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自分探しの異世界冒険  作者: バーチ君
魔王?! 精霊王?!オレが?!
53/107

現魔王シンVS前魔王ブラゴ

 オレと師匠とカゲロウが待っていると、セフィーロさんがミアさんとハヤトさんを連れて戻ってきた。ミアさんとハヤトさんはしっかりと戦闘用の服を着ている。



「魔王様。お呼びですか?」


「うん。シナアカ王国がシナトヨ王国に戦争を仕掛けようとしているんだ。どうやら、ナザルとブラゴが関係しているみたいなんだよ。」


「ナザルとブラゴがですか?」


「ナザルもブラゴも古代遺跡を調べているようなんだけど、このシナアカ王国でも古代遺跡が発見されて、古代兵器が発掘されたようなんだよね。」


「その古代兵器っていうのはすごいんですか?」


「そうだね。この前、オレと師匠が消滅させた古代遺跡にあった古代兵器は、この世界を丸ごと滅ぼすことができるようなものだったよ。」


「そんなものが発掘されたら一大事ではありませんか?」


「そうなんだ。だから、今回はここにいる全員でシナアカ王国の暴走を止めるよ。」


「わかりました。」



 オレ達は具体的な作戦に入った。セフィーロの報告で、恐らくナザルとブラゴは古代遺跡にいるだろうということだ。そこで、古代遺跡にはオレと師匠が向かう。王城にはセフィーロとミアが向かい、国王一派を抹殺もしくは捕縛してもらう。ハヤトとカゲロウは、国境付近で戦闘しているシナアカ軍を、壊滅させるという手はずになった。



「みんなに注意しておくけど、一般人は巻き込まないようにね。それと抵抗しない兵士達はなるべく殺さないようにして、拘束するにとどめておいてね。」


「わかりました。」



 全員が飛翔できるので、それぞれの担当場所に向かった。オレと師匠も、古代遺跡の場所を確認して急いで向かった。



 国境地帯に向かったハヤトとカゲロウの眼下には、シナトヨ軍の兵士達とシナアカ軍の兵士達がいた。まだ戦闘は始まっていないようだ。眼下の様子を観察していたハヤトには気になる事があった。それは、シナアカ軍の兵士達が剣ではなく細長い筒を持っていることだ。



「カゲロウ殿。あの筒のようなものをご存知か?」


「はい。あれは銃というものです。あの筒から金属の玉が飛んできますので注意してください。」



 そんな話をしていると、シナアカ軍の方からハヤト達に向けて銃が放たれた。ハヤトは間一髪それを避ける。



「どうやら、俺達を敵と認識したようだな。では、始めるか。」



 ハヤトとカゲロウはシナアカ軍の上空まで行き、魔力と闘気を開放した。ハヤトの身体が漆黒のオーラに包まれていき、身体がどんどんと大きくなっていく。ハヤトの背後にはハヤトから溢れ出た魔力と闘気によって巨大なドラゴンが出現した。



「我は魔王軍四天王の一人ハヤトである。死にたくなければ、この場より立ち去るがよい。」



 続いて、カゲロウの身体が変化していく。カゲロウはさすがに神獣だ。眩しい光に包まれていき、光が収まるとそこには真っ赤に燃え上がる火の鳥がいた。



「私は神獣のフェニックス。戦争をするものは神の名において私が成敗するわ。」



 ハヤトとカゲロウの姿を見て、シナアカ王国軍には動揺が走る。中には腰を抜かして動けなくなるものもいた。ハヤトとカゲロウが上空から眺めていると、兵士達の半分ほどが武器を捨てて立ち去っていった。



「あいつらは我らの敵だ! 恐れるな! 撃て――――――!」


「ズキュン、バキュン」



 2人に向かって一斉に銃が放たれた。カゲロウが炎の翼を羽ばたかせると、飛んでくる球は全て溶けて消えた。隣にいたハヤトが手に持つ大剣を力一杯振り下ろす。すると、大きなお音とともに地面が大きく裂け、そこにいた兵士達は全員が死んだ。たった一振りで何人の兵士が死んだのだろうか。武器を捨てて逃げだす兵士が次々と現れ、現在残っているのは1000人程度だ。



「恐れるな! 撃て――――!」



 再び放たれた銃の玉が2人をめがけて飛んでくる。カゲロウが今度はその玉に向かって突っ込んでいく。すると球は火の鳥となったカゲロウに当たることなく消滅していった。そして、カゲロウが地上付近で翼をはためかせて飛ぶと、辺り一面が火の海となった。すでに、残っている兵士達に逃げ場はない。



 ハヤトが手をかざすと、ハヤトの後ろの漆黒のドラゴンが兵士達を次々と飲み込んでいく。そして、わずか数分で5000人いた軍隊は壊滅したのだ。



 目の前の奇跡のような出来事を見ていたシナトヨ軍からは歓声が上がった。



「神だ! 神が助けてくれたんだ!」



 シナトヨ軍の兵士達は全員が天に向かって祈りを捧げた。




 一方その頃、古代遺跡に向かったシンとナツは古代遺跡のすぐ近くまで来ていた。



「シン。どうやらあそこが入口のようだな。」


「そうですね。兵士達がたくさんいますね。」



 上空から姿を消して観察していると、どうやら遺跡の中から荷物を運び出しているようだ。恐らく古代兵器なのだろう。オレと師匠は兵士達の前に舞い降りた。黒い翼は出したままだ。



