第十二話 俺は一難去ってまた一難を実際にやられた
俺は一難去ってまた一難を実際にやられた
「で? こいつはお前の姉なのか?」
「はい! この人は私の姉でエルランド・ミランデです」
ふんっとそっぽを向いてしまったエルランド。
なぜ、さっきまで戦っていたどうしがこうして一緒に歩いているかというと
「ふにゃふにゃぁ」
俺の背中で気持ちよさそうに寝言を言いながらおぶられているのは紅虎サミラ。
こいつは戦いの真っ最中に寝るという大胆な行為をし、なおかつ呼んでも起きなかったので放置はいけないと思い今現在俺の家までおぶって運んでいるのだ。
「別にあなたたちに運んでもらわなくてもこの子は私に呼ばれれば起きるもん」
「そうかいそうかい。なら早く起こしてくれないか?」
エルランドは黙ってしまう。起こせない事を知っているのだ俺たちは。だってさっき一生懸命呼んでたけど起きるどころか反応すらしない始末だ。
かわいそうにこき使われてるんだな、お前。
「ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんがいるってことはこの人も戦いに参加してるんだよね?」
こいつは一体さっきの戦いで何を聞いていたんだ?
「あんたねぇ。さっきの戦いで何を聞いていたのよ。……そうよ、参加してるわ。こないだ三体目の敵を打ち破ったところよ」
どうやらこの姉さんも俺と同じ事を思っていたらしい。
それにしても三体ねぇ俺とは違って頑張ってんなぁ。
「なーんだ。まだ三体? 私たちなんて――」
「俺たちはまだ一体だ」
「え? そんな事ないですよ~ 私たちは――」
「俺たちが倒した化物は一匹だ。サタンだけだろ?」
そう、敵なら何人も倒しただけどそれはただの雑魚。こいつが言っているのは魔王級の化物だろう。
「へぇー、サタンが敗れたって聞いてたけどホントにやられてたなんてね。そうよ。たぶんあなたが考えてる通り、私たちは魔王級をううん、もっと上の階級も合わせて三体倒したわ」
やっぱりな。だろうと思ったよ。聖剣をこいつは匠に使いすぎた。それでこいつがどれくらい聖剣を使っていたのかが大体わかったよ。
「ううぅ、やっぱり組んで一日ではお姉ちゃんに勝てないですぅ」
エルランドはそれを聞いて立ち止まった。
「は? 一日?」
見ると表情が固定されている。どうしたんだ? こいつ。
「う、嘘言わないでいいのよ? ホントはもっと経つんでしょ?」
表情が青ざめていく。何かに驚いているのか?
「だ、だって一日で魔王級を倒すなんて無理だもん」
無理って言ってもなぁ。実際俺やっちゃったしなぁ。
「あんた何者よ。人間?」
ああ、またこのパターンか。よくいるんだよな、俺が敵を倒すと聞く奴が。
「ああ、俺は人間だ。しかも普通のな」
俺は別に圧倒的な力を持った人間じゃないと釘を打つ。
「普通って、どこがよ。私たちだって倒すのに三ヶ月はかかったのに……そっか! あんたたちリンクを使ったのね?」
だから、リンクってなんだよ。それをまず教えてくれ。
「ああ、リンクってなんだ?」
俺が言うとエルランドは固まった。いや、びっくりしすぎて止まったと言ったほうがいいかもしれない。
「リンクを知らないってどういうことよ! あなたたちホントにサタンに勝ったの?」
「ええ、お姉ちゃんが思っているような勝ち方ではありませんが私たちは勝ちましたよ? 信五さんがやってくれました。しかも一日で」
京子は真剣な眼差しでエルランドを見る。暗い夜道を一つの光の矢が射抜いたようにエルランドはその場で口を開けている。
「そ、そう。やっぱりあなたはここで始末しないと後々面倒になるようね。サミラ、寝てないでこいつを始末するわよ」
はいよと俺の背中から待ってましたと言わんばかりにサミラが飛ぶ。
「へへぇ、びっくりしたかい、おにーさん? 私の睡眠時間は三分で大体のことはつく従っておにーさんが話していた時間は私を復活させるものだったのさぁ」
まあ、そんな気がどこでしてたんだけどな。
「サミラ、こいつらはリンクの仕方を知らない。やるなら今よ」
こくりと頷くサミラ。同時に聖剣を抜く。
「なあ、やめないか? どうせ勝負はすぐにつくぞ?」
「はん! そうだな。勝負は私の勝ちだぁ。だけど、それは聞けないってやつだぜぇ?」
そう言ってサミラは剣を空高くまで上げる。
「今度は一撃で仕留めてやんよぉ。輝け! エクスカリバー!」
黄金の輝きを放ちエクスカリバーは力を増大させていく。
サミラはエクスカリバーの柄を両手で持ち構えに入る。
「はあ、なんでそれを出すかなぁ」
サミラは俺が言うとニヤリと笑いジャンプする。
俺はそれを見届けながら。刀身だけを見つめていた。
サミラが持ったエクスカリバーは夜道に輪郭線を描きながら俺に向かって落ちてくる。
「な、なに!?」
エクスカリバーは俺には当たらなかった。別に避けたわけじゃない。相手が外したわけでもない。俺が受け止めたのだ。
「いいか? 一度その技の断面だけでも見れれば俺は躱さなくても受け止められる。それにお前は一直線過ぎて技の軌道が読めるんだよ」
まあ、俺自身躱そうと思っていなかったのでできた技なのだが。
「は、はは。これは勝てないよぉ。こんなに強いのが世界にはいるのかぁ」
そう言って最高の一撃を止められたサミラは苦笑いしていた。
「さあ、これで勝負は――」
パリーンっとガラスが割れたような音がしたかと思うと背後に次元の裂け目みたいな物が現れる。
「おいおい。ちょっと待てよ! 俺を寝かせてくれないか!?」
次元の裂け目は引力を持ち俺たち全員を吸い込んだ。
「俺はいつになったら寝れるんだぁぁぁぁああああ!!」
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