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第十話 俺はどうやら最強らしい

俺はどうやら最強らしい


サタンとの一戦のあと俺たちは少し離れたこところである重大な事実を知る。

「なあ、ここからどうやって出るんだ?」

こことはこの魔法使いの世界だ。

「……」

京子は何やら触れてはいけないところに触れたなと言いたそうな顔で頭からだらだらと汗を流している。

「まさか、帰り方知らないのか?」

京子の汗の噴出量が最高潮に達したとき俺はああ、ここから出られないのかということを察した。

「京子」

「は、はい」

「あとで、こめかみグリグリ百時間な」

俺たちがいる場所一帯でガーンと言う効果音が響き渡った気がした。もちろん発生源は京子だ。

「はあ、じゃあ、どうやって出るかを考えなきゃいけないってことか」

まったく、神様ってなんでこう使えないんだ? もしかしてこいつだけなのか?

「私が帰してあげようか?」

背後で銀髪の少女、エリーが言う。

「お前にできるのか?」

俺は疑い深い目で聞く。

「な、何よ! できるわよ! ええ、できますとも! これでも魔力だけは最上級なんだからね!」

それはそれで可愛そうな気がしないでもないんだが。

言って自分の言葉の意味がわかったのかエリーは顔を真っ赤にして「うっ……あぅ、ち、違っ……」と口ごもってしまった。

「まあ、何はともあれさっさとやってくれ、俺は早く寝たい」

そろそろ二十四時間活動してないか? よくよく考えてみたら俺、一日で三回も戦闘してませんか?

「もう、わかったわよ」

エリーが手をかざすと次元に亀裂が入る。あの時と同じだ。

「京子みたいに空から落ちるなんてことないよな?」

京子は体をビクンと震わせると縮こまった。

「は? 誰よ、そんな馬鹿げた転送したのは」

ビクビクと京子の反応が大きくなる。

「……さ、さあ、行きましょうか」

察したのか、エリーは話を元に戻した。

「空から落ちないんだな?」

エリーは大きく首を縦に振ると大丈夫と自信ありげな顔で答える。

「じゃあ、行くか」

俺が言うと京子は無言で頷く。

俺たちは二度目の空間移動に試みた。


入るとそこは見慣れた家具、壁、そして食いかけの肉。

「おお、ここは俺んちじゃないか!」

俺は歓喜で舞い上がった。大丈夫だ肉は冷めてない、食える!

俺は肉に手を伸ばしかじりつく。

「うんうん。やっぱ、この味だよ。これだから肉はやめられないぜ!」

うまい。やっぱり俺は天才だ! この肉の焼き加減最高!

