アマルガム概説
・アマルガムとは?
Active MAnuver React Grain Amas Machineの略で、意味するところは反応粒子集積機械。
空間中に漂うエリュダイト粒子を集積し、その場で弾丸や刃などを生成して武器として使用する兵器で、現状EOMに対する唯一の対抗兵器である。
詳細は秘匿されているが、エリュダイト粒子を武器に転用するために《フラクタル・ドライブ》という技術を使用している。
この《フラクタル・ドライブ》はざっくりと言うと人間の脳とコンピュータを接続し、脳の無意識下部を利用して高速の演算を行うシステムである。
しかしこの《フラクタル・ドライブ》には副作用があり、あまり長い間本来の肉体と異なる状態にあると、搭乗者の精神に悪影響を及ぼすとされている。
これが俗にいう《フラクタル・イド》。
この副作用を抑えるためできるだけ本来の肉体と同じ感覚で操作できるように、アマルガムは原則として二足歩行の人型を模している。
・外観
原則二足歩行の人型。
・開発事情
EOMの唯一の対抗策であるため、急速な配備が進められた発展途上の兵器。
そう言える特徴の一つとして、『特化型』の機体が少ないことがあげられる。
EOMとの戦闘は宇宙空間、地上戦、空中戦など多様な局面が考えられるが、機体とパイロットの絶対数が足りないために「どんな機体・どんなパイロットでも」「どんな戦場でも動けるように」汎用性を重視したものが多い。
このため限定的な使用を想定した特化型の機体は少ない。
またアマルガムの前身となるような人型の機動兵器はEOM出現前にはほとんど存在しなかったことから、ノウハウの蓄積が足りない面もいなめない。
・機動
二足歩行での歩行や走行ももちろん可能だが、人類の拠点が宇宙に移っていたため宇宙空間での戦闘が想定されること、またEOMは重力影響下でも空中を高速で移動できるため、空戦機動が行えるように推進装置を搭載しているのが標準である。
・運用形態
4人4機で1班とし、班単位で動くことが多い。
これはEOMが転移能力を用いて距離に関係なく援軍を呼びこんでくるため、事前の必要戦力の予想が難しく、班単位で運用した方が連携面からも良いとの判断による。
逆に言えば自分たちの班以外はどんな仲間と組まされるかわからないため、基本的に1つの班で前衛、後衛の役割分担を決め、どんな班と組んでも支障がないように構成するのが暗黙の了解である。
(※本編で登場するテオ班およびカリン班は極端な班構成をしているが、彼らは一般的な運用例から漏れた存在で、この基本原則に当たらない例外である)
・機体区分
機動性について『低機動』『中機動』『高機動』、
機体重量について『軽量型』『中量型』『重量型』、
と別けて区分されることが多い。
慣性の法則の関係上、重量機体であるほど、低機動であることが多い。(稀に高出力のエンジンやスラスターを搭載して機動性を確保した例外もある)
その代わり重量型は装甲が分厚くなっている。
EOMが主な遠隔攻撃として使用するウェイブ砲は亜光速であり《フラクタル・ドライブ》による加速世界下でも撃たれた後の回避は事実上不可能である。
しかしウェイブ砲には発射直前に光の収束のようなものが確認されるため、パイロットは加速世界でその光の収束を感知し、撃たれる前に射線をずらすことで回避可能である。
また、ウェイブ砲の威力自体はそこまででもなく、1発や2発の被弾で即座に行動不能になることはほぼ無い。
だが被弾による装甲の破損などで機体バランスが崩れることにより、コンピュータが行っている姿勢制御の演算が狂い、本来の機動性能が損なわれることにつながる。
特に装甲が薄く重量が軽い機体ほどその影響が顕著にでやすい。
一方どんな重装甲だろうと、EOMが自身の肉体を使った直接攻撃だと溶かすように寸断してくるため無意味である。
このためEOMの直接攻撃は回避するか、EOMに特効性のあるエリュダイト粒子の武器を使用して迎撃するより他ない。
以上を踏まえて、重量型は『数発のウェイブ砲の被弾は覚悟して遠距離から攻撃する』のが一般的と言え、軽量型は『自分の好きな距離で戦えるものの、1つのミスが大きく影響する機体』と言える。
・エリュダイト粒子生成時の負荷
EOMに対する唯一の対抗手段がこのエリュダイト粒子製の武器であるが、エリュダイト粒子で武器を生成する場合、パイロットに急激な負荷がかかる。
この負荷は物質状態を長く維持するほど乗数的に膨れ上がるため、基本的にアマルガムの持つ武器は縦断や光の刃などの必要最低限のみ生成し、撃ちだした直後に物質化を解き、パイロットへの負荷を極力低減している。
アマルガムの放つ銃弾が煌めいて見えるのは、空間を直進するほどに物質化が解け、エリュダイト粒子が元の粒子に分散する過程で光を乱反射するためである。
パイロットが武装を選ぶ場合、この負荷についても考慮する必要がある。
高負荷の武装を、あまり負荷に耐性のないパイロットが使用した場合、急激な処理力の低下による体感時間の鈍化――通称『処理落ち』が発生し、大きな隙が生まれる。
このため自分の身の丈にあった武装選択が必要であり、また高負荷な武器を使用する場合は適切な状況判断が必要である。
・機体・武装解説についての補足事項
各機体について、『機動性』『操作性』『加速性』『出力』『重量』『装甲』の6項目に分けた相対評価を行っている。
おおむねそのままの意味だが、混同しやすいものもあるため以下に説明する。
『機動性』
今回は主に『小回りが利くか』に焦点を当てて評価している。
慣性の法則が存在する以上、加速力が高い=小回りが利くとは限らない。
この『小回りが利くか』がEOMと高速戦闘を行う上では重要な要素となるため、加速性とは別に評価した。
『操作性』
その機体の操作のしやすさを評価したものである。
アマルガムの操作は感覚に依存した部分が大きく、緻密な制御が可能なように調整された機体は、逆に言えば操作の難易度を問われることになる。
理論上は緻密な制御が可能だとしても、パイロットがそれを扱いこなすことができなければ、その機体の性能を発揮できない。
『加速性』
機動性のうち、主に直線の加速力について指す。
この性能が高い機体は(小回りが利くかは別として)高速で移動することができ、敵への接近や後退が迅速に行えるといえる。
『出力』
スラスターなどの推進装置の燃料となるエネルギーは、アマルガムが内部に有する発電炉から供給されている。
この値はその発電炉から時間あたりに供給されるエネルギー量を指し、この値が高いほど、高機動戦闘を維持しやすいと言える。
『重量』
そのまま機体の重量である。
この項目単体ではあまり意味のないものであるが、重量が重い機体は自然と加速性や機動性の伸びが悪くなり、もし仮に重量機体でそれらが高い数値を出すのなら出力の値が高くなる必要があるなど、他の項目に相対的に大きく影響するため評価項目に加えた。
なおこの項目は他の項目と評価の仕方が違い、高いほど重く、低いほど軽いという意味で、ランクが高いほど優秀というわけではない。
『装甲』
装甲の分厚さを評価したもので、主にEOMのウェイブ砲に対する耐性を指す。
といっても、一部の部分の装甲のみを重点的に分厚くしただけの機体などもあり(つまり当たり所が悪ければ低ランクの装甲の機体と同じ)あくまでざっくりとした評価である。
重装甲の機体は、総じて機体重量が重たくなりやすい。