第二十六話 俺は完敗を強いられました
俺は完敗を強いられました
「うらぁぁぁぁああああ!!」
「キョァァァアアアア!!」
俺の声とドラゴンの叫び声が洞窟に響く。
「はぁぁああああ!!」
「ウアォォォォオオオ!!」
サミラとドラゴンの叫び声が洞窟に響く。
「これで何頭目だ?」
額に浮き出た汗を俺は拭いながらサミラに問う。
「知るかぁ。とにかく今は先に進むことだけを考えろよぉ」
違いねぇ。そんなことを考えたところで何も始まらないか。
「目指すは――」
「この洞窟の先――」
「「あの城だ!!」」
ドラゴンたちを狩って気づいたことがあった。それはドラゴンたちはどこからか一方からしか飛んでこないってことだ。
「なら、その方向に行けば住処がわかるんじゃないか?」
という俺の意見で俺たちはドラゴンを倒しながらもここまでやってきた。
そしたらまさにビンゴだ。
「ったく。にしてもなんでこんなにドラゴンがいるんだ?」
「知るかぁ。いるからいるんだろぉ」
まあ、そうなんだがもうちっと考えてくれたっていいじゃないか。
そんなことを話していると俺とサミラを挟むようにドラゴンが突っ込んでくる。
「まあ――」
「そんなこと――」
「「関係ない(けどな)(なぁ)」」
そう言って俺たちはドラゴンを一撃で仕留める。
仕留めてから俺たちは走り出す。途中ドラゴンを何頭も道連れにしながら。
「先に着いたほうがボスと戦えるって話だ! 文句はないだろうな!」
「ああ、もちろんだぁ! 私が先に着くがなぁ!」
俺とサミラは二ヤッと笑い。そして競争をし始めた。地面は人の手が入ってないせいか荒く走れば転ぶ可能性が高いのに俺たちは体をぶつけながら互が互を転ばすようにぶつかり合う。それはまるで小さな子供の競争みたいだった。
そして、俺たちは城の前まであっという間に着いてしまった。
「はあ、はあ、はあ。お、俺が一番だ……」
「な、何を言うぅ。わ、私が一番だぁ……」
俺もサミラも敵と戦う前から力を使い果たし疲れきっていた。
そこで俺は一ついい案を思い付いた。
「なあ、この城を今から壊しちまえばいいんじゃないか? この中に敵はいるんだろ?」
ああとサミラが気づきとりあえず俺は城を壊す為右手を振りかぶると
「それは無理だな」
瞬間俺たちは硬直した。威圧感がその場を支配する。
「なぜなら、その中にそこの主はいない。結論を言わせてもらえばそこの主は私だからだ」
俺は力いっぱい、ゆっくりと首を動かす。
俺の視界に入ってきたのは渋いおっさんだった。
おっさんの背には幅広で、黄金の柄には青い宝玉が埋め込まれ、鞘は金色の打紐で巻き上げられていた剣が携えてある。
あれはまさか……。
「クソッ! うおぉぉぉぉおおおお!!」
サミラがいきなり突っ込む。
「ダメだ! サミラ、やめろ!」
だが、俺の声は虚しくサミラは剣を振り下ろすところだった。
しかし……。
「なっ……」
エクスカリバーはサミラの手にはなかった。おっさんが弾き返していた。いや、誰も知らぬ間に弾き返されていたのだ。
「全身が甲羅のように硬く、いかなる武器も受け付けない不死身の体。そして、その剣。まさか、おっさんは……」
――ジークフリートじゃないか?
俺の声が洞窟中に響く。
「ほう。私のことを知っているのか。まさしく、私がそのジークフリートだが。なぜそんなに驚いているだ?」
そ、そりゃあ驚くだろうよ。だってあんたは……。
「あんたはハーゲンに殺されたはずだ。なのになんで生きている。まさか、その子孫か? いや、だがそんなことは神話には書いてなかったはずだ。あんたはホントにジークフリートなのか?」
もし、ホントにジークフリートなら背中にある剣はもしかしたら……。
「ふむ、懐かしいな。ハーゲンか。彼も惜しいことをした。私を殺せなかったんだからな」
なん……だと……?
