第十七話 私たちはぐ、軍隊を倒すんです!
私たちはぐ、軍隊を倒すんです!
元気よく別れたまでは良かったんです。良かったんですけど……。
「ほら、京子。何してるの? ほかはみんな始めてるわよ? そろそろ準備しなさい」
うう、なんでそんなにエリーさんは冷静なんですかぁ!
私たちは一番敵が来ないであろうと予想された南に配置されたこの場所で敵が来ないように祈っていた。
「てか、なんであいつの考えはいつも通るのよ。ホントに敵が来ないじゃない」
そう、私たちがここに来てから早々に三時間が経とうとしていた。
だが、敵どころかこの国の人さえ来ない始末である。
「で、でもよかったじゃないですかぁ。て、敵が来なければ戦うことはありませんしし、死ぬ可能性さえもないですし……」
今、行っているのはだたの戦いではない。信五さんの行った通りこれは戦争なのだ。
人が人を殺し、英雄の名をもらえる。みんなに褒めてもらえる唯一の場。
私は神だが誰かを守ることしか私にはできない。それが私の限界なのだ。
「良くないわよ。せっかく、戦歴を上げてし、信五に褒めてもらおうと思ったのに……」
最後のほうは聞こえなかったがエリーさんは信五さんのことを話しているみたいだ。
「えっと、もしかしてエリーさんは信五さんのことが好きなんですか?」
疑問に思ったことをすぐに口に出してしまうのが私の癖なのだ。
「は、はぁ!? ななな何言ってんの!? わ、私があ、あんな奴、す、好きなわけないじゃない!」
なら、どうしてそんな反応をするんでしょうか。
「な、何がおかしいのよ」
どうやら、私は無意識に笑っていたらしい。どうもこのところおかしい。信五さんと出会ってからおかしいのだ。
神様としては弱く、人間からしても弱く。それでも私の記憶のためにこの戦いをしなくてはならない。そう思ってあの人と(勝手に)契約をしたのに最初こそおかしい人だと思っていたのにそういうところが面白いと思えてきて最近では(と言ってもまだ出会って二日だが)あの人が今度は何をやらかしてくれるのかが楽しみでいられなくなってしまった。
「何考え込んでるのよ。あんたは馬鹿なんだから考えたって何も浮かばないでしょ?」
それもそうだ。
「って、どさくさにまぎれて私のことバカって言いました!?」
「ええ」
「否定しない!?」
そこは否定してくださいよぉ!
「それよりあんたこそあいつのこと好きなんじゃないの?」
はい? 何言っちゃってやがりますか、この人は。
「私はそういう感情ではないと思います」
「ということは違う感情があると」
うう、なんと目ざとい人だ。私が考えていることが全てわかりきっているのではないだろうか。
「で? 本当は?」
「だから、私は信五さんのことはホントになんでもないんですよ!」
顔が熱い。私は赤面しているのだろうか。しているのならなぜ?
「強がるところがあやしいなぁ?」
ニヤついた顔で私を見る、エリーさん。
「べ、別にあやしくなんかありません! あーりーまーせーん!」
「ふ~ん」
なんですか、その顔は! 疑ってますよね? 疑っちゃってっくれてますよね!?
「京子、来たみたいね」
「へ?」
何が?
「あんたねぇ。私たちがここにきたのは元々敵を通さないためでしょ?」
ああ、そういえばそうだった気がする。
「忘れてましたぁ」
全くこの子はと頭を抱えながらエリーさんは立ち上がる。
「京子」
「はい?」
「私は勝ってあいつに私の強さを見せつけるわ。そのために戦うの。あなたは? あなたは何をするために信五の傍にいるの?」
私は何のために信五さんの近くにいるか。
そもそも、私はなぜ信五さんと(勝手に)契約したのだろう。人間じゃなくても契約はできるのに。
そこで信五さんと初めて出会った時のことが思い返された。
私という神様に手を出そうとしたチンピラ。その時私は次元移動を使ったばかりで自分を守る技が一つも使えなかった。
私は怖くなった。神といえど技が使えなければ人間以下の存在の私は一体何をされるのか、わからず怖くなったのだ。
そこに私にとって恐怖の存在だったものに何の躊躇も何の恐怖さえも感じず私を助けてくれた信五さん。
ああ、そうか。だから私は信五さんと契約をしたのか。きっと、この感情が答えだろう。
「私は、信五さんの為に戦いますよ。他の誰でもない、ただ信五さんの為に。こんな弱い存在でも信五さんは馬鹿にせず傍にいてくれたんですから」
なによ、あんたこそあいつのこと好きなんじゃないと面白くなさそうにエリーさんは言う。
だから、私は好きじゃありませんって。ただ、その根っこが生え始めただけってだけで。
「うぉぉぉぉぉおおおおお!!」
目の前ではたくさんの兵が押し寄せる。
「京子、行くわよ」
「守りは任せてください」
私たちは顔を合わせニッと笑うと軍の方を向き戦闘を開始していた。
勝ちますよ、この戦い。だって、信五さんに任された戦いですもん。
弱いと言われた私を信五さんは邪見せず、嫌がらず、面白いやつだと、おかしいやつだと笑ってくれました。
初めてですよ、あんな人は。
神の世界にはいなかった。他の世界にもいなかった。たぶん、あの人だけなんです、神の力抜きで私を見てくれるのは。
だから、私はあの人の為に戦います。
ああ、きっとこれも信五さんのせいなんだろうなぁ。昔の私は逃げてばかりだったのに。あの人に出会ってからまだ日は経ってませんがこんな考えをさせるのは信五さんのせいです。
まあ、こんな感情も悪くはありませんが
な、なんか恋バナになってないか?
次回もよろしくお願い致します。




