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7話 《異世界転生について》


好きだった漫画がまた読めると知った元女子高校生私、鳴神薫は今借りた漫画を読みたい気持ちで今から行われるシュヴァルツ様の授業に集中できないでいた。


「授業を始める」


シュヴァルツ様の授業開始の言葉と同時に相変わらずどこから響いているのか分からないチャイムが教室に響き渡った。


このどこから響いているチャイムはシュヴァルツ様が用意したのかな?一体どんな意味で用意したの分からないよ。


「さて、今回は転生者について教える。本来なら世界の種類や時間の流れなどの為事代行をするにあたって重要な部分の知識を教えたいところだったが状況が変わった」


シュヴァルツ様は意味ありげな様子で授業を始めた。


「どうしてですか?」


「他に教える人間が増える可能性がある」


「増えるんですか!」


シュヴァルツ様の言葉に私は愕然とした。


授業を受ける人が増えるって事は、私の仲間、というより後輩が出来るってこと!?うわ~、どんな人が来るのか楽しみ~。


「その話は実習後にする。他に理由があるとすればお前をここに呼び込んだ神様が関係している」


私は最初に出会った邪悪な笑顔をしたお爺さんを思い出す。


ああ、あのお爺さんが転生させた人ってまだいるのね…。


「既に察しているとは思うが次に降りる異世界にも転生者がいる。まさか俺も二連続で矢継ぎ早に転生者の案件を対応するとは思わなかった。他にも理由はあるが総合的に考え今回は重要なことを教えるより転生者に関して知識を増したほうがいいと判断した」


「そうですか」


まあ小難しいことよりも知っていることを教えてもらうほうがいいので私は反対しません。


というかシュヴァルツ様の口ぶりからすると異世界転生者の案件って私の予想より少ないのかな?


「まず初めにお前の質問に答えよう。鳴神、前の授業で異世界転生者自体が世界に悪影響を及ぼす存在なのかと聞いたな?」


「はい」


するとシュヴァルツ様は言葉を濁さずハッキリと答えた。


「断言しよう、異世界転生者は必ず世界の流れを乱す。よって異世界転生者は世界に悪影響を及ぼす存在だ」


断言されたことに私は困惑した。まさかはっきりと断言されるとは全く思わなかった。例外とか、殆どとか、そんな感じだと思っていたのに必ず乱すとはっきりいう理由はなんだろうか。


「断言する理由は二つある。それをこの授業で教えよう。ではまず転生者とは何か、というところからだな。鳴神、転生とはなんだ?」


「はい!記憶を持続して生まれ変わることです!」


「限定的だ馬鹿」


「ふげっ!」


私が自信満々に答えるとシュヴァルツ様に罵られながら何処からか取り出したハリセンにより頭を叩かれた。


痛いっての!てか何処から取り出したんですかそのハリセン!というか拳骨からハリセンとか折檻の方法が安定しないなシュヴァルツ様。


「転生とは生まれ変わることそのもののことだ。間違えるなよ」


「は~い」


転生の意味を今初めて知りました。


じゃあ生きている人間は皆転生者ってことなのね。


「転生者とは転生した者、全ての人間が輪廻の流れに沿い転生するため広義的には世界に住む全ての人間がそうとも言える。しかし俺達為事を行う神の定義としては鳴神の答え通りになる場合が多い」


「???」


シュヴァルツ様が解説していることがちょっと分からなくなる私だった。


転生者の定義が私の間違っている認識と同じ?どういうこと?


「俺達為事を行う神の定義に基づく転生者とは、多大な神の加護を持ち世界に転生した人間のことだ」


多大な加護と聞き、私は真っ先にチートを思い浮かべる。強大な魔力だったりスキルだったりスマートフォンだったり知識だったりそういうものかな。


「まず神の加護から説明しよう。神の加護とは世界に住む人間に神を与えるもののことだ。人間そのものに力を与えることもそうだが道筋を示すことも、人間に有利な自然現象を起こすことも加護に該当する。今出した例はプラスの加護だがマイナスの加護も存在する。人間に負荷を与えたり、進むべき道を迷わせたり、不利な自然現象を起こすことも加護だ」