殺せなかっただと? じゃあ、まさか……。
「お前は、本当にジークフリートなのか」
「さっきからそう言っているだろう? 私は、いや、私こそがジークフリートそのものだ!」
ならまずいぞ。あの背中の剣はきっとバルムンク。ジークフリートの愛剣にしていくつもの軍功を上げてきたという伝説の剣。
俺は生唾を飲んだ。
あ、有り得ない。なんで俺はこんな状況なのに……。
――楽しんでんだよ!!
「さしづめ、カイロスが送ってきた神の抗争を止められる奴らなのだろうな」
なぜ、そんなことを知っている!?
「なぜ、そんなことを知っているといった顔だな。私はこれでも英雄だ。アーサー、ランスロットとは違い長生きのな。それにこの前お前らと同じ立場の奴らがぞろぞろときたよ。まあ、みんな死んでもらったがな」
死んだだと?
殺したのか?
「私も強くならない人間には興味がない。カイロスもそれは同感だったらしい。何も言わず次を探しに行ったよ。だがまあ、こんなチビどもを連れてくるとは思わなかったがな」
ジークフリートが剣を抜いた。
「さあ、来い。ここから出たければ私に勝つことだな」
ジークフリートの目はとても冷たかった。冷静を超えて冷たい目をしていた。
俺はサミラに手を出すなと体で伝えサミラの前に出る。
「一人ずつか? 全員でもいいんだぞ? まあ、二人しかいないが」
ジークフリート、バルムンクは動かない。動くのは口だけだ。なんてやつなんだ。一瞬の隙も見せないなんて。
「来ないのか? なら、私から行かせてもらう」
そう言ってジークフリートは目の前から消えた。
そして、次に現れたのは剣が俺を下から真二つにすべく向かって来るところだった。
なんで英雄って職業はすぐに消えるんだよ!
俺は間一髪でそれを避け反撃のため右手を振りかぶる。
俺は顔面を目掛けてナックルを放った。ジークフリートはそのモーションが見えていたのに避ける素振りを見せなかった。
俺は構わず顔面を打ち抜く。だが、ダメージを負ったのは俺の方だった。
「か、硬い!」
今ので俺の右手は使い物にならなくなってしまった。
「ふん。そんなものか。貴様も前来た奴らと何ら変わらないな」
そう言ってジークフリートは俺にタックルをしてきた。硬い肌と重い体から放たれたタックルはトラックとぶつかった時と同じ衝撃で俺は吹き飛ばされた。
勢いが強くそのまま壁にめり込む。
「グハッ」
軽い脳震盪を起こしてるらしい。体が動かない。
見るとジークフリートがこちらに剣を向けながら突進してくる。
避けなきゃ!
動け! 動け!
「動けぇぇぇぇぇえええええ!!」
気合を入れ体を地面に落とす。
瞬間、壁が崩れる音が背後から聞こえた。
「なんとまあ、大胆な避け方だな。最後にものを言うのは気合とはよく言ったものだ」
感心しながらもジークフリートが壁に刺さった剣を抜く。
ジークフリートは再度攻撃をすべく剣を逆手に持った。背中から俺を刺すつもりらしい。
「は、はは。お前が殺された時と同じ殺され方をされるとはな」
俺は皮肉を言いながら体を動かそうと必死に力を入れるが力が入らない。
死ぬのかな?
はは、それなら面白いや。この最強と自負していた俺がまさかこんなところで死ぬなんてな。
「うおぉぉぉぉおおおおお!!」
サミラがエクスカリバーを携え突進してきた。
だが、その攻撃は剣で逸らされサミラは脇腹を蹴られた。サミラは壁に体を強打し気絶してしまっている。
「サ、ミラ。お、前……」
当然ながらサミラからは声は聞こえない。
クソッ! サミラだけは逃がしたかったんだがな。
「終わりだ。お前の命は今日、今をもって終了だ」
そう言ってジークフリートはバルムンクを俺に近づける。
あと十センチ、九センチ、八……三センチ、二センチ、一センチ……死ぬ!
「そこまでです」
どこからか声が聞こえた。
同時に剣は寸前で止められた。
「誰だ。貴様は」
シルエットになって見えないがあの形そしてあの声は……。
「私はアルガラス・ミランデ。神になれなかった神様ですよ」
キタ━(゜∀゜)━! 京子キタ━(゜∀゜)━!
あ、でも京子弱かったぁぁぁぁぁああああああああ!!
どうする! どうなるこの作品!
では、次回ヽ(^o^)丿




