対価の国
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対価の国
所在地 :N2190IG
統制者 :ハンバーグの神 ハン・ヴァーグ
神力 :願望実現
対価に応じ、一時的に国の理を自在に操ることができる。
推定危険度:A (要観察必須)
報告回数 :0回
近況 :—
神力影響度:—
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俺達は、ついに最後の国の調査にやってきた。
「うーん、ふつーの住宅街って感じ〜」
「普通に人がいて、普通に歩いてて、何も変な建物とかは見当たらないな」
レアンと二人で、あたりをきょろきょろと見回す。
すると、何度も見ていたはずの街並みの中に、いきなりぽつんと赤色の鳥居と長い階段が現れていた。
「…………!おい、レアン!あんなのさっきまであったか!?」
咄嗟にレアンの顔を両手で挟み、鳥居の方向に顔を向けさせる。
「むにゅ…………?むゅ………………!にゅにあれー!」
両手で押さえていたせいで、変な声で叫びだし、鳥居を指さした。
「あれ、お決まりのご都合展開じゃないか?作者の負担を減らすってあの!」
「むん……長い小説はさくさく進むほど快適だし〜」
俺とレアンは、鳥居の前に立ち、階段の先を見つめる。
果てしなく長そうな階段だけど……登るしか、ない……よね!
「よし!じゃあレアン、どっちが先に一番上まで登れるか勝負だ!」
「男の子って勝負するの好きだよね〜……でも、売られたケンカは買わないと!」
「よし、じゃあ行くぞ!よーい、」
「「ドン!!」」
二人で鳥居の階段を駆け上がる。レアンは女の子だから、勝てるに決まってるだろ!
「ふふん、ラーン!舐めてもらっちゃこまるよ?」
ずいぶん突き放して走っていたと思っていたのに、いつの間にかレアンがすぐ横に並んでいる。
「なっ…………!」
たが、レアンが思ったよりもちょっと速かっただけだ。
このまま気にせず突っ走れば、難なく勝てるはず!!
トッ、と、最後の段を足で蹴る。
「はあっ……はあ……」
すぐ横には、レアンがいる。これじゃあ、結局どっちが勝ったのかわかりやしない。
「はぁ……はぁ……ラーン、どっちが先だった……?」
「はあ……わかんねー……でも、俺がちょっとだけ先だった気がするけど?」
「む……言ったもん勝ちじゃん〜……」
息を切らしながら、階段の一番上でレアンと軽く言い合いをする。
すると、知らない声がいきなり、神聖な空気に乗って響いてきた。
「うーん……ちょっとの差で、やっぱりラーンくんの勝ち……だったかな?」
「ほら聞いたかレアン!?俺の勝ちだったぞ!」
意気揚々と、レアンに口走ったが……あれ、さっき話しかけてきたのは……
「えっ……?ラーン、誰から聞いたの?」
息切れをして下を向いていた顔を上げると、ボサボサっとした茶色の髪で、巫女服の男版?なんか赤色のがないやつを着ていて、方手にはほうきを持った知らない男の子がいた。
俺達と同い年……いや、年下くらいの男の子だった。
「よっ、お疲れ様、わざわざ来てくれてありがとうね」
男の子はにこやかな表情を浮かべ、俺達を歓迎しているみたいだった。
「君……私達より幼そうなのに、ここのお仕事してるの?」
「ああ、うん。今は少し枯葉を掃いてたところだよ」
「すごーい!私達なんて全然お仕事してないのに〜」
「おい!ちょっとレアン!今が仕事中だろ!!」
注意すると、レアンは驚いて先ほどの言葉を訂正した。……にしても、仕事にもう少し集中してほしいけど……
「あ、そうだった〜!お仕事、お仕事……ハンバーグの神様探さないと〜」
レアンがそう言うと、ほうきを持っている少年が、ここぞとばかりに話しかけてきた。
「ハンバーグの神様……?ボク、ちょっと知ってるかも!」
「……!!ゆーえき情報入手〜!なんでもいいから教えて〜」
ほうきの少年は、いきなり饒舌に、かつ誇らしげに、長々とハンバーグの神様について話し出した。
「ええ、知ってます。知ってますとも。なんせここは、ハンバーグの神、ハン・ヴァーグ様を祀っている社なんですから。え?もっと詳しく聞きたい?しょうがないな〜……ハン・ヴァーグ様は、とても聡明で、気が利いて、おまけにイケメンで品行方正!賽銭を入れれば、ハンバーグ関係ならどんなことでも叶えてくれるって、有名な噂がありますよ〜」
ここまで饒舌だと、俺とレアンでも流石に分かる。
「で、その自称イケメン神様ハン・ヴァーグが、君ってことだな?」
「そうそう!何を隠そうこの僕が巷で有名なハン・ヴァー____」
いつの間にか乗せられていることに気づいたらしい。
ァーの文字を伸ばしながら、ゆっくりと目を広げ、こちらをまじまじと見つめてくる。
「はぁ?何だよ、冷やかしか?帰れ帰れ!賽銭しないやつには興味ないの!ちなみに、最近P◯yPayもクレジットカードも始めたからキャッシュレスも歓迎だよ!」
