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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 後編
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第66話 ぶつかり合う意思

「第3、第4ブロック突破されました!

リンドウ司令官、このままでは」

「これ以上敵が入らぬよう、通路を爆破。

落としてください」

「そ、それでは私達の退路は……分かりました。

最期までやりましょう!」




伊忌島陥落はもはや時間の問題という最中。

島上では、海風が吹き抜けていた。


その風の中、彼らは対峙している。

「本当に、しつこいな。ラインハルト…!」

「てめえこそ、ガキにしては根性あるじゃあ……ねぇかッ!」


ハリヴォロスが一気にアマテラスへ向かって距離を詰める。

「はやい!」

「そらそうよ!小細工なんてぇモンは無ェ!」


連結された斧を振り下ろすが、ヒヅルも間一髪避ける。

……が、回避を読まれて思い切り蹴りがブチ込まれる。


受け身を取るものの、すぐ下ろされる刃にセイバーで対抗する。

「さっさと死にな!ちっぽけな正義を抱えながらよお!

誰のために、何のために戦ってるかも分かってねえガキが!」


何の……ため。


最初は家族の復讐のためだった。


でも、みんなの言葉を聞いて僕は…。


「 僕は、この国を守り照らす希望になりたい!そう思った!」


「それが甘くて、ガキだって何度言ったら分かんだテメェはよお!」

ヒヅルは、片手しか無いアマテラスが押し切られる前に、後ろに飛ぶ。

飛びながら日照を構える。


それに対しハリヴォロスも肩アーマーを展開して、機関砲を撃ちまくる!

「くっ、、、!」

日照に命中し、2砲門とも爆発前にパージせざるを得なくなる。



「でも今は!

この瞬間も戦争で亡くなる人達を、1人でも減らしたい!

この世界を守れれば!」


左手を振りかぶり、斬るフェイントからハリヴォロスの腹を思い切り蹴る。

反応できず、直撃が入る。

「がぁッ.....ッッッ.!ガキがナマ言ってんじゃあねえ!」

ハリヴォロスの頭突きにより、両者のけぞる。


「守るだあ?

国を守ってなんになる!必死に戦って!守って!

それでてめえは最も大事な人を守れんのか?

どうなんだよ!」

その言葉には、今までのナメた態度や余裕ではない、強い恨みと怒りがこもっていた。


「ヒヅル!クルゾ!」

「分かってる!!」

機関砲の雨を、即座に空へ逃れる。


「どれだけ国に尽くそうが!己の命を賭けようが!

国が兵士達の大事なモンや人を守ってくれんのか!?いーや違うなあ?」


投げられた片方の斧が、アマテラスのウィングを捉え突き刺さる!

「ウィングスラスターパージ!機体ヲ軽クスルゾ!」


ラインハルトの言葉に、ヒヅルは怒りを覚えていた。

そんなのは、ただの八つ当たりではないか。


「だからお前は九重を裏切り、滅ぼすと!」

「そうよ!それが俺よ!

何もできねえ弱い国は奪われるだけだろうが!!!」



怒りに、手が震える。

体が勝手に動く。

脳が止まる間もなく、再び彼に切り掛かる。


反射で動くその体は、低姿勢からハリヴォロスの片手前腕を切り飛ばす。

そのまま跳躍し、顔面に蹴りが炸裂する。


「沢山の人が殺されたんだぞ!お前が"ゲーム"と呼ぶ八つ当たりのせいで!

お前が過去にぶつかる意思がなかったために!

悲しむ人間が沢山いて、何とも思わないのかよ!!」

「分かったら何なんだよ!変わんねえよ!!」



再びセイバーとアックスで殺陣が始まる。

そうだ。この男は、過去に大切な人を失ったことから立ち直れず。

今もその八つ当たりをしているだけなんだ。


「そんなんてめえも同じじゃぁねえか!

そうよ。俺とお前は変わらねえ、結局自分のために戦ってるだけだ!

これっぽっちも大差ねえだろうが!!」



過去の自分を思い返す。

そうだ、確かに。

あの時までは、家族の復讐のために帝国を滅ぼそうとした。

希望になると言う、自分のためでしかない理由だけで戦おうとした。


でも、今は違う。


自分のように誰かを失う人を無くしたい。

誰かのために戦いたい。


本気でそう思っている。



刃を躱し、弾いては互いに決め手が入らない泥沼の戦いが続く。

「……ラインハルト。お前は哀れだ」

「よく聞こえねえなぁ」


「お前は哀れだ!

過去から立ち直れず、引きずったまま!

生きてきたその姿が!

本当はそれに気づいて、責任から、自分の人生からも逃げてるだけのくせに!」



ラインハルトがより強く、歯を食いしばる。

それはまるでうなりを上げる狼のような形相だ。

「この俺を、この世界を分かったつもりかあ?たかが十数年しか生きてねえ野郎がッ!

思い上がるんじゃあねぇーーーーッッッ!!」


ラインハルトがついに押し返し、拳と蹴りを入れヒヅルを吹き飛ばす。

その衝撃で、ラスト1本のビームセイバーから手を離してしまった。


自ら斬り落とした右腕を眼下に、空を放物線を描いて飛んでいく。



「うぐッッッ……過去に、お前に向き合って。少しは分かるさ。

じゃなきゃ……お前は今頃、敵味方構わず弾を当てたり、味方ごと僕を撃ち抜いていたり

しただろうさ。

本当は身近な誰かの死なんか、もう見たくも無いのが!!」


ふらつきながらも着地をする。

左前に、アマテラスの右腕だった鉄塊がしっかりとカービンを握りしめて転がっている。


「口は達者だが。

もうお前さん、絶望的なんじゃあねえか。

その馬鹿でかいビーム砲一本、他に武器もねぇのによ」


「……まだ、あるさ」

「あぁ?」

「お前に無くて、僕にあるものが!!」


島上に海風が吹き抜ける中、両者は睨み合い、動きを止めるのであった。

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:「ぶつかり合う魂」→遊戯王の魔法カード。

2 機体について


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