「お前達は魔族だな! どうしてここに来た?」


「・・・・・」


「なぜ何も答えない?」


「死にたくなかったら、荷物を置いて立ち去るがいい。」



 師匠の身体から漆黒のオーラが溢れ出す。それを見て兵士達は慌て出した。リーダーのような男が、他の兵士にハッパをかけている。



「みんな。荷物を守れ! 相手は2人だ! 恐れるな!」



 師匠がリーダーらしき男に向かって手を横に振ると、その男は全身から血を流して絶命した。それを見て他の兵士達は荷物や武器を手放し、一目散に逃げた。



「ヒィ―――――! バケモンだ―――――!」


「失礼なやつらだ。バケモンなんて。なぁ、シン。酷いと思わないか?」


「そうですね。」



 オレと師匠は、荷物を空間収納にしまって古代遺跡の中に入って行った。古代遺跡の中には罠もなく順調だったが、何度か兵士達と遭遇した。その都度兵士達には逃げるか戦うかを選択させて、逃げたものは見逃した。戦うと言った者はもうこの世にはいない。



「シン。どうやらここは古代兵器の生産工場みたいだぞ!」


「まるでオレが知っている地球の工場みたいです。」



 製造途中の銃がベルトコンベアーで流れ、各工程を終了して完成した銃がどんどん積み上げられていく。オレがその機械を破壊しようとした時、後ろから声をかけられた。



「やっと来たな。シン。お前が来るのを待っていたぞ!」



 振り返るとそこにはブラゴがいた。ブラゴが両手で円形を作り出すとオレの周りの景色が変化していく。周りには何もなく、ブラゴと2人だけだ。



「ここはどこだ?」


「俺が作り出した亜空間さ。ここなら邪魔が入ることもない。お前を殺すこともできるさ。」


「お前にオレは殺せないよ。」


「以前俺にボコボコにやられたくせに、偉そうじゃないか?」


「以前とは違うからね。」


「ほざくな! 神のような力を与えられたこの俺が負けることなどないさ。」


「やってみれば分かるよ。」



 ブラゴはいきなり3体になり、それぞれが剣を抜いて闇魔法を付与し、オレに切りかかってきた。剣からは黒い妖気が漂っている。オレは余裕をもってそれを躱す。さらに、ブラゴ達がオレに切りかかる。だが、同じようにオレはそれを躱した。何か変だ。ブラゴ達の動きが遅すぎる。まるで、オレが逃げる方向を誘導しているかのようだった。



「気付いたか? だが遅い! もう完成したぞ!」



 オレの背後の空間が十字架の形に光り出した。オレはそこに引き寄せられ、体ごと持っていかれた。



「この十字架からは何者も逃れることはできん。どうだ? 動けまい!」



 ブラゴが1体に戻り、その身体が黒い光に包まれ巨大化していく。まさに地球の雑誌に出てくるような魔王の姿へと変化した。



「お前はここで俺に殺されるのさ。以前のように、自爆もできないだろう!」



 オレは全身全霊の力を開放した。すると、真赤な髪の毛は金色に変化して逆立ち、目からは黄金色の光が溢れる。背中の翼も黒色から純白へと変化し、さらに黄金色へと変化した。そして、全身からものすごい光と熱が放射される。



「シン! お前は何者なんだ? ただの魔族ではあるまい。」



 オレは何も答えず、さらに全身に力を入れた。するとオレを縛っていた十字架は粉々に砕け、完全に消滅した。



「なに~! 俺の渾身の技が破られただと~! ありえん! ありえんぞ!」


「お前はやり過ぎた。言い残すことはないか?」


「それで勝ったつもりか?」



 ブラゴが漆黒のドラゴンをオレに放った。だが、オレの前まで来て消滅する。慌てたブラゴがさらに魔法を放つ。だが、オレに届くことはない。全てオレの前で消滅する。



「お前は何者なんだ? ありえん! こんなことありえん!」



 オレは依然と同じブラックホールをブラゴに向けて放った。



「その魔法は以前俺には効かなかっただろうが。」



 ブラゴが同じように頭上の黒い渦を消し去ろうとするが、黒い渦はどんどん大きくなる。そして、ブラゴを吸い込み始める。



「なぜだ? 何故だ! なぜ・・・」



 ブラゴは完全に消滅した。すると、オレ達のいた空間にひびが入り砕け散った。そして、オレは師匠の隣に立っていた。



「ブラゴはどうした?」


「はい。消滅しました。」


「だが、お前のその姿は・・・・」



 オレは自分が何者なのか少しわかったような気がした。だが、認めたくない。そんな思いもあり元の姿に戻った。


読んでいただいてありがとうございます。

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