プラスとマイナス両方の加護があるのかと目から鱗が落ちるようだ。


「じゃあ神のミスで殺すことも加護なんですか?」


「…」


私が感じたことを率直に質問するとシュヴァルツ様は頭を抱えた。


「シュヴァルツ様?」


「まあそうだが、それが今蔓延っている転生者誕生の根本的な原因だ」


「どういうことですか?」


神のミスで殺した人間を転生させることが根本的原因?一体何があったのか気になる。


「大昔、ある神様が世界を管理しているときにくしゃみをしてしまい突風を起こし、それが原因で死んだ人間がいた。神の直接的介入により死ぬということは多大なマイナスの加護だ。多大なマイナスの加護を背負ったまま通常の転生をする際に悪影響を及ぼす。よってマイナスの加護を打ち消すようにプラスの加護を与えて転生させなければならない」


神のミスで殺されることがマイナスの加護だからチートとかのプラスの加護で打ち消さないと駄目って事か。


てか神のミスで最初に死んだ人って突風で死んだのか。私はてっきりトラックで轢かれたと予想してました。


「その人間に与えられたプラスの加護は記憶の持続、強運、無病息災、長寿命、そして世界で生きていくために有効的な力だった。そしてその加護を与えられた人間はこれまで生きてきた世界とは全く別の世界に転生した。その人間は最後まで転生した世界に影響を及ぼさず、天寿を全うした。これが多大なマイナスの加護を背負った人間への対処例となった」


シュヴァルツ様の解説を聞いてそれなら問題にならないんじゃないかなと疑問に感じた。


だって神のミスで死んだ人間への対処例が確立されたなら何も問題はないじゃないか。それじゃあなんで世界の流れを乱す転生者が生まれるんですか?


「問題はこれを悪用して人間を、世界を弄ぶ神が増えたことだ。わざと神が人間を死亡させ、分不相応な力を与え、関係のない世界へと転生させ、世界の流れを乱す。このケースが急増した。よってそれを防止、及び抑止するため俺達神が為事をすることになった」


わざと神が人間を死亡させるというところに恐怖を感じた。


自分自身が楽しむために殺すのか…。神様だからって命を弄ぶのは流石に許されないんじゃないかな。


「今の話の中から重要な部分を解説していく。まず神のミスで死亡した人間を別の世界に、異世界に転生させる理由は記憶の持続の加護だ。記憶の持続の加護はかなりプラスに傾く加護なのだが、もし同じ世界に転生することになれば少なからず影響を及ぼすことがある。未来に転生した場合はそこまで影響はないのだが過去に転生した場合は記憶をたどって世界をある程度コントロールすることが可能になる」


ああ、そんな理由があったのね。確かに歴史を知っていれば行動によってはとんでもないことになるもんね。世界恐慌の前にお金を確保するとか自分に不利な行動をする歴史の指導者を未然に殺すとか。


「世界の種類によっては影響を及ぼす危険度は高くなる。よってその危険性を排除するため、持っている記憶を利用させないため生きてきた世界とは真逆の世界に転生させるんだ」


ああ、それで現代で死んだ転生者の多くはファンタジーな異世界に転生するんだね。ん?でも前に降りた異世界での転生者は…。


「え、でも前の転生者は小麦の栽培技術を村に広めて世界に影響を与えたような…」


それに私の読んでいた小説に登場する転生者は大概前世の知識を用いて色々とやっていると思うんですけど。


「前回の転生者は農耕技術の記憶を加護で与えられていたため出来た芸当だ。本来専門的知識のない人間の記憶なんて役に立たない。もし専門的知識を持つ人間が記憶の持続の加護を与えられ転生する場合はその知識が役に立たない世界へと転生させる。例を挙げるならば魔法を極めた賢者が魔力のない世界に転生させて極めた魔法の知識は全く役に立たないようにする、ということだ」


ああ、専門的知識も加護の一つなのね。確かに私が転生しても小麦の栽培技術とか農耕のいろはとか全く知らないもん。小説の主人公は良くあんな専門的知識を知ってるなと感心したものだよ。


てか魔法を極めた賢者が魔力のない世界に転生しても一定以上の需要はあると思うんですけど。主に厨二病患者方面で。


「さらに世界で生きていくために有効的な力だが、これは世界全体に影響を与えない程度という条件付きだ。前の転生者のように比肩しうる者がいない強大な魔力なんて論外だ。大概は自身に危機が迫った場合に自身と家族のみを護れる程度の加護しか与えない」


自身と家族を守れる程度の力って抽象的だなと思った。まあ世界の危険度なんて世界によってまちまちだし世界によって違うんだろうね。


「魔力を自身の努力で手に入れる世界なら小さいが生まれた瞬間に魔力が決定する世界ではある程度の魔力を確実に持って生まれてくることが相当の加護になる」


一定以上の才能も加護ってことか。確かにどんな才能を持って生まれるかは分からないもんね…ん?つまりそういうことか!


