表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしの〔ソウル〕こっくりさん  作者: 俺(41)
イントロダクション
1/22

プロローグ

 














  こっくりさん、こっくりさん 北の窓からお入りください―― 
















挿絵(By みてみん)















 それは――

 白く、

 美しく、

 そして大きな、狐だった。


 それを()び出したのは、友人を助けるためだった。

 彼らは不用意に〈こっくりさん〉で遊び、そして、その代償を支払わされた。

 次々に体調を崩し、病に臥せる友人たち。

 救いの手は遅く、居ても立ってもいられなくなったわたしは

 深夜に一人、〈こっくりさん〉をした。

 そうして、ついに喚び出してしまったのだ。

 本物の、こっくりさんを。


 当時のわたしの部屋は天井まで二百三十センチ。

 狐は、その天井いっぱい。

 身体は、冬毛のように白いゴージャスな毛並みを差し引いてもスリムで、

 むしろ、たくさんあるふわふわ尻尾の方が大きかったように思う。

 火の玉――正確に言えば狐火――は澄んだ瑠璃色で、

 そのゆらゆらと揺れる光が白い体毛に反射すると蒼銀(そうぎん)に輝き、

 それはそれは美しい銀毛に見えた。

 顔も身体同様細長く、目の周りがとても印象的だった。

 瞳は、煌めくルビーのような赤。

 狐火が反射してきらきらと輝き、一瞬たりとも同じ色に留まらない。

 まるで、冷たく燃える炎のように。

 そして切れ長のまぶたには、紅を差したような赤。

 お化粧でもしたのかと疑う、妖しい色気が漂っていた。

 ため息が出た。

 こんなに美しく、

 格好良くて、

 それでいてどこか愛らしい〝物ノ怪(もののけ)〟がいるものなのか、と――。


 その正体がわかった時は、とても焦ったし、

 少しだけ不安になったりもしたのだけれど。


 わたしは生涯、この出会いを忘れはしないだろう。

 ここから始まる、大きな白狐と共にした数々の、

 出会いと別れの物語たちのことを。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