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第十六話 俺は戦争を始めます

俺は戦争を始めます


俺たちはランスロットの主がいた城の跡地(俺が壊した)にいた。

ランスロットは結果的には無事だった。

京子の延命の技とエリーの回復魔法がなんとかランスロットを助けたのだ。

「よかったじゃねぇか。これで晴れてお前はレリアールの騎士になれるんだろ?」

そう、ランスロットの主だった王宮は俺が叩き潰しなくなった。そして、王はしっぽを巻いて逃げやがった。よって、今のランスロットには主がいない、フリー状態なのだ。

「だが、私にはアーサーに仕えるわけには……」

「俺には昔のことはわかんないけどさ。きっとレリアールは喜ぶぞ? お前が騎士をしたいと言えば」

レリアールは騎士がいない。それにこいつとレリアールは何らかの絆がある気がする。なら、心配はいらんだろう。

「それに、俺に言えたことじゃないがお前は強い。きっとレリアールのいい武器になる」

ふふ、そうだなとランスロットが笑う。

「ランスロット卿。お体は――」

「ああ、大丈夫だ。……なあ、アーサーよ」

「はい?」

ランスロットは赤くなり体をもじもじさせる。こいつにも女みたいな面があったんだなぁ。

「わ、私を仲間にしてくれないか?」

レリアールはびっくりした顔をした。同時に目に涙を浮かべる。

「はい、はい。こちらこそ。お、お願いします」

これはこれでいいんじゃないか? まあ、俺には関係はないが。

「信五さーん」

振り向くと京子が笑顔で手を振っている。

「お宝がいっぱいありまーすよー♪」

何!? お宝だと!?

俺は京子がいる場所まで走った。

「こ、これ、売ったら一生遊んでいられるわよ?」

「わーい、おっ金ぇ、おっ金ぇ」

エリーは財宝の鑑定に入っている。

京子は金貨を空中に放り上げ何とも言えぬ笑顔を見せている。

「こ、これは……肉食い放題だな」

目の前には金貨のプールだった。これだけあればエリーじゃないが一生遊べるぞ。

「少しくらいもらっていってもいいよな。てか、さっきのおっさん、勝ったら財宝くれるって言ってたもんな!」

俺は金の海に飛び込んだ。硬いが悪い気はしないな、金貨の海ってのも。

「み、皆様、何をしているのですか?」

「「「俺ら(私たち)のだ!!」」」

俺たちは声を揃えレリアールを威嚇していた。

「い、いや、取りませんよ。それより、私の国に帰りみんなでご飯でもどうかと思いまして……いかがですか?」

何? 飯だと?

「肉は出るのか?」

「キャビアは?」

「私焼売食べたい!」

どんだけ貪欲なんだ俺たちは。

「え、ええーっと、頼めば作ってくれるかと……」

「「「是非行かせてもらいます!!」」」

そして、なんという息の合い方なんだ。


「ふう、うまかったぁ」

肉の焼き加減が絶妙だ。あのシェフに焼き方教えてもらおうかなぁ。

「ホントに美味しかったわ。初めて食べたけどそんなにまずいものではなかったわね」

どうやらエリーも満足したみたいだ。

「焼売美味しいぃ」

京子は……ホントに焼売しあ食べなかったな、あいつ。

「満足してもらえて良かったです。この度は私なんかの頼み事を手伝ってもらいありがとうございました。私から何か報酬をあげたいのですが国が貧困により王宮の金目のものを配ってしまったせいで何もなくて……」

「いやいや、いいよ。俺もランスロットと戦えたし美味い飯も食えたしな」

京子、エリーも頷く。それに俺はまだエクスカリバーを奪還したわけじゃないしな。

「ですが……」

それでも引かないレリアール。

そうだなぁ。他に欲しいモノか。お前が欲しいって言ったらダメかな?

「まあ、冗談は置いておいて欲しいものねぇ」

辺りを見回すが欲しいものなんてない。

絵とかあっても汚しちまうだけだし花瓶に生ける花もないし。

「あ、そうだ。シェフにさっきの肉の焼き方を教えてくれ。報酬はそれでいい」

「そ、そんなものでいいのですか?」

レリアールがとても驚いていらっしゃる。

おっと、安い男だと思うなよ? あの肉の焼き方は尋常じゃなくすごいんだ。それを教えてもらえるんだ。これ以上ないことだろう?

「ではすぐにシェフに教えさせますね」

「ああ、よろしく頼む」

レリアールがそそくさと出て行く。

「まったく。アーサーはいらんと言われたらやらなければいいものを」

怒っているように聞こえるが顔は微笑んでいる。

「お前、こっちにいる方が生き生きしてんな」

なっと顔を赤くし、そんなはずがあるか、バカものと目を逸らしてしまった。

ホントお前女っぽくなりやがって。可愛いじゃないか。

そんな無駄話をしていると俺たちがいた部屋が揺れた。

「じ、地震か!?」

いや違う。初期微動にしてはデカすぎる。これは……。

「たぶん、攻撃を受けたんだろうな。しかも爆発をする何かに」

遠まわしに俺は爆弾ということを伝えたのだがどうしたものか。一体どこからのだ?

