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第二十三話 俺は目の前にドラゴンが現れたのを見なかったことにしたかった

俺はドラゴンが現れたのを見なかったことにしたかった


光に包まれたあと俺が目を開けるとそこにはジュラシックバレーかと言いたくなってしまうくらいの山だった。

「なんで、俺はこうすぐに戦いに巻き込まれるんだ?」

瞬間、昔エリーが言った言葉を思い出しだした。

――信五って、こう言うのに巻き込まれる天才なの?

ああ、ここに来て俺もようやくそう思ってきたよ。

にしてもここはどこなんだ?

「ん? あれはなんだ?」

俺が空を見上げると空に飛んでいる物体がある。しかもなんか生き物らしい。動きがナマナマしい。

これだけの距離であれだけでかいとなると実際に見ると四メートルはあるだろう。

「羽があって、尻尾があり、顔は……恐竜か?」

そんな生物いるのか?

んー……いたぞ。一体だけ。俺はまだ見たことないが聖書などでそう説明されていた気がする。それは……

「ドラ、ゴン……なのか?」

ドラゴン、龍とも言う生物。と言っても実際には存在せず物語の生物だったはず。聖書やどこぞの国では強さの象徴にしているらしい。

って、そんなのどうでもいいんだよ!

「なんで、そんなのがこんなところにいるんだよ!」

しかも俺の頭上に!

俺が大声を出したせいでドラゴンが気づいたらしい。ドラゴンは俺に向かって急降下し始めた。

「おいおい! マジかよ!?」

ドラゴンが着地する。その衝撃は最悪のものだった。俺は咄嗟に距離をとって大丈夫だったがその場にあった地面はクレーターができ、抉れていた。

「デタラメだなぁ、おい!」

そんなデタラメなものを見て俺は怖がるどころか笑っていた。

「チクショウ。ドラゴンなんかと戦いたくはなかったがどうやら人型だと俺を倒せないらしいからな。ドラゴン、悪魔、神等が俺と対等に戦えるらしい」

ドラゴンの顔はまるで恐竜だ。ウロコがあり、牙があり、鋭い目までも持っている。

四本足の爪は牙みたいに鋭く、触っただけで切り裂かれてしまうほどの切れ味抜群で俺を睨む。

おもしれぇ! ドラゴン! てめぇがどれほどのものか見せてみろ!

「らあぁぁぁぁぁあああああ!!」

俺は駆け出した。

「ドアオォォォォォォ!!」

俺の進行はドラゴンの叫び声によって止まらざるおえなかった。

なんだ。この威圧感は!

これがドラゴンか! 最強の象徴なのか!

「だがな! これでも俺は人間界で最強なんだよ!」

俺は再び駆け出す。今度は止められはしない。

俺はドラゴンの顔面にナックルを放つ、続いてドラゴンの長い首にローキック、最後に高くジャンプしかかと落としを放つ。

全てクレーターができるくらいの強力な攻撃だ。

だが、ドラゴンはそんな攻撃はカスリ傷みたいな顔で立ち上がる。

「は、はは。マジかよ」

俺の攻撃がまったく効いていないのか?

こ、困ったぜ。こんな敵は初めてだ。俺の攻撃が通じないなんて。

「ドアオォォォォォ!!」

もっと来いと言わんばかりに雄叫びを上げる。

「お望み通り、もう一回だ!」

俺はドラゴンの顔にローキックを放ち、落ちる顎にアッパーを放つ。落ちてくる顔に裏拳を放ち距離を取るためバックステップする。

「こ、今度はどうだ?」

しかし、ドラゴンは涼しい顔をしていた。なんでだよ!

「はは。打つ手なしってのはこういうことを言うんじゃないか?」

ドラゴン恐るべし。勝ち目なしだ。

ドラゴンはそれを感づいたのか俺に攻撃を仕掛けようとした。

まさにその時だった。目の前に奴が現れたのは。

「久しぶりだなぁ。元気してたぁ?」

この話し方はサミラか!

「お前、なんで?」

俺の世界の奴らはみんな固まったはず。

「私の世界の奴らがみんな固まってさぁ。そしたら変なやつにこんなところに飛ばされる始末だぁ。エルランドも固まってリンクも出来やしねぇ」

エルランドですら固まったのか。にしてもなんでこいつは俺の目の前に出てきたんだ?

「いいかぁ? ドラゴンってのはぁ……」

サミラはドラゴンの背中に乗りどこから取り出したか分からないエクスカリバーを右手に持ち振り下ろす。

「ウロコを剥がしてからぁ……」

振り下ろされたエクスカリバーのあとにはドラゴンのウロコはない。

「そこを刺してぇ……」

サミラはエクスカリバーをドラゴンに刺し。

「思いっきり斬るぅ!」

そう言うとサミラは思いっきりエクスカリバーを振るう。

するとドラゴンは真二つに割れ動かなくなった。

す、スゲェ。あんなに苦戦していた俺と違ってサミラは一瞬で倒しやがった。

「お前は手加減をしすぎだぁ。仲間にでもしようと思ってたのかぁ? そんな考えは捨てたほうがいいぞぉ。ここからは死がかかってくるからなぁ」

俺が手加減をしている? そんなはずはないぞ! 俺は本気でやっていた!

