルドは素材の買い取りもしているが、むしろ討伐してその証明部位と魔石を提出することが中心になっていた。



「やはり、この大陸では魔法が普及してないようですね。」


「そうだな。杖を持った魔法使いなど、全く見当たらんぞ。」


「素材の買い取りとかどうするんですかね? オークを討伐しても、持ってこられませんよ。」


「聞いてみるか?」



 オレは受付の女性に聞きに行った。



「すみません。オレ達、狩人の初心者なんですが、オークとかの魔物の素材はどうやって運ぶんですか?」


「普通は荷車だね。」


「それ以外はないんですか?」


「あることはあるけど、魔法が付与してある鞄だけど、ほとんど持っていないよ。」


「そんなものがあるんですか?」


「大白金貨1枚はするよ。」


「誰が作っているんですか?」


「誰なんだろうね。私もそこまでは知らないよ。」



 すると、後ろから男性冒険者が教えてくれた。



「ドワーフ族が作っているって噂だぜ。本当にドワーフ族がいるかどうかもわからんがな。」




 “そうか。ドワーフ国には許可された人が入国しているから、そこで仕入れているんだな。”




「シン。お前、明日討伐した魔物を持ち帰るつもりか?」


「はい。ファルコンさんのためにそうしたいって思っています。」


「だが、お前が空間収納の鞄を持っていることをどう説明するんだ。」


「・・・・・・」




 “また、爺さんからもらったことにしようかな。”




「あれほど目立ちたくないって言っていたのに、お前変わったな。」


「成長したんですよ。」



 オレと受付の女性の話を聞いていたらしく、酔っぱらった狩人達が声をかけてきた。



「初心者のお前がオークを持ち帰る方法を聞いてどうするんだ! オークを見たら逃げた方がいいんじゃねぇのか?」


「まったくだ! オレ達3人がかりでやっと倒せるオークを、お前が倒せるわけねぇだろう。」


「・・・・・・・」



 オレも師匠もここは無視をすることにした。それでもしつこく言ってくる。



「何を無視してんだ! 小僧! お前、美人の女の前でいいカッコ見せようと背伸びしているんじゃねぇのか? やめといた方がいいぞ。」



 師匠は最初不機嫌だったが、“美人”と言われたのが嬉しかったのか、機嫌がよくなっている。



「シン。相手にするな。行こう。」



 オレ達がギルドから出ようとすると、仲間の酔っ払いが足を引っかけてきた。オレと師匠は軽くそれをまたいだ。



「チッ」



 男達はそのまま酒場の方に戻って行った。すると、酒場にいた目つきの鋭い男が酔っ払い達に言った。



「お前ら助かったな。」


「あっ?!」


「あいつらが本気ならお前らはもう死んでいるさ。」


「なんだと~!」



 オレと師匠がいなくなったギルド内でもめ事になった。酔っ払い3人が男に殴りかかるが、男は軽々避けて男達の腹に拳をめり込ませた。



「グホッ」



 男は何も言わずその場を立ち去った。 


 オレと師匠がギルドを出た後、お互いの顔を見て話した。



「シン。気づいたか?」


「はい。一人、強力な魔力を感じました。」


「やはりな。だが、何者だろうな。」


読んでいただいてありがとうございます。

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