「み、皆様! ご無事ですか!」

レリアールが血相を変えて戻ってきた。

「ああ、俺たちはな。城の中は大丈夫なのか?」

レリアールは首を横に振った。

「いいえ、兵たちが寝ている部屋を直撃されました。それに食料庫までも」

食料と兵をやられたか。チッ、戦い慣れしているとこからの攻撃ってわけか。

「とりあえず移動するぞ。いずれここも攻撃されかねん」

俺は立ち上がり部屋を出ようとする。

「ちょ、あれなによ」

エリーが窓の近くまで寄り外の様子を伺っていた。

俺もそれを見るために窓に近寄る。そこには大勢の鎧を来た軍隊が何百といた。

「どこの国からだよ。俺たちが来る前にお前はどこに喧嘩売ったんだ、レリアール?」

俺が問うとレリアールは頭を横に振る。

性格上、レリアールは誰かに喧嘩を売るとも思えん。なら一体何なんだあれは。

軍を見ていると見知った顔が見えた。

「あのおっさんか」

そう、そこには昼間俺がぶっ壊した国の王様がいたのだ。

「あははは! 壊せ! 壊せ! 壊してしまえ、こんな城!」

高笑いをしながら命令を下すおっさん。

レリアールは窓を開け放ち外に向かって叫ぶ。

「ドロブラット王! これはどういうことですか!」

あの馬鹿! 何してやがる、死にたいのか!

「おお、レリアール殿、いや、アーサー王と呼んだほうがいいかな?」

俺はレリアールの元まで走る。

「これは君らの国からの攻撃を受けた私の国からの攻撃だよ」

「それは戦争行為ですよ!」

無駄だ。そいつには何を言っても勝てないぞ、レリアール。

「何を言っているんですか。攻撃を先にしたのはあなたたちでしょう? よって、あなたたちの戦争への申し込みを許可したんですよ」

勝手なことを言いやがって。

「うてぇ!」

レリアールに向かって大砲が発射される。

間に合ってくれ!

俺はレリアールの前まで走りその場でローキックの態勢に入った。

「れぁぁぁぁああああ!!」

打ち込まれた大砲の玉を俺は蹴りで返す。

「てめぇらの勝手な思い込みで勝手に攻撃を始めんじゃねぇ!」

敵の軍隊は俺が大砲の玉を打ち返したことに何の驚きもない。たぶん、おっさんが事前に教えていたのだろう。俺が強いという事を。

「し、信五さん」

レリアールは驚きその場で立ち尽くしてしまっている。

「ばかやろう! お前がいなくちゃこの国は崩壊すんだぞ! 堂々と敵の的になるようなことすんなよ!」

俺はレリアールを怒鳴った。その間も敵の攻撃は続いていた。城中火事になりオレンジ色の炎が白かった外壁を黒く染め上げる。

「とりあえずここから出るぞ。このうちここも火事で逃げ場がなくなっちまう」

こくりと頷くレリアール。

「行くぞ! ついてこい!」

俺たちは城からの脱出をし始めた。


城の近くの湖。そこに隠し通路があり、俺たちはそこから逃げていた。

「ああ、私の城がぁ」

レリアールは燃え盛る城に向かって届かない手を伸ばしていた。

「大丈夫だ。あいつらはまだ国民を殺ったわけじゃない」

「え?」

「国ってのは、国民と土地と政治が行える場所があればいい。まだその三つは壊されてねぇ」

だが、城を壊したおっさんたちはきっと町を壊しに行くだろう。

「俺たちは町を守らなくちゃいけねぇ。それはお前もだ、レリアール。自分は不幸になってもいい。ただな、それに誰も付き合わしちゃいけねぇ。国民はお前にとってなんだ?」



俺たちは移動しながらそれぞれの配置について話した。

「どうする? このままだと東が守れないわよ?」

そうだ。俺、ランスロットはひとりでもいいが京子、エリーは二人でないと戦えない。レリアールはそもそも戦うことができない。

「それなら、私が守ってやろうかぁ?」

木の上から声が聞こえた。

この聞き覚えのある声はまさか……。

「今までどこに隠れてたんだよ、サミラ」

そう、レリアールからエクスカリバーを略奪しなおかつ俺との戦いで引き分けたサミラ本人だった。

「それは心外だなぁ。私は隠れてなんかいないぞぉ? 戦ってたんだぁ、あの腐った奴らとぉ」

戦ってた? こいつが?

「それでぇ? どうするんだぁ? 私にやらせるかぁ?」

信じていいのか?

いや、こいつを信じるには日が浅い。信じようがないだろ。

だが――

「お前、必ず町を守ると誓うか?」

「それは誓わねぇ。だがぁ、私が立ったところよりあとには行かせねぇことだけは誓うぜぇ」

そうか。

なら、信じてみるか。コイツのことを。

「頼んだ。お前は東を守ってくれ」

ニッと笑うとサミラは姿を消した。きっと自分の配置場所に向かったんだろう。

「い、いいんですか!? あの人にそんなこと頼んで!」

取り乱している京子。

「ああ、あいつはきっと守り通すだろうさ。あいつもまた俺と同じ人間なんだから。嘘はつかないさ」

そして、俺は歩き出す。逆ギレで国一つ潰そうとしているおっさんに現実の辛さを教えるために。

「さあ、みんな。戦争の時間だ」

各々、配置場所に向かう。その中で俺の言葉が響き渡った。

さあ、始まりました、英雄編のラストパート!


いきなり仲間になり東は私が守ろうと言い出したサミラ。

そして、何百もの軍を相手にたった六人で挑む信五ら。


そして、サミラが守ると言った理由とは……!!


次回もサービスサービス♪

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