第二十二話 俺は休暇を取るはずだった
俺は休暇を取るはずだった
俺が英雄たちの世界から帰ってきて早一週間が経とうとしていた。
「暇だ。海に行くぞ」
という俺の勝手な意見で海に駆り出した俺たち一行。
季節は夏だから海は合っている。問題ない。そして、嬉しいことに美少女が二人もいるので今年の夏は楽しいことこの上なしだ。
「きゃはぁ!」
地味に高い崖からエリーが飛び込み海に入るやいなや声を上げている。
「気持ちいーよ!」
エリーが下から言ってくる。その顔はとても可愛かった。
「そーですかー。じゃあ、私も――」
「さっさと行け」
飛び込む準備をしていた京子の背中を俺は軽く押し京子はバランスを崩す。
「え? うわっ、ああぁぁぁぁあああああ!! 信吾さぁぁぁぁん、ひどいですよぉぉぉぉ!!」
そんな声が響きながら京子は海にダイブした。
「ぷはっ、信五さーん。冷たくて気持ちいいですよー」
京子は濡れた髪を手で直しながら言ってくる。俺は見てるだけで楽しいのは気のせいだろうか?
「じゃ、俺も行くか」
俺はその場からジャンプし海にダイブした。
海は冷たくて夏の熱い気温で溶けそうだった体を冷やしてくれてとても気持ちよかった。
「はあ、さすが海だな。夏はこれに限るよ」
京子たちは俺がそんなことを言うとオヤジ臭いとか、もっと若い子のようなこと言いなさいよとか言って笑っていた。
仕方ないだろ。ホントにそうなんだから。
その夜、俺たちは花火をしたり、スイカ割り、バーベキューなどいろいろした。
これぞ、休暇じゃないか?
そう思った俺だった。
目覚めるといつものベットだった。
「……だよなぁ。途中から有り得ないくらい夢みたいだったよ」
という夢を見ていたらしい。
だがしかし、海に行こうと言ったのは本当である。今日、これから俺の私有地に赴くのだ。
ヤクザを潰したあとなんかわからんが警察に通報しない代わりに一生遊んで暮らせる金と私有地をくれたのだ。そして、その私有地にはなんと近くに海があるという素敵な私有地だった。
「さて、さっさと起きてしたくしますか」
俺は眠い目を擦りながら起き上がるとパジャマを脱ぎ着替えに入った。
「信五さん。ご飯どう……しま、すか?」
俺が上半身を裸にした瞬間に京子はノックもせずに入ってきた。
「飯? んー、適当に作ってくれ」
俺は構わず下も脱ごうと手をかけると。
「うわうわうわ! ち、ちょっと待ってください! ご、ご飯は適当に作りますからぁぁぁぁ!!」
と言って京子は慌てて出て行った。
「騒がしいやつだなぁ」
俺は騒がした原因が自分にあることなど知る由もなく着替え始めた。
俺たちは三時間くらい電車に揺られ、バスに乗り私有地まで行った。
「ここが、信五さんの私有地ですか?」
俺たち三人の目の前には意外にもでかい建物が建っていた。
「ああ、そうらしい」
そうらしいというのも俺は一度もここに来たことがないのだ。
掃除はヤクザたちの掃除係をもらってきたのでそいつらにやらせておいているので綺麗な気がする。
「あんたって、ホントに何者なのよ」
エリーが疑いの目を向けている。
「俺は人間だ。普通のやつより少し強いだけのな。ここは昔ヤクザたちをコテンパンにしたら泣きながらくれたところだ」
それって奪ったの間違いじゃないの? と言いながらもエリーは別荘に入っていく。
京子もそれに連れて別荘に入っていく。
「主を差し置いて先に中に入るなよ」
俺は呆れながらも中に入った。
中はかなり綺麗だった。どこもかしこも埃一つない。
「へぇー、結構綺麗じゃない。それに夏なのに涼しいし」
通気性が良すぎてもダメだと思うがな。
だが、これはホントにいい感じだぞ。涼しいしなんと言っても広い。
「ねぇ、海ってここから近いのよね?」
「ん? ああ、そうらしいぞ?」
「まったく、あんたの別荘でしょ? それくらい把握しておきなさいよ」
と言いながらエリーが脱ぎ始める。
「ち、ちょっと! こっち見ないでよ!」
いやいや、いきなり脱ぎだしたのあなたですよね?
「わかったよ、俺ちょっと外出てくるわ」
別に海に入りたいとも思わなしな。
俺は外に今夜の飯の材料を買いに町の方まで出た。
街は東京までとはいかないが結構賑わっていた。
「へぇー、こんなもんが売れてんのか」
俺は変な人形を手に取り眺めていた。
「って、いかんいかん。飯の買い出しなのにこんなところで遊んでなどいられんな」
俺は再び歩き出した。海が近いこともあり魚が安い。それになんか聞いたこともない名前のものまで出ているときたもんだ。これは買うしかないだろ。
「あなたが最強ですか?」
不意に後ろから声をかけられた。
俺は振り向いたがそこには誰もいない。聞き間違いか?
「答えなさい。あなたが最強ですか?」
まただ。また聞こえた。なんだ? この声は。
「誰だ」
辺りを見るとさっきまで動いていたものすべてが止まっている。缶ジュースを落とした子供もその缶ジュースも、全てだ。
「ほかの奴らは邪魔なので止めさせてもらった」
なんだ、こいつは。
「もう一度聞こう。あなたが最強ですか?」
最強ってなんだ? どういう意味なんだ?
「みんなからはそう呼ばれてる。ただ、最強という名前ではない」
「ふふふ、そうですか。あなたがオーディンを退いだ人物。あなたなら……」
なんだ? オーディンを知っているのか? それにこないだの戦いのことも知っているみたいな言い草だぞ?
「お前は何者だ!」
俺は気配を探るため、そして、どこかに俺以外に動いている奴はいないかを探すためあちこち見るが何もない。
「私は……まだ、あなたが知ることはない」
「どういうことだ!」
知る必要はないということか? だったら、なんで出てきた!
「知ればあなたは後戻りできなくなる」
後戻りできなくなるだと?
「何を言っている! お前は一体誰なんだ!」
俺は叫ぶが答えは帰ってこない。一体何なんだ!
「あなたには試練を乗り越えてもらわなくてはならないのだ」
何を言っているんだよ! そろそろ答えを教えろ!
「すまない。私が未熟なばかりにあなたにこんな運命を背よわせることになろうとは」
意味深なことばかり言いやがって!
「あなたには本当に済まないと思っている。だが、乗り越えてもらわなければ世界が死んでしまう。それだけは守らなければならない」
クソッ! 居場所どころか、気配すら感じないだと! 何者なんだ。
俺が探していると背後に光が迸る。
「な、なんだ!?」
俺は眩しくて目を手で押さえる。その瞬間、声が聞こえた。
「だが、好機はすぐに捉えなければ後から捉えることは出来ないのだ。わかってくれ最強の申し子」
ま、また、伏線……だと。
ということでこの先真っ暗なヲサダここからです。
何か考えがあるというと嘘になってしまう。ああ、これからどうすればいいんだ!
よし、次から本気だそうか。
では、次回……!