「つまり、巨乳になることを確定させる加護も相当大きな加護に?」


「なぜ例が胸の大きさになる…。まあいい、お前の言うとおり美男美女の容姿になる加護や身長などの身体的特徴を保障する加護もプラスの加護になる。逆に不細工な容姿になる加護やお前のような貧乳になる加護はマイナスの加護だ」


私の質問に呆れながらシュヴァルツ様は答えてくれた。


って私が貧乳って言ったなこの野郎!


「私の胸を貧乳と蔑んだな!」


「お前が先に胸の話を始めたんだろうが」


「ぎゃあ!」


私が怒ってシュヴァルツ様に向けて消しゴムを思いっきり投げるとシュヴァルツ様は軽蔑するようにハリセンで消しゴムを打ち返してきた。打ち返された消しゴムは勢いを増して私の額に直撃した。


結構痛いな消しゴム!てかバットコントロールならぬハリセンコントロール凄いなシュヴァルツ様!


「ちょっとしたコントですね」


一連の流れを見てミーシャさんはクスっと微笑んだ。


ちょっぴり恥ずかしくなり縮こまる私だった。


「鳴神、痴態を後輩に見せたくなければもっと精進しろ」


「はい…」


そうだ、私は先輩になるんだ。少し心を改めて授業に望む私だった。


「そして必要以上の加護は世界に悪影響を与える。これが断言する理由のひとつだな。前の転生者はかなり酷かったがあれ以上の加護を与えられた転生者も存在した。存在するだけで流れを乱すような奴だったよ」


必要以上の加護ってことは大量チートは世界を滅ぼすってことか。


てか存在するだけで流れを乱す転生者って凄い気になるなぁ…。また暇なときに聞いてみよう。


「シュヴァルツ様。先程多大なマイナスの加護を背負った魂は転生に影響を及ぼすと仰っていましたがプラスの加護が残る人間の魂は輪廻に、転生に悪影響を与えないのですか?」


「いい着眼点だミーシャ。本来プラスだろうがマイナスだろうが神の加護が多大でなければ転生に影響はない。少しの加護程度であれば転生する際に加護が掻き消えるためだ。逆に言えば多大なプラスの加護でも転生に悪影響を与える。しかし普通の神ならば転生に影響があるほどの加護を与えない。つまり普通じゃない神が人間に影響が出るほどの加護を与える。よって多大なプラスの加護を持つ人間の対処は神のミスで殺したときの対処とは逆の手順を踏み、神が直接殺すことによりマイナスの加護を与えプラスマイナスを打ち消す。為事の一つ目がそれだ」


プラスだろうがマイナスだろうが多大な神の加護は悪影響を及ぼすんですね。


というか神が直接転生者を排除する為事の理由がプラスの加護をかき消すためだったのか…。


あれ、でも神のミスで死んだ転生者がプラスの加護を受けても神が殺したというマイナスの加護で既に掻き消えてるから神がまた殺してしまったら多大なマイナスの加護が魂に残るんじゃないですか?


「話を戻すぞ。転生、鳴神の言葉を借りて今後は異世界転生と呼称しよう。実は対処例である異世界転生は許可制だ。理由は世界の管理ミスで人間を殺してしまうこと自体重要案件だからだ。それだけで世界の流れに乱れを生じさせるため、ミスをした神には相応の罰を与える。さらにそのミスを世界全体統括する神々に報告して世界に影響が出ないよう転生させる。つまり正式な手続きを踏んだ異世界転生のためには相応の手順が必要なんだ」


私の疑問を他所にシュヴァルツ様は解説を続ける。


異世界転生が許可制ってことは神の世界にも役所的ところがあるのかと私はやるせない気持ちになった。私情としてはもっと自由であって欲しかったです。


「つまり私達が対応する異世界転生案件は全部許可されていないってことですか?」


「そうだ、しかもその場合神のミスで転生なんて真っ赤な嘘だ。貨物自動車で轢いて殺してしまうミスなんて神の常識では考えられない。どうミスをすれば貨物自動車で殺すになるのかやってみてほしいものだ。さらに最近は突如として神の世界に呼び込まず、人間に何も知らせずに加護を与えて転生させるケースも増加している」


