第二十話 俺は戦いを終えサミラとの決着をつける
俺は戦いを終えサミラとの決着をつける
「うわぁぁぁぁあああ!!」
これで三千人近くの軍勢を全部飛ばした。
「はあ、これでおしまいか。弱いくせに数が多いからちょっと手こずったぜ」
俺はポケットに手を入れながら今はもう燃えてしまったレリアールの城へと歩き出した。
本当は町の宿屋でみんなと会う約束だが俺が思うにあいつはあっちにいる。
「行く気なの?」
俺が歩いていると木の上から女の声が聞こえた。
「やっと気配を現したな。ええーっと、エルランドだっけ?」
俺は木の上でずっと俺の戦いを見ていたエルランドに俺は気づいていた。気づいていて気づかなかったフリをしていたのだ。
「ホントに行く気なの?」
エルランドは悲しそうな声をしながら言う。
「ああ、行く気ですが何か? お前にはあんまり関係ないだろ? いや、あるか。あいつのパートナーだもんな。パートナーが負けるのが嫌か?」
「そ、そんなことない! サミラが負けることなんてあり得ないわ!」
こいつが止めようと思う気持ちはなんとなく分かる。
「アイツに初めての友達が出来そうだからだろ?」
「……」
エルランドの言葉はそこで詰まる。当たりか。
サミラは俺と同じで人とは違い強靭な体、有り得ない体力、そして、神にも匹敵する力を持っているんだ自ずと友達、いや、人は周りからいなくなる。
だが、そこに俺みたいな強い奴が存在した。それはサミラにとって初めてのことだった。もしかしたら友達になれるかもしれない。そう、エルランドは思ったんだろう。
「だが、甘いよ。人生はそんなに甘いもんじゃない」
そう、人生はそんなに甘いもんじゃない。そんなに簡単に片付けられないんだよ。
「盗んだエクスカリバーは返すから、戦わないで!」
エルランドは泣いているようだった。
「エルランドよぉ。俺は別にあいつを殺そうだなんて思ってないよ。ただ、俺はあいつとの喧嘩の決着を着けたいだけなんだ。あいつと俺はそうしなくちゃいけないんだ」
戦いあった仲だから、戦闘狂の仲だから、そして、お互い欲しくもなかった力を手にした仲だから。
「な、なら、私を殺してから行きなさい!」
木から降りエルランドはここからは行かせないと言うように両手を広げている。
その体は震えていた。怖いんだろう。京子と同じ力のない神様だから。ホントはこんな守り方はしたくないんだろう。
「……それでいいのか?」
「な、何がよ?」
「サミラの気持ちをお前は優先できてるのかって話だよ」
エルランドはしばし両手を広げていたがやがて手を下ろし言う。
「サミラをよろしくね。あの子は可愛そうな子なの。昔から一人でいて、誰とも一緒にいられなくて……だから――」
「ああ、わかってる。なーに、殺すなんて思っちゃいない。生かしてまた喧嘩すんだ。それでしか俺たちは分かり合えないからな」
俺はニッと笑いエルランドの横を通り過ぎていく。
任せとけ。あいつは俺がいつでも遊んでやるよ。それこそこれからずっとな。あいつは俺にとっても初めての殺り合えるやつだからな。
「待ってたよぉ。あながちエルランドにでもやめろと言われてたんだろぉ?」
よくわかっていらっしゃる。
「わかってたんなら事前にやめさせとけよ」
俺は皮肉を言う。そして、ポケットから手を出し手をブラブラとだらしなく垂らす。
「ランスロットからアロンダイトを借りてきても良かったんだぞぉ?」
「女子に剣を向けるのは俺好みじゃないからな。それにお前程度なら素手で十分だ」
俺の皮肉にサミラは……笑っている。
俺もそれを見て笑みが漏れる。
「さて、早目に終わらせるか。俺たちの戦いは世界を砕きそうだからな」
「ふははは、それもそうだなぁ。私たちは世界を殺してしまう力の持ち主だぁ。だから、早速やって、早目に終わらせよう」
サミラが背中から剣、エクスカリバーを抜く。
「最初から本気だぁ。輝け! エクスカリバー!」
エクスカリバーは黄金の光を放ち始める。それに反応するかのように木々が揺れ始めた。
「行くぜ!」
俺はサミラに向かって走り始めた。
俺は別に武道を学んだことはない。ただ、殴ればそれはなんでも砕く拳となり、走ればそれは地球上全てを凌駕するスピードになる。ただ、それだけの力。
だが、相手はそれに伝説の聖剣付きって言う素晴らしい組み合わせだ。
「ふん、私に勝てる奴はいやしないよぉ」
サミラも両手で柄を持ち構える。
「うおぉぉぉぉぉおおおおおおお!!」
「はあぁぁぁぁぁあああああああ!!」
お互いの声と攻撃が重なった。するとその場では大爆発が起こり俺たちは吹き飛ばされる。
「や、やるじゃねぇか」
「お前こそぉ!」
俺たちはニヤつく。他から見れば変人だがそんなこと関係ない。
楽しい。こんなに楽しいのはいつぶりだろうか。
俺たちは再び全力の攻撃を放つ。
拳は何の型もなく、ただ、相手を殴るためだけに放たれる。
剣は何の方もなく、ただ、相手を斬るためだけに振られる。
そんなことが俺たちにとってはとても楽しい。初めて人と全力で遊んでいる。遊べているのだ。
それから何回、何十回、何百回そんなことを繰り返した。
「はははは!」
「くははは!」
俺たちは笑い合う。お互いに一歩も引かない。
俺とサミラは肩で息をし体も限界へと達していた。
「そ、そろそろ終わるか?」
「そ、そうだ、なぁ」
ああ、遊びが終わりを告げる。この体じゃあもう最大の攻撃は出せない。出せたとしても一発が限界だ。
俺たちはお互いに溜めの態勢に入った。
「うおぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
雄叫びを上げ俺たちは最大の、そして、最後の攻撃を放った。
土煙が上がり、辺りの木々は何処かへ行き、焼けた城は粉々に砕け、俺たちはその場で止まった。
「は、はは、やっぱり強いなぁ。負けたよぉ」
「へ、俺だってボロボロだ。まっ、負けたって言うなら勝ちはもらうがな」
俺のパンチとサミラのエクスカリバー、拳はボロボロで赤く染まり、剣は黄金の輝きを失っている。
「前言撤回だぁ。これは引き分けだぁ。決して負けてなどいないぃ」
俺は笑う。
「そうこなくっちゃな」
サミラも笑い始めた。
そして――俺たちは倒れたのだった。
なんで信五はサミラが城の方にいるってわかったんだ?
そういう質問はなしでお願い致します(笑)。
次回も見てください!
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