理想の国
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理想の国
所在地 :N3690KB
統制者 :仮想の神 月峯
神力 :不明
要調査必須
推定危険度:N (未制定)
報告回数 :0回
近況 :—
神力影響度:—
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「ここの国の神は〜月峯さん?神力不明……こわ〜」
「今度は変な神じゃないといーけどな…………」
今回俺達がやって来たのは理想の国。
今は薄暗い夜で、近くには明るい家?店?みたいなのが一件あるだけ。
「じゃあここの神を探しに、まずはあそこの家に行ってみるか!」
「賛成〜」
家を近くで見てみると、黒っぽい木でできたウッドハウスみたいだ。
看板が立てられていて、可惜夜の酒場と書いてある。
「酒場か……俺達でも入っていいのかな」
「これでも神様だし大丈夫大丈夫〜……たぶん」
まあ、悩んでも仕方ないか。
OPENの看板が提げられているドアを開く。
「お、いらっしゃい。初めてのお客さんかな?」
狭めの店内で、バーカウンターに立って出迎えていたのは、褐色肌で細マッチョ、短く整えられた銀髪の男。意外と若そうだ。
「カウンターしかないから、好きなところに座ってくれ」
言われたとおりに、バーカウンターの真ん中のほうに、レアンと隣に並んで座る。
「じぃーーーっ」
「どうしたお嬢ちゃん?後ろの酒が見たいのか?」
隣を見たら、レアンが細マッチョのことを凝視している、いやいや怪しいって。
「ううん、私達人を探しててね〜月峯っていう神様なの…………あっ」
「ちょ、レアンいきなり言いすぎだって!」
「だってーワンチャンこの人がそうかもしれないじゃん」
「そんな都合の良い展開あるわけないだろ!それこそ急展開じゃねーか!あー怖い怖い」
細マッチョが少し恐れ多いように、緊張して話し出す。
「えっと……月峯……って、それってもしかして……俺だったりする?」
「え?」
「は?」
レアンと見合わせていた顔を正面に戻すと、細マッチョが指を自分の頭上に指している。
月峯[mooooon spirits]
という文字が頭上に浮かんでいる。
な、なんだあれ
「なにあれー!」
レアンのほうが先に声に出していた。
「な、何もなにも、普通にユーザーネームだろ……もしかして、まだ初心者だったり?」
「ユーザーって何だよ!俺達は俺達だぞ!」
「いや、君たちお互いの頭上でも見てみなよ」
同じタイミングで向き合って、お互いの頭上を見る。
レアン・テルミス[011834627]
という文字が、当たり前みたいに浮かんでいる。
「お、俺にもあったりする……?」
頭の上で手を動かし、触ってみようとする。
「そこにあるよー触れない?」
「見えないし触れない!このっ!」
「ははっ、ほんとに初心者さんだったか」
細マッチョが声を出して笑う。
「初心者?ユーザー?何がなんだか……」
「でも、そのモデルは配布とかじゃなさそうだし、ある程度やったことはないのか?」
「モデルー?私達はモデルさんじゃないけど……」
だめだ、もうぜんぜんわからん。国ごとの洗礼を次々受けていて混乱する。
「……待った、ユーザーも、モデルも知らないで、こんな隠れ家酒場に来れたのか?」
「天門様に開けてもらったらここに来たよ〜」
「レアンまた言いすぎ!」
月峯が口元に手を当てて考え込んだ。
「天門様……じゃあやっぱり君らも神様で……でも何で、アバターとして入れて……?」
「ぼそぼそ言ってて聞こえないぞ!」
「ああごめん、もしかして君らがあの管理の神だったりして……って、だってその力じゃないと、普通外側の国に行くはずだから……」
「すごーい、御名答〜私達が管理の神様〜」
レアンがまたすぐ全部話してしまう。
「バレちゃったよ……」
「あ、えっ?ほんとに!?……これは失礼、いろいろと混乱させてしまったと思う。俺はこの国を統制している仮想の神、月峯だ」
どこぞのバッドエンドのやつとは違って、敬意のこもった丁寧な挨拶だ。
「ほんとにワンチャンあっちゃったよ……」
「すごーいめっちゃすぐ見つかった〜」
「俺が神興国を統制したての頃、一月に一回くらい、潜入調査の神力を持った、管理の神の人達が偵察に来るって聞いてたから……でも、かれこれ半年くらい何にも来てないし、てっきりもうやめたのかと……」
「ギクッ」
「そ、そのへんはお手柔らかに〜…………」
それから、俺達と月峯さんはこの国のことについていろいろと話した。
今俺達がいるこの場所は、国の中の国みたいなもので、仮想現実っていうらしい。
月峯さんが統制している理想の国、その国の中でその仮想現実ってやつを起動すると、今俺達のいるところに行ける。
