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対価の国

ぜひ、最後まで読んでいってください! ↓↓↓


■■■■■


対価の国


所在地  :N2190IG


統制者  :ハンバーグの神 ハン・ヴァーグ


神力   :願望実現

      対価に応じ、一時的に国の理を自在に操ることができる。


推定危険度:A (要観察必須)


報告回数 :0回


近況   :—


神力影響度:—


■■■■■


俺達は、ついに最後の国の調査にやってきた。


「うーん、ふつーの住宅街って感じ〜」


「普通に人がいて、普通に歩いてて、何も変な建物とかは見当たらないな」


レアンと二人で、あたりをきょろきょろと見回す。

すると、何度も見ていたはずの街並みの中に、いきなりぽつんと赤色の鳥居と長い階段が現れていた。


「…………!おい、レアン!あんなのさっきまであったか!?」


咄嗟にレアンの顔を両手で挟み、鳥居の方向に顔を向けさせる。


「むにゅ…………?むゅ………………!にゅにあれー!」


両手で押さえていたせいで、変な声で叫びだし、鳥居を指さした。


「あれ、お決まりのご都合展開じゃないか?作者の負担を減らすってあの!」


「むん……長い小説はさくさく進むほど快適だし〜」


俺とレアンは、鳥居の前に立ち、階段の先を見つめる。

果てしなく長そうな階段だけど……登るしか、ない……よね!


「よし!じゃあレアン、どっちが先に一番上まで登れるか勝負だ!」


「男の子って勝負するの好きだよね〜……でも、売られたケンカは買わないと!」


「よし、じゃあ行くぞ!よーい、」


「「ドン!!」」


二人で鳥居の階段を駆け上がる。レアンは女の子だから、勝てるに決まってるだろ!


「ふふん、ラーン!舐めてもらっちゃこまるよ?」


ずいぶん突き放して走っていたと思っていたのに、いつの間にかレアンがすぐ横に並んでいる。


「なっ…………!」


たが、レアンが思ったよりもちょっと速かっただけだ。

このまま気にせず突っ走れば、難なく勝てるはず!!


トッ、と、最後の段を足で蹴る。


「はあっ……はあ……」


すぐ横には、レアンがいる。これじゃあ、結局どっちが勝ったのかわかりやしない。


「はぁ……はぁ……ラーン、どっちが先だった……?」


「はあ……わかんねー……でも、俺がちょっとだけ先だった気がするけど?」


「む……言ったもん勝ちじゃん〜……」


息を切らしながら、階段の一番上でレアンと軽く言い合いをする。

すると、知らない声がいきなり、神聖な空気に乗って響いてきた。


「うーん……ちょっとの差で、やっぱりラーンくんの勝ち……だったかな?」


「ほら聞いたかレアン!?俺の勝ちだったぞ!」


意気揚々と、レアンに口走ったが……あれ、さっき話しかけてきたのは……


「えっ……?ラーン、誰から聞いたの?」


息切れをして下を向いていた顔を上げると、ボサボサっとした茶色の髪で、巫女服の男版?なんか赤色のがないやつを着ていて、方手にはほうきを持った知らない男の子がいた。

俺達と同い年……いや、年下くらいの男の子だった。


「よっ、お疲れ様、わざわざ来てくれてありがとうね」


男の子はにこやかな表情を浮かべ、俺達を歓迎しているみたいだった。


「君……私達より幼そうなのに、ここのお仕事してるの?」


「ああ、うん。今は少し枯葉を掃いてたところだよ」


「すごーい!私達なんて全然お仕事してないのに〜」


「おい!ちょっとレアン!今が仕事中だろ!!」


注意すると、レアンは驚いて先ほどの言葉を訂正した。……にしても、仕事にもう少し集中してほしいけど……


「あ、そうだった〜!お仕事、お仕事……ハンバーグの神様探さないと〜」


レアンがそう言うと、ほうきを持っている少年が、ここぞとばかりに話しかけてきた。


「ハンバーグの神様……?ボク、ちょっと知ってるかも!」


「……!!ゆーえき情報入手〜!なんでもいいから教えて〜」


ほうきの少年は、いきなり饒舌に、かつ誇らしげに、長々とハンバーグの神様について話し出した。


「ええ、知ってます。知ってますとも。なんせここは、ハンバーグの神、ハン・ヴァーグ様を祀っている社なんですから。え?もっと詳しく聞きたい?しょうがないな〜……ハン・ヴァーグ様は、とても聡明で、気が利いて、おまけにイケメンで品行方正!賽銭を入れれば、ハンバーグ関係ならどんなことでも叶えてくれるって、有名な噂がありますよ〜」


