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どしたん?話聞こうか?あ~それは彼氏クンが悪いよ~。じゃ、淹れるね……

作者: 青猫
掲載日:2025/10/07



世の中、訳の分からないことというのは数多く存在する物だが、これほどの状況は稀に見るであろう、と

ナンパ男に紅茶を淹れてもらいつつ、しずかは考えていた。



事の発端は数十分前に遡る。

今日が彼氏とのデートということもあり、気合を入れてオシャレをしてきたしずか。

勝負下着に渾身のメイク。

さぁ準備はばっちりとこれからの期待に胸を膨らませながら待ち合わせ場所に来たのが30分前。

しかし、待てど暮らせど彼氏は来ず。

待ち合わせから一時間が過ぎ、寝坊したのか事故にでも遭ってしまったのか不安となった矢先に来たのが

「今日、来れなくなった、ごめん」というメールだった。

その後もつらつらと丁寧に謝罪の言葉と今度埋め合わせを取ると言ったメールを長文で送ってきた彼氏。



しかし彼女の気は晴れない。

理由を聞こうと思っても、彼氏からの既読はつかなくなってしまった。

今日は楽しいデートになる予定だったのに、せっかくの装備も台無し。

思わず涙を浮かべそうになったところ、声を掛けられたのがナンパ男であった。



どうしようもなく落ち込んでいる時に声をかけられたらそれはなびいてしまうというもの。

ついフラフラとついていった先は、何やらきれいな部屋だった。

そして今に至る、という訳である。



辺りをきょろきょろと見回しつつ、しずかは紅茶に手を付ける。

ビルの一室を借りているのだろうが、きれいに整えられている。部屋主のこだわりを感じる内装であった。

また。紅茶に関しては素人ではないしずかではあったが、これが非常に美味しい。

温度も水も、淹れ方もこだわりぬいた味であることが感じ取れる。



「お、おいしいですね、これ」

「ま、君の為に丁寧に淹れたんでね。でどしたの?あんなところに一人で」

「……」

「見たところ、デートの約束をすっぽかされたって感じだけど、合ってる?」

「……はい」



しずかは小さくうなづいた。一度、口を開いたら、もうそこからはとめどなく自分の思いが溢れてきた。

きっと温かい紅茶に溶かされたというのもあるのだろう。

しずかは先ほどまでの経緯を男性に説明した。

男性はそれを静かに聞いていた。

話し終わると、男性は一言「それは彼氏クンが悪いね~」と言った。

そこからは彼氏に対する愚痴も増えていった。

男性はそれを聞きつつ、彼氏の特徴についても質問をしていた。



「へぇー、君たち、あそこの大学に通ってるの?俺も俺も!」

「彼氏クンとは、高校から知り合いなんだ。それはそれは……」



これまでの彼氏との色々な思い出を吐き出していると、涙があふれてきた。

待ち合わせに遅れてのドタキャンに、未読スルー。



「もう、私のこと、好きじゃないのかな……」

「……」



男性は「ま、落ち着くまでゆっくりしなよ」と、どこか空気を読むように紅茶を注ぎ入れると、部屋を出て行ってしまった。

男性の優しさに感謝しつつ、温かな紅茶をいただくしずか。

涙も落ち着き、どこか思いにふけっていると、男性が戻ってきた。

男性は、「ほら!」と言うと、しずかにスマホを投げ渡してきた。

どうやら、通話中になっているらしい。

おそるおそるスマホを耳に当てると、「ごめん!!」という聞きなれた声が聞こえてきた。



「え!?たくみ?」

「ごめん、しずか。俺、焦ってて、なんて、言い訳になるわけないよな……」

「どうしてこの人のスマホの電話に?」

「突然かかってきて、怒られたよ。彼女を悲しませるんじゃねえぞって」



そこから、たくみの弁明、というか事情の説明があった。

どうやら待ち合わせ1時間前に母親が交通事故に遭ったらしく、病院に運ばれたらしい。

意識不明の重体らしく、たくみは慌てて帰っていたそう。

で、デートの約束をすっぽかしていたことに気づいたのが約束の時間を一時間過ぎたあたりだったらしく、急いでしずかに連絡し、そしてその後気が気でなく、通知に気づいていなかったらしい。

それを聞いたしずかはへなへなと力が抜けた。



「それならそうと、早く言ってよ……それはもう仕方がないやつじゃん?」

「ごめん、俺、本当に焦ってて……でも、『親が危ないから』って言い訳にして今日のこと、正当化するのは違うと思って……」

「でも!言ってくれなきゃわかんないじゃん!」

「それは、ごめん……」



しずかとたくみはしばらく電話越しに話したのち、しずかはスマホを男性に返した。

男性はスマホを耳に当てると、そっとささやいた。



「……次はないと思った方がいいよ?」

「……ありがとうございます」



男性は電話を切った。



「ありがとうございます。おかげで仲直りができました……」

「いや、気にしないで。俺がやりたくてやっただけだし」

「お礼は……」

「ほんとに気にしないで。……まぁ、今度お茶菓子でも頂戴。今度はたくみ君と一緒にさ」

「……はい!」



そう言いつつ、しずかはこの美味しい紅茶に合う茶菓子について、考えていた。


(部長なら、もしかして……?)





一応、続く予定です。

「このチャラ男、何者?」とか

「部長って何?」とか

気になるところはあると思いますが、楽しんでもらえたら幸いです!



ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

面白ければ、☆で評価していただけると今後の励みになります!


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