私はシュヴァルツ様が眉を曇らせて解説した衝撃的事実に驚愕した。


神のミスで死んで転生が真っ赤な嘘?トラックで轢かれて死亡が嘘?つまりこれまでの小説の転生者は神のミスで死んだわけじゃないの…って創作の話とこの話を一緒にしちゃいけないか。


それに何も知らせずに転生って人間のことを全く考えず自分が楽しむためだけという考えが如実に出てますね…。


ってそれじゃあ私も死んでないって事!?


「マジですか!?じゃあ私も…」


「ああ、神が勝手にお前の魂を死んだ訳でもないのに神の世界に呼び込んだ」


そして私も死んでないことが発覚し私の頭の中が混乱する。


そんな…それじゃあお父さんやお母さん、友達や学校の先生はどうなったの?私の事を覚えているの?死んだことを認識しているの?


怒涛の展開で忘れていた大切な人達にもう会えないという悲しみが一気に押し寄せてくる。


「それって殺すくらい重い罪じゃ…」


「問題は人間の魂を神の世界に呼び込む、それだけで罪にならないことだ。神託に信憑性を持たせるために人間を神の世界に呼び込み直接神託を与え、元の世界に戻すという加護の与え方があるためだ。おかげで神のミスと称して人間の魂を呼び込むことを止めることが出来ない。お前の転生を阻止できたのは非常にレアなケースだ」


私のパターンがレアケースなのは分かってました。そしてこれまで未然に防げずに転生させているところから人間を神の世界に呼び込むことが罪じゃないことも薄々分かってました。


でもシュヴァルツ様、私が知ったらショックを受けるような事実は出来るだけ隠して下さいよ。私、一気に元の世界に戻りたくなりました。


「さらに許可されていない異世界転生をさせる神は自身が管理していない、全く関係ない神が管理している世界に転生させることが殆どだ。理由は自身の管理する世界を転生者に乱されたくないからだ。つまり神は世界の流れを乱すと分かっていて転生させる。転生先に選ばれた世界を管理する神はとばっちりだと前に嘆いていたな」


ああ、そりゃ乱す存在を自分の世界に置く訳ないか。本当異世界転生させる神様って性悪だね。


「ちなみにお前を呼び込んだ神は逆で全く関係ない世界の人間の魂を自分の管理する世界に転生させていた。これも非常にレアなケースだ。理由は間近で転生者の行動を観察し、楽しむためだそうだ」


あのお爺さん、よく自分の世界に呼び込むなぁ…。懐が深いのかそれとも別の神様にやられたと被害者ぶっていたのか今では知りようがないけど。


「次に断言する理由について説明しよう、異世界転生した人間の行動についてだ。鳴神、お前は転生者の中には世界に影響を与えないようひっそりと暮らそうとする人間もいると考えているな?」


「はい、そうですが…」


人間だしチートなんて必要ないから静かに暮らしたいって思う人もいるでしょ。実際世界には天才だけど目立ちたくないという理由で力を隠す人もいるし。


「鳴神、転生者に9割の確率で与えられる加護がある。それは何だと思う?」


「コミュニケーション能力向上ですか?」


私はシュヴァルツ様の質問にパッと浮かんだ加護を答えた。だって大概コミュ障で引きこもりの主人公が転生したらいきなり人とペラペラと話せるなんて加護がないと出来ないことでしょ。


「…まあ正解としていこう」


するとシュヴァルツ様が少し考える表情を見せ、数秒後口を開いた。


どうやら答えは違ったようだがこれも結構転生者に与えられている加護らしい。


「他に多く与えられている加護は主人公の加護、鳴神の言葉を借りるならば巻き込まれ体質とも言えるな。この加護が与えられた人間を中心で世界が回るように世界が変革される。つまり、どんなに平穏を望もうとも世界がそれを阻む。初期の時点では世界の流れは乱れないことが多い。理由は転生者の周り、転生者が関わる世界が小さいためだ。だが予兆は確実に現れてくる。そして転生者が関わる世界は徐々に大きくなり、最終的に世界の流れに干渉してしまい流れが乱れる」