「あれ? エリーさん、なんでまだそっちにいるんですか?」

京子が不思議そうに今来た亀裂の方を向く。俺もつられてそっちを向いてしまう。

亀裂の先にはエリーがもじもじと何かに迷ってこっちに踏み出せないでいた。

「え?、で、でも……」

吹っ切れない様子でエリーは亀裂のさきで立っている。

「もしかして、前は俺たちの敵だったからこっちに来づらいのか?」

エリーは顔を曇らせた。図星か。

「そんなこと気にしなくて大丈夫だぞ? だって、俺たちは仲間じゃないか」

俺は亀裂まで近寄り亀裂のさきにいるエリーに手を差し伸べる。

「来いよ。俺たちと一緒に戦わないか?」

俺は微笑みながら言った。

「いいの? 私なんかで」

「ああ、少なくとも京子よりは使えそうだからな」

後ろで京子が「なんでそれは!」と文句を言っているが気にせず手を差し伸べ続ける。

「……」

まだ不満なのか? 仕方ないな。

「俺にはお前の力が必要だ。その長ったらしい呪文を言いながら攻撃できる力が」

聞くとエリーはふふっと笑って俺の手を取る。

「それじゃあフォローになってないわよ。まったく、あなたっていつもそうなの?」

ん? 何か変なこと言ったか? 俺は当たり前のことを言った気がするんだが。

「面白いからもうちょっとだけ一緒にいてあげるわよ」

そう言ってこっちに来たエリー。やっと来たか、手間をかけさせるなよな。

「あ、そうだ。京子、お前記憶の方はどうなった?」

俺が戦っている目的は俺のライバルを探すことだが同時に京子の記憶を取り戻すことでもあったことに気づいた俺は京子に訪ねた。

「ふっふっふ。聞いて驚かないでくださいね? なんと、なんと――」

「忘れたのか?」

「違いますよ! ちゃんと持ってきました!」

なんだ。持ってきたのか。

「で? 何を思い出したんだ?」

攻撃等の記憶なら願ったりだな。こっちの戦力になるかもしれん。

「なんとなんと、今回戻ってきた記憶は私が生まれた場所でした!」

俺は京子のこめかみに握りこぶしをぐりぐりを押し付けた。

「イタ! イタイタイタ! や、やめてください~ あ、頭が割るぅぅぅぅ!!」

足をバタバタさせなんとか俺のホールドから脱しようとするが俺の完璧なホールドの中では成すすべもなかった。

「な、何するんですかぁ。こんな可愛い女の子に触りたいのはわかりますけど――」

京子は言い切る前につむじを抑えながら言葉にならない叫びを上げていた。もちろん俺がげんこつをしてやったのだ。

「な、何するんですか~」

「もう一発いっとく?」

俺が微笑みながら聞くと「ヒィィィィ! お、鬼ですか、信五さんは!」と言って後退していった。

「ったく、変なこと言ってんじゃねぇよ」

あーあ、眠いな。そういやぁ、昨日から寝てねぇじゃん。

「俺はもう寝るぞ。おやすみ」

俺が寝ようとしたとき。近くで大きな爆発があった。

「な、なんですか!?」

それは俺のセリフだよ! なんだよさっきの!

「なんで俺が寝ようとすると事件が起こるんだ?」

「それはきっと信五さんが疫病――」

俺は再びこめかみに拳を押し付け京子を黙らせた。

「それはさておき、ホントに信五に用事があるみたいよ?」

エリーが眉を上げながら言う。俺は何を言っているのかわかるのは数秒後だった。

呼んでる。俺を呼んでるのか?

『最強の男ぉぉぉぉ!! どこだぁぁぁぁ!!』

遠からず近からずの場所から女の子の声が聞こえてきた。

「ね? あんたのことでしょ? 最強の男って」

なんで俺は面倒なことに巻き込まれる数秒前みたいな立ち位置にいるんだ?

「まあ、いいや。女に呼ばれて出て行かないのは男としては頂けないな」

俺は言って外に飛び出した。

俺を呼ぶ声は案外近くにいた。

「って、超可愛いじゃん!」

俺の目に映ったのは可愛い女の子だった。強調するところはちゃんとして控えめなところはとことん控えめ、髪は赤く短い。

顔立ちだってとても綺麗だ。

「お前が最強の男か?」

少女が俺に訪ねてくる。

「ああ、少なくとも俺はそう思ってる」

「あはは、これはまたみんな同じことをよく言うもんだねぇ」

みんな? 同じこと?

「私はねぇ? いろいろなところを回って強い奴を探してきた。けど、私に負けたやつはみんなそう言ったよ『少なくとも俺はそう思ってる』ってねぇ」

へぇー、こいつも戦闘派か。まあ、いいんだけど。

「で? 何か用か? 愛の告白ならカモンだぜ?」

俺が冗談で言うと少女は冗談じゃないと言った顔で言う。

「私に勝てないやつなんて眼中にないねぇ」

「なら安心しろ。俺はお前より強いからな」

俺がニッと笑うと少女は背中からバットを取り出した。

「おいおい、武器を使わなきゃ勝てないのか?」

それが言うと少女はバットを思いっきり横に振った。

振り切られたバットは形が変化していた。剣だ。両刃の剣に変化していた。

「マジで武器かよ」

しかもそれは山●のバットじゃないか。

「安心していいぞぉ? お前はここで消えるからぁ」

消えるって、剣で俺を消せると思ってるのか?

少女は剣をもっている腕を横になぎ払った。すると、かまいたちのように風の斬撃が俺がいたところを襲う。

俺は寸前でジャンプして避けていた。

「へぇー、あんた強いねぇ」

「そ、そりゃどうも」

「まあ、私が倒した五千人中百人まではこの一撃を躱せなかったよぉ」

てことは俺は現在四千九百位くらいかな?

「まあ、あとのやつは二撃目で死んだけどぉ」

それは頂けないな。こいつは一体何人殺してきたんだ?

「お前、一体何もんだ?」

俺が問うと少女は待ってましたと言わんばかりにニヤけた。

「私はサミラ、紅虎サミラ。最強の女だぁ――付け加えるなら私が持っているのは約束された勝利の剣エクスカリバーだぁ」

ヤクザ、神獣、悪魔(魔法使い)、そして、エクスカリバーを持った最強の女もうラスボス近くね?


そう思った人、ちょっと待ってくださいよ。

まだだ! まだ信五ならやれる! 立て! 立ってくれ、信五ぉぉぉぉ!!


ということでまたも強い奴を作ってしまった……。

信五はどうやってこの危機を打破するのか。そして、この話はコメディではなかったか。いろいろと謎は深まるばかりですがこの作品をよろしくお願い致します。


誤字脱字がありましたら連絡お願い致します

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