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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter5.5 Rainy rainy Days
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第89.9話 どんな空でも 世界は…

数日後、久しぶりの晴れ間が広がった。

ミランダとシャルロトは約束通り、海辺を歩いていた。


「ねえ、ミランダ。雨が嫌いだった理由、もっと教えてくれる?」


シャルロトが言った。

ミランダは少し考えてから答えた。


「うーん…やっぱり寂しさが一番かな。

雨の日は、みんな家に籠もるから。それに前言ったみたいに、父さんも出航できないし……。

きっと喜びが見出せなかったんだと思う」


シャルロトは優しく頷いた。


「寂しさ……か、そうねえ。

でも、雨の日だって、人と繋がることはできるよ。

アタシ達みたいに、さ」


ミランダは微笑んだ。

陽の光よりも、輝く海よりも明るい顔をしている。


「うん、そうだね。シャルと出会えたみたいに」


2人は海を見つめながら、しばらく黙って歩いた。

ミランダが静かに言った。


「ありがとう。私に新しい見方を教えてくれて」


シャルロトは優しく微笑んだ。


「どういたしまして。

でも、気づいたのはミランダ自身だ。アタシは少し背中を押しただけ」


ミランダは空を見上げた。

青い空に、小さな雲が浮かんでいる。


「雨も晴れも、どちらも大切なんだね」

「晴れの日があるから雨の日の美しさが分かる。

雨の日があるから晴れの日のありがたさが分かる」


ミランダは深く息を吸った。

潮の香りと、陽の光の暖かさを感じる。


「シャル、また雨の日が来たら…一緒に雨音を聴こうよ」

「いいね!楽しみにしているよ!」


2人は肩を寄せ合いながら、波の音を聴きながら歩き続けた。

ミランダの心の中で、雨の日の思い出が、少しずつ暖かい色に染まっていく。

これからは、雨の日も晴れの日も、どちらも大切な日になるだろう。


シャルロトと出会えたことで、世界の見方が変わった。

どんな空でも、世界が輝く。

そして、自分自身も少し成長できたような気がした。

雨は、もう嫌いじゃない。

むしろ、少し好きになれたかもしれない。

なぜなら、雨は新しい出会いをもたらしてくれたから。


ミランダは心の中でつぶやいた。

「雨よ、ありがとう」


ミランダが艦長となるよりも8年前の話である。

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