月峯さんは神力によって、この仮想現実の中に実体を持ち、本来できない理想の国の住人……いわゆるユーザーと交流しているらしい。
国の中の国で、アバターというフィルターを通して、ルールの抜け穴を突いて交流できるようにするなんて……なかなかやるじゃないか。
「じゃあ、そこまでして交流できるようになったユーザーの人達のことが大好き〜?大切なお友達?」
「ああ、みんな、大切な友達だよ。……とまあ一旦このへんで。酒場なのにまだ何も出してないしな。うちのビールでいいかい?ここの中じゃ、別に酔っぱらったりしないから安心しな!」
「お酒〜偽物でも楽しみ〜」
月峯さんが後ろを向いて、並んだ瓶の中から一本を取り出して、グラスに注ぐ。
なみなみに注がれた黄金色の液体が、目の前に出される。
二人で手に取り、恐る恐る口をつける。
「あーーっ、ほんとのビールの味がする……」
「しゅわしゅわ〜……おいし〜」
「ふふ、レアン、泡が髭になってるぞ!」
「ラーンのほうがいっぱいついてるよ〜!」
俺達二人のことを、月峯さんはやさしい目で見守っていた。
「あ、そうだ。今日はこの前のお礼にって、友達が遊びにくるから、よかったら話してやってくれ。たぶんそいつは喜ぶと思うからさ」
月峯さんの友達って、どんな人なんだろう。流石に神じゃないから、いわゆるユーザーって人達だけど……
____花瀬[hanase]がログインしました。
「月峯お兄ちゃん♡♡こんばんぬるぽ〜!テラカワユスな妹の花瀬店長が、この前のお礼をしに、はるばるやってきたぞっ!」
酒場のドアを勢いよく開け、メイド服で黒髪ツインテールの幼い女の子が大きな声を上げて入ってくる。
「ガッ!!」
月峯さんが急に謎の言葉を発する。
なにこれこわい。
「おや、先にオキャークがいようだね、これは失礼」
「……えっと……どちらさま……?妹…………?」
困惑して言葉が途切れ途切れにになってしまう。
「ああ、えっと……こいつは…………はぁ」
「どちらさま……?オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwwwおっとっとwww拙者『キタコレ』などとついネット用語がwwwまあ拙者はいわゆる見た目通りのかわいい女の子だけでなく喫茶店の店長もやっているちょっと変わり者ですのでwww板鳥くんの影響がですねwwwwドプフォwwwつい身内にしか伝わらないネタが出てしまいましたwwwいや失敬失敬www風倉ちゃんの胸の大きさの文学性はですねwwwwフォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww拙者はオタクではござらんのでwwwコポォ」
「……こういうやつだから、よろしく」
「会話になってないんだけど!?」
一から十までツッコまずにはいられない。
「だから……その……俺の友達で、喫茶店の店長をやってる花瀬ってやつだ。今バイトが二人いて、楽しくやってるらしい。その……慣れるまで何話してるかわかんないと思うが……まあ、悪いやつじゃないんだ。こう見えても店長としてやるときはちゃんとやってるからな」
「ぽまえ……やめてよね///」
花瀬さんが両手を頬に当てて体を揺らしている。
「でもでも〜お洋服とか髪型とかとってもかわいいかも〜」
「アッー!待っておまいらもしかして双子!?萌え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「そうだよ〜私とラーンは双子〜もえ〜」
なぜだかレアンが花瀬さんと意気投合している……
「もえ〜ビールおいし〜」
いつの間にか、カウンターの席についた花瀬さんの膝の上に座ってるし……
「くぁwせdrftgyふじこlpこのロリかわいすぎるお……モフモフ……あ、ショタ君もかわいいナー、漏れの膝の上はいつでもウェルカムなんだお^^」
「え、遠慮しときます……それよりレアン!遊んでないで報告書まとめてさっさと帰るぞ!この小説長くなりすぎて大変なんだからな!」
「わかってるよ〜今やろうとしてたとこなの!」
花瀬さんの膝の上から降りて、カウンター越しに二人で月峯さんの前に立ち、手を翳す。
「あれ、もう漏れは用済みって感じ〜?月峯ニキは人気だね〜…………あ、じゃあこの前のお礼に月峯にまたまかないでも作っといてやるか!」
花瀬さんは、カウンターから内側に入り、キッチンに向かっていった。
「なあなあ、月峯さんはまだ誰にも神様だって、バレたりしてないのか?」
「まあそりゃ……俺の神力はこの世界の中で自由に動けるだけの力だからな。バレるも何も、ただの人間と変わらないよ」
ただの人間……そう言うときの月峯さんはなんだか誇らしそうだった。もしかしたら、この世界で動けるようになるまで、すごい苦労でもあったのかもしれないな。
ま、俺達の潜入調査なら一発だけど。