ここまで饒舌だと、俺とレアンでも流石に分かる。


「で、その自称イケメン神様ハン・ヴァーグが、君ってことだな?」


「そうそう!何を隠そうこの僕が巷で有名なハン・ヴァー____」


いつの間にか乗せられていることに気づいたらしい。

ァーの文字を伸ばしながら、ゆっくりと目を広げ、こちらをまじまじと見つめてくる。


「はぁ?何だよ、冷やかしか?帰れ帰れ!賽銭しないやつには興味ないの!ちなみに、最近P◯yPayもクレジットカードも始めたからキャッシュレスも歓迎だよ!」


ペイ……?よくわからないことを言ってきたから、もうさっさとレアンとネタばらしだ。


「はいはーい、私達は管理の神でね〜今日はいろいろ調査しに、ハン・ヴァーグさんに会いに来たんだよ〜」


「ああ、あの……全然仕事しないで有名な……あなたたちがそうだったんですか?」


「「グサッ……」」


この子でさえ、暇なときは掃き掃除しているのに、頭が上がらないなあ……


「し、仕事してないのはそうなんだけど……と、とにかく!今日はさっさと調査して、さっさと帰るので!協力してくれ!」


「はーいはい、いいですよ……ってちょっと待って」


ヴァーグくんは話ながら一瞬ビクッとして、階段の方向に向けて目を凝らしている。


「ちょっ!ちょっと!急に懐かしい来客が来たみたいだから!その辺の木陰で隠れて待ってて!」


確かに、階段の方から足音が聞こえてくる。真っ先にこの国の神が見つかった以上、面倒事になるといけないし、もう他の人に関わる必要はない。花瀬さんとか絡まれて大変だったし……

レアンと二人で草陰に隠れ、新しくこの社にやってきた来客とやらを観察してみる。


「……うわーまた来るやつなんて初めてだよ。久しぶり!」


ヴァーグさんが何か話し始めた。


「ん〜ラーン……頭で見えない…………どけ〜!」


「おい!あんまり押すなよ!バレちゃうだろ!」


階段を上がってきた人は、黒Tシャツ黒長ズボンでリュックを背負った普通の男の人……普通だ。めっちゃ普通。


「まだ願い足りないかい?」


「いやぁ別にもう十分だ。……あ、じゃあ1つだけ」


ヴァーグさんと男の人が何やら話してるみたいだ。


「なになに〜?お願いごと〜?」


「ああ、あの男の人、何願うんだろうな!」


男の人は、ポケットから何かお金みたいな、金色の丸い小さな円を取り出した。

ヴァーグくんに渡した後、両手を合わせて何かをお願いしているようだった。

男の人は願い事を終えると、ヴァーグくんに笑顔を向けて、すたすたと階段を降りて行った。


「……さて、もういいよ。管理の神さん?」


「ぷは〜っ意外と隠れるの楽しかった〜」


「鬼ごっこに隠れんぼ……ここに来てからなんだかずっと遊んでるな……」


「ねえねえ〜さっきの男の人、何をお願いしてたの〜?」


ちょ、レアン、あんまりそういうのって聞いちゃいけないんじゃないか……?知らないけど。


「ん〜お願いの内容……ね…………ロマン、かな」


「…………?なんだかソロノさんみたいなこと言ってる〜」


「よくわかんないけど……みんな嬉しいことじゃないか?」


そのまま、三人で少しばかり男の人の話を聞いた。


 ○ ○ ○


「でさ、そいつがP◯yPayって使えます?って聞いてきたの!」


「だから今は使えるようにしたの〜?優しいね〜」


「ははは………って、そうだレアン!仕事忘れてるぞ!」


「む……?ん………………!そうだった!」


いつの間にか座り込むほど話していたけれど、みんな立ち上がって、俺とレアンはヴァーグくんの前に手を翳す。


「じゃあーお仕事のほう、ササッとやっちゃうよ〜……んーと、近況はね〜さっきの男の人もそうだし、全然平和〜って感じだよ〜」


「よし……じゃあ神力許容量は……うん、まったく問題なし!賽銭が意外と潤ってるおかげで、神力がオーバーする危険もまったくないし……今まで会った中で一番優秀な神だったな!」


俺とレアンは、さっそく報告書をまとめた。


■■■■■


対価の国


所在地  :N2190IG


統制者  :ハンバーグの神 ハン・ヴァーグ


神力   :願望実現

      対価に応じ、一時的に国の理を自在に操ることができる。←対価、ちょっとぼってる可能性もあるかもね……


正規危険度:D (通年報告更新)←問題なし!来ていた人とも関係良好っぽい!


報告回数 :1回←せっかく仲良くなったから、また話しに行きたい!


近況   :国はいたって安定。住んでいる社をいろんな所に転々してるっぽいけど、土地の乱れとかはなし!


神力影響度:対価の影響もあって、全然神力オーバーの危険はなし!ただ、やっぱりちょっとぼってる気がするのは俺だけ……?


備考:年が近くて話しててめちゃくちゃ楽しかった!またお話聞きたい!


■■■■■


さっきまであれだけ話してたのに、もうお別れの時間になってしまった。


「じゃーね〜ヴァーグくん、またお話しようね〜」


「ばいばい!また絶対遊びに行く!」


手を振った先のヴァーグくんは、嬉しそうで、ニヤニヤした声色で話しかけてくれた。


「それじゃ……またね!…………今日の夜ご飯をお楽しみに!」

いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、

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