ああ、強制的に世界の中心にさせるのね。でもなんでわざわざそんな加護を与えるんだろう。


「どうしてそんな加護を?」


「コミュニケーション能力向上の加護も主人公の加護も与える目的は合致している。転生者に波乱万丈の人生を送ってもらうためだ。わざわざ危険を冒してまで転生者を作る理由はその人生を観察して楽しむためだ。分不相応の力を経た人間は傲慢になり、愚者になり、堕落する。逆に謙虚になり、賢者となり、向上心が上がることもある。そんな人間の人生を観察するのは面白いらしい。俺は全く面白いとは思わないが」


シュヴァルツ様は本当に何が面白いのか理解できないという怒りと困惑が混ざった表情をみせた。


まあもし異世界転生を観察するのが面白いと感じていたらこんな為事なんてしてないよね。


「その転生者が小さな村でぼのぼのと平穏に暮らす人生を送るだけでは面白くない。多くの苦難や試練を乗り越え、多くの人間による愛や友情に囲まれ、世界を股にかける波乱万丈の人生を送ってもらった方が面白いと考えたためだ。よってひっそり暮らそうとしても転生者は必ず世界の流れに関わることになり、乱すことになる」


確かに私も波乱万丈な物語のほうが好きだから理由も理解できた。


でも日常系の物語が好きな人間もいるしゆるい日常を観察したいと思う神もいるんじゃないかな?あ、そんな神様は異世界転生なんてせずとも自分の世界をゆったりと観察すればいいのか。


「主人公の加護は分かりますがなぜコミュニケーション能力向上の加護を与えるのですか?」


「ミーシャ、対人恐怖症でまともに会話が出来ない人間が愛と友情に囲まれるか?リスクを非常に恐れる人間が多くの苦難や試練を乗り越えられるか?自分の世界に引きこもる人間が世界を股にかける波乱万丈の人生を送ることが出来るか?」


「できませんね」


「そうだろう」


ミーシャさんの質問にシュヴァルツ様は淡々とほぼ答えの分かる質問を返し、ミーシャさんは考える間もなく即答した。


まあ私も同意権ですよ、私はコミュ障じゃないから転生したとしてもそんな加護は与えられなかったと思いますけど。


「世界に悪影響を及ぼすほどの加護を与えられる、必ず世界の流れを乱すように主人公の加護を与えられている。以上の二つが転生者が世界の流れを乱すと断言する理由だ。もし世界の流れを乱さない異世界転生者がいるならばそれは転生者ではない。その異世界に順応した、ただの人間だ」


ここで私はシュヴァルツ様が最初に断言した理由が分かった。例えチートを与えていても世界の流れを乱さなければ普通に転生したのと同じ、世界に住むただの人間として扱うのね。


私が考えていた世界に悪影響を及ぼさない例外の転生者は元より為事の対称にならずに人生を歩んでいく。だから対象となる転生者は必ず世界を乱すということね。


「よって俺達が排除する転生者の定義とは、死んだ訳でもないのに神から加護を与えられ転生し、異世界に順応せず自身を中心とする世界を変えてしまう人間のことだ。以上で今日の授業は終了だ。早速実習に入る」


シュヴァルツ様が授業の内容を一言でまとめ、授業終了とともに実習開始を宣言した。


するとチャイムがなり終わる前に黒い穴が真下に出現した。


シュヴァルツ様も、ミーシャさんも、勿論私も落ちます。はい、3回目の紐なしバンジーの時間です。


「うわああああああああああああああああああああああああああああっ!?」


来るとは思ってたけどノータイムで出現させてんじゃねええええええええええええええええっ!!



おまけ「神のミス」


「シュヴァルツ様、神のミスで一番衝撃的だったものはなんですか?」


「また唐突だな…。随分前に煎餅を食べながら世界を管理していた神がいた。しかし食べていた煎餅の欠片が管理している世界に落ちてしまった。煎餅の欠片がなんと超巨大隕石になり人間が多く住む惑星に衝突してしまい、惑星を破壊して何億もの多大なマイナスの加護を背負った魂が発生したことだな」


「うわぁ…」


「あのときの処理は大変だったなぁ…」


「思い出すだけで目の光がなくなるくらい大変だったんですね…」


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