殉職
グシャアッ‼︎
何かが砕かれる感触はハンマー越しに伝わってきた
殻漣「やったのか?」
牛骨「グ・・・・・・ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ」
その時、殻漣の胸に牛骨の手がぬらっと入る
何か内臓が握りつぶされる感触
鼓動が聞こえない
聞こえるのは化け物の笑い声だけ
時落「・・・全く、また一人脱落か」
化け物の頭は槍で貫かれ、崩れ去る
時落「おい殻漣、お前はもう死ぬ、何か言い残す事はあるか?」
殻漣「せめて・・・役に立ちたかったです」
殻漣は目の前が暗くなっていく
時落「十分だ、すまない・・・」
殻漣が最後に触れた感触は暖かい雫の温もりだった・・・・
殻漣の体は砂になり、夏空へ消えていく
時落「・・・ここで死ぬと向こうでは存在そのものが無かった事になる、だが、俺は今まで死んだ奴は覚えているよ」
その時、時落の背後で何かが動く
津辺「すまないな、私がついていながら」
津辺はゆっくりと立ち上がり、患部を抑える
時落「社長、あんたはもう歳だ、そろそろ世代交代の時期じゃないか?」
そう言うと時落は津辺の肩を支えながら事務所へと戻る
津辺「あぁ、そうだな、私は事務所で大人しくしておくよ」
また三人だけの会社
瀬芹「今回の新人さん・・・早かったですね・・・・」
瀬芹もやはり落ち込んでいる
今まで何人もの同僚の死を見てきたが、やはり応えるものがある
時落「暫くは求人は無しだ、俺が何とかする」
時落はタバコの煙だけを残し事務所から出て行ってしまった。