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Martians to Invade  作者: シュンキチ
接触
28/54

接触 一

 ヒューリー達が情報部に着任した翌日から、臨時編成の偵察隊の訓練が開始された。訓練といってもそのほとんどの時間は火星植民地に関する知識を身に付けるための座学に使われ、その他にアシストスーツや拳銃などの装備品の扱いの教育が少々ある程度だった。

 座学はブランソン少佐が担当しその他はルーマン中尉が担当した。拳銃射撃の訓練はオルグレン二等軍曹も教官側についた。訓練は拳銃使用の経験が無い新任伍長のヒューリー達だけが受けた。オルグレン二等軍曹の指導は少々厳しいものだった。


「モンテ!引き金を一気に引くな!がく引きになってるぞ!新兵の小銃射撃で習わなかったか?」


「すいませんアシストスーツが変なところで動作するもんで、いらない力が入って上手く射撃できません」


「たかが五十メートル先の的だ。スーツを着用した状態で火星へ行くんだぞ。できませんじゃない、やるんだ。スーツに慣れろ。君はまだスーツに着られているな」


「ど、努力します」


 モンテ伍長が苦戦する一方でヒューリーの射撃は高い命中率だった。


「良い腕じゃないかヒューリー。射撃のセンスがあるみたいだな」


 ヒューリーは射撃だけは得意だった。志願兵過程での新兵教育で行われた小銃射撃訓練の時も高い点数を叩き出し、表彰も受けたことがあった。

 残念ながらそのセンスを発揮する機会には巡り会うことは今まで無かった。艦隊勤務でしかも甲板作業員だった彼は敵の姿を見た事は一度も無かったからだ。

 ヒューリーは唯一の得意分野である射撃を行う事ができたので転属してきてほんの少しだけ得したと思った。しかし今回の作戦で拳銃を使う状況とは最悪の状況の事である。努めて自らの正体を反乱軍に明かすことなく、情報を収集し帰還することが最大の目的である以上、拳銃は最悪の状況に陥った時に自分自身と仲間を守る為に初めて使われるのだ。


「よし、撃ち方止め!今日の射撃訓練は終了だ。全員薬室を点検した後、拳銃、弾倉、弾薬は俺のところに戻してくれ」


 ルーマン中尉が訓練を終了させた。ヒューリーは拳銃の弾倉を抜き、薬室に弾薬が装填されていないのを確認してルーマン中尉の元に返却した。


 ヒューリー達が射場を出るとやけに騒がしかった。士官が通路を走り回り、怒鳴り声を響かせている。ルーマン中尉は士官の一人を捕まえて事情を聞いた。


「ハント大尉、何があったんですか?」


「反乱軍の攻撃艇が地球圏に侵入してきた!」


「反乱軍!?」


「しかも四十機の大編隊でだ!」


「迎撃隊は出たんですか」


「第七艦隊が向かっているよ!他に何か?」


「いえ大丈夫です。ありがとうございました。」


 このような騒ぎになっても今のヒューリー達にできることは無かったので、ルーマン中尉は部屋に戻り待機するよう指示した。


 三時間後、反乱軍の編隊は反転し地球圏を離脱したという情報がヒューリー達に届いた。

 ブランソン少佐が詳細を伝えに来た。


「本日標準時間一四三〇、第七艦隊の哨戒艇が地球圏内に侵入する反乱軍攻撃艇を捕捉、五分後に迎撃艇を出動。一五三〇、反乱軍攻撃艇は反転、地球圏を離脱、第七艦隊は追跡を終了した」


「敵の目的はなんだったのでしょうか?」


「これだよ」


 ブランソン少佐はマイヤー伍長にパソコンに映し出された画像を見せた。マイヤー伍長の周りにヒューリー達が集まる。


「先程第七艦隊から送られてきた。反乱軍の宣伝ビラの画像だ。奴らはこれをバラまいて直ぐに地球圏を離脱したそうだ」


 画面に映し出されていたのは、文章がプレス加工で打ち込まれた金属製のプレートだった。


 国連宇宙軍兵士諸君に告げる!

 諸君らの戦いぶりには我々植民地解放軍も敬意を表する。

 しかし、戦局は我々が優勢であることは明らかである。

 このまま戦争を続ければ諸君らは必ずや命を落とすことになるであろう。

 こちらへ投降するのであれば我々解放軍は諸君らを捕虜ではなく新たな解放軍兵士として迎えよう。

 真の正義がどちらにあるか、それを知りたいのならば早急に我々に投降して欲しい!

 今こそ移民局の間違った指導から抜け出すべきである!


 プレートにはそのように書かれていた。


「よく見ておけ、これが反乱軍のやり方だ。決して反乱軍の話に乗って下手な考えは起こすな。彼らは絶対にこのような待遇で待ってはいない」

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