ペイ……?よくわからないことを言ってきたから、もうさっさとレアンとネタばらしだ。
「はいはーい、私達は管理の神でね〜今日はいろいろ調査しに、ハン・ヴァーグさんに会いに来たんだよ〜」
「ああ、あの……全然仕事しないで有名な……あなたたちがそうだったんですか?」
「「グサッ……」」
この子でさえ、暇なときは掃き掃除しているのに、頭が上がらないなあ……
「し、仕事してないのはそうなんだけど……と、とにかく!今日はさっさと調査して、さっさと帰るので!協力してくれ!」
「はーいはい、いいですよ……ってちょっと待って」
ヴァーグくんは話ながら一瞬ビクッとして、階段の方向に向けて目を凝らしている。
「ちょっ!ちょっと!急に懐かしい来客が来たみたいだから!その辺の木陰で隠れて待ってて!」
確かに、階段の方から足音が聞こえてくる。真っ先にこの国の神が見つかった以上、面倒事になるといけないし、もう他の人に関わる必要はない。花瀬さんとか絡まれて大変だったし……
レアンと二人で草陰に隠れ、新しくこの社にやってきた来客とやらを観察してみる。
「……うわーまた来るやつなんて初めてだよ。久しぶり!」
ヴァーグさんが何か話し始めた。
「ん〜ラーン……頭で見えない…………どけ〜!」
「おい!あんまり押すなよ!バレちゃうだろ!」
階段を上がってきた人は、黒Tシャツ黒長ズボンでリュックを背負った普通の男の人……普通だ。めっちゃ普通。
「まだ願い足りないかい?」
「いやぁ別にもう十分だ。……あ、じゃあ1つだけ」
ヴァーグさんと男の人が何やら話してるみたいだ。
「なになに〜?お願いごと〜?」
「ああ、あの男の人、何願うんだろうな!」
男の人は、ポケットから何かお金みたいな、金色の丸い小さな円を取り出した。
ヴァーグくんに渡した後、両手を合わせて何かをお願いしているようだった。
男の人は願い事を終えると、ヴァーグくんに笑顔を向けて、すたすたと階段を降りて行った。
「……さて、もういいよ。管理の神さん?」
「ぷは〜っ意外と隠れるの楽しかった〜」
「鬼ごっこに隠れんぼ……ここに来てからなんだかずっと遊んでるな……」
「ねえねえ〜さっきの男の人、何をお願いしてたの〜?」
ちょ、レアン、あんまりそういうのって聞いちゃいけないんじゃないか……?知らないけど。
「ん〜お願いの内容……ね…………ロマン、かな」
「…………?なんだかソロノさんみたいなこと言ってる〜」
「よくわかんないけど……みんな嬉しいことじゃないか?」
そのまま、三人で少しばかり男の人の話を聞いた。
○ ○ ○
「でさ、そいつがP◯yPayって使えます?って聞いてきたの!」
「だから今は使えるようにしたの〜?優しいね〜」
「ははは………って、そうだレアン!仕事忘れてるぞ!」
「む……?ん………………!そうだった!」
いつの間にか座り込むほど話していたけれど、みんな立ち上がって、俺とレアンはヴァーグくんの前に手を翳す。
「じゃあーお仕事のほう、ササッとやっちゃうよ〜……んーと、近況はね〜さっきの男の人もそうだし、全然平和〜って感じだよ〜」
「よし……じゃあ神力許容量は……うん、まったく問題なし!賽銭が意外と潤ってるおかげで、神力がオーバーする危険もまったくないし……今まで会った中で一番優秀な神だったな!」
俺とレアンは、さっそく報告書をまとめた。
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対価の国
所在地 :N2190IG
統制者 :ハンバーグの神 ハン・ヴァーグ
神力 :願望実現
対価に応じ、一時的に国の理を自在に操ることができる。←対価、ちょっとぼってる可能性もあるかもね……
正規危険度:D (通年報告更新)←問題なし!来ていた人とも関係良好っぽい!
報告回数 :1回←せっかく仲良くなったから、また話しに行きたい!
近況 :国はいたって安定。住んでいる社をいろんな所に転々してるっぽいけど、土地の乱れとかはなし!
神力影響度:対価の影響もあって、全然神力オーバーの危険はなし!ただ、やっぱりちょっとぼってる気がするのは俺だけ……?
備考:年が近くて話しててめちゃくちゃ楽しかった!またお話聞きたい!
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さっきまであれだけ話してたのに、もうお別れの時間になってしまった。
「じゃーね〜ヴァーグくん、またお話しようね〜」
「ばいばい!また絶対遊びに行く!」
手を振った先のヴァーグくんは、嬉しそうで、ニヤニヤした声色で話しかけてくれた。
「それじゃ……またね!…………今日の夜ご飯をお楽しみに!」
いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、
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