「そんなことよりなんでお前が俺を助けるんだよ」

そうだ。それが俺には分からない。俺たちは別に仲間じゃないだろ?

「お前が私を助けたからだ」

「はい?」

俺が助けた? いつ?

「焼け切った城で私たちは戦ったぁ。最後の一撃の時。お前は手加減した。自分が負けず、私が死なない程度の攻撃を放っただろぉ?」

そう、なのか? 俺はぜんぜんそんな気はなかったんだが。

「意識してたにせよ、無意識にせよぉ。お前は私を助けてくれたんだぁ。だ、だから、助けてやったんだぁ」

なぜ、そこで赤くなる?

「ドアオォォォォォ!!」

頭上で大きな声が無数に聞こえる。

俺は上を向く。するとそこにはさっきとは比べものにはならないくらいのドラゴンが飛んでいた。

「こいつが雄叫びで呼んだんだぁ。逃げるぞぉ!」

腕を引っ張られるが俺はその腕を振り払った。

「何してるぅ! 早くこっちに――」

「俺が本気で戦ってなかったか。そうかもな。俺は心のどこかであいつらさえも助けたいって思っていたのかもしれん。いや、違うか。俺は戦った奴とまたいつか戦いたいと思っているだけか」

俺はドラゴンを見ながらつぶやく。

「お前じゃあの数は無理だぁ! 今なら逃げられるぅ! だから、こっちに来いぃ!」

俺はサミラの方を向き言う。

「ここで逃げちゃダメだ。逃げたら真実が遠くなっちまう気がすんだ。だから……」

逃げちゃダメなんだよ。

俺はサミラに向かってかすかに、そして、確かに言った。

「お前……死ぬ気かぁ?」

俺はニッと笑い首を横に振る。

「いや、勝手に死んだら京子たちが怒るからな。死ねないんだよ。まったく、お節介だぜあの二人は」

俺はドラゴンたちの方に向き直り着地を待つ。

「いいんだぜ? 別に一緒に戦わなくても」

俺の横にいるサミラ。

サミラはエクスカリバーを肩に置き言う。

「ふん、ライバルが死んじまうのは私のプライドが許さないんでなぁ」

こいつもそう思っていたのか。

いやいや、俺も含めてお節介だったんだな。まったく。うれしいじゃねぇかよ!

「死ぬなよ?」

「お前こそぉ」

初めに十頭のドラゴンが着地した。

サミラはエクスカリバーを構えて言う。

「輝け! エクスカリバー!」

黄金の光を放ちながらエクスカリバーはサミラの手に収まる。

一頭のドラゴンがサミラに向かって突進する。

サミラは動揺しない。それどころか、ドラゴンが近付くたびに静かに冷静になっていく。

そして、サミラの攻撃範囲に入った瞬間ドラゴンは頭から真二つになった。

俺、あんなの何回も喰らっていたのか。剣筋すら見えなかったよ。よく死ななかったな、俺。

そんなところを見ていると俺の方にもドラゴンが向かってきた。

「手加減すると俺が勝てない。手加減しなければお前が死んじまう。俺はどっちも望まない。だってそれは俺の夢から遠ざかってしまうからな。だから――」

俺はドラゴンの顔に一発パンチを入れた。なんの型もないただのパンチを。

するとドラゴンはその場で止まった。

「お前にはその鎧を脱いでもらうことにした」

俺は手を下げるとドラゴンのウロコが波立つ。尻尾まで到達するとドラゴンのウロコは全て剥がれ落ち鎧を着ていないドラゴンがその場で立っていた。

「どう、やったんだぁ?」

サミラが驚きの声を上げている。

「簡単さ。俺はドラゴンの顔面にパンチを入れた。いや、正確には俺の拳に乗った風を与えたんだ。そうすることで風はドラゴンの皮膚を通りウロコだけを剥がす。結果がこれだ」

俺はウロコ一つないドラゴンを指した。

「マジ、かよぉ」

俺は首を傾げる。何かおかしいことでもしたか?

裸になったドラゴンは諦めず俺に攻撃してきた。

「鎧がないドラゴンなんて恐るに足らん!」

俺はニヤつきながらドラゴンの顔面を蹴り上げた。蹴り上げられたドラゴンは空高くまで飛び上がり何処かへ消えてしまった。

俺は残り八頭のドラゴンに向かってニヤつきながら言い放った。

「まだやるか?」

だ、題名が弱気じゃないか?


ということで、変なやつに飛ばされた場所はドラゴンがいるみたいです!

信五はここでどんな活躍を見せてくれるのか!


次回もよろしくお願いします。

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