「よし、調査終わり!干渉回数、頻度はこっちの世界でいじってるだけだから、何も問題なかったし……ちょっと変な人だけど、素敵な交友も保ってるし、全然大丈夫じゃないか?レアン、神力のほうは……レアン?」
横にいるレアンのほうを向くと、驚いて目を開いていた。
「あ……神力……ちょっとだけ使用許可量オーバーしてる……」
「えっ」
「お、おい!まじかよレアン!?だってあのバッドエンドだってギリギリ超えてなかったのに……」
「う、うーん……でも、オーバーしてるの、ちょっとだけだから……月峯さんいい人だし、こっそり隠しちゃえば……バレない……かも?」
「え……えーっと、じゃあ、つ、月峯さん!セーフってことで!!たぶんここの世界で実体維持するのに、神力の使用量セーブするのが大変だと思うけど……な、なるべくこれからは入る日を減らすとか……して……すれば……たぶん!なんとかなると思いますよ!」
「お……おう……気をつけるよ……」
「私も、月峯さん怒られて花瀬さんとかと会えなくなっちゃったらかわいそうだもん〜絶対言わないー」
なんか調査結果はギリギリアウ……セーフだったけど!月峯さんはいい人だったので、これくらい許されるだろう!
「おーい月峯〜レアンちゃんラーンくーん漏れのウッーウッーウマウマ(゜∀゜)なまかないができたっピよ〜」
キッチンから、両手に料理を乗せた花瀬さんが戻ってくる。
「うちにバルサミコ酢置いてたかな……」
「私達も食べていーのー?」
「もちろん俺らは歓迎するで?」
「じゃあレアン!お言葉に甘えて食べよーぜ!」
「おいしーご飯とビール……最高〜」
みんなで集まって、まかないを頂こうとしたところ……
____板鳥[sbphu5pjgtd41fc]がログインしました。
____風倉[hanaitaoshi 0430]がログインしました。
「こんばんは〜って、あ!やっぱり花瀬店長いました!ちょっと!何黙ってそんなかわいいメイド服下ろしてるんですか!?」
「風倉ちゃんのメイド服…………ムフッ……ありだなこれ……って、何かめっちゃ良い匂いすんじゃん。あ、もしかして店長何か作りました?俺店長の料理やっぱ好きなんすよね〜」
「………………っ!?!?い、今っ!!板鳥くんが花瀬店長のこと好きっ…………て!?!?あーもう尊い………………」
かなり筋肉質な若い男の人……板鳥さんと
かなり豊満な身体の若い女の人……風倉さんが酒場に突撃してきた。
あーもうなんだかずっと騒がしいよ〜!
「おいぽまえら!これは月峯とお客さんのレアンちゃんラーンくんに作ったんだからね!あげねーよ!」
「そうそう!このポテトは私とラーンが食べるの〜!」
「えー!かわいいお客さんがいたんですか〜!花瀬店長!何で言ってくれないんですか!?あ!ラーンくんちっちゃい!かわいい〜」
えっ!?ちょっと待った風倉さんがこっちに近づいて……!?
「かわいい〜よしよし〜」
…………!?苦しい!息が……!何かが顔に密着して息ができない……!!
「む、ラーン調子乗ってる……」
「いいなぁ〜ラーンくん……ショタってのはいいなあ……そこ代わってくれぇ〜〜」
い、いや待って……ほんとに、それよりちょっと助けて……
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理想の国
所在地 :N3690KB
統制者 :仮想の神 月峯
神力 :実体保有
仮想世界内に自分の存在をそのまま実在させる←危険性は皆無!
正規危険度:D (通年報告更新)
報告回数 :1回←また行けたら会いに行きたいな
近況 :みんな仲良さそうに暮らしてて、めっちゃ良好だよ!
神力影響度:使用許可量はギリギリセーフで何も問題なし!
備考 :俺達への接し方も丁寧で、このまま任せててもまったくもって大丈夫そう!むしろそっとしてあげて!
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「じゃあね〜レアンちゃんラーンくんノシノシ」
「飲みたくなったらいつでも来ていいからな!」
ここの国の人はとっても暖かい人達だったな。
「それじゃあありがとうございました!ごちそうさまでした!」
「てんちょーも、またね〜おつぬるぽ〜」
「ガッ」
二人で笑顔で手を振って、理想の国を後にする。
…………結局その挨拶、どういう意味なんだよ……
____レアン・テルミス[011834627]がログアウトしました。
____ラーン・テルミス[011834628]がログアウトしました。
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いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、
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