直子の過去を知らない
直子との出会いについて思い出してみる。そう、それは光石から始まった恋愛だった。
直子は自分の事は語らない。
俺も自分の事は語りたくない_だから_会話はいつも平凡なもので,その場の状況を語るだけに止まった。
_直子との出会いは,紹介だった。
親友の伸一から連絡があり、とある女性が彼氏を探していると聞いた。俺もその当時退屈だったので会ってみることにした。
「初めまして、尚樹と言います!とても綺麗ですね」
女性は無言で俺を見続けてる_返事かない____
ならば!___とバックから女性が好むだろうものを見せつける事にした。
_それは光石で俺の宝物だった。
女性は食い入るように光石を見つ続けた。そして視線をこちらに移して___笑ってくれた___。
「あなたを見ると、すべてを捧げたくなります」
俺は照れ笑いを隠せず、女性も一緒に笑った。
俺は名前を聞く___私は直子です。___。とても良い名前ですねと一言添えて、会話にふけこんだ。
___それから俺の彼女は直子になった。
_直子と付き合い初めて半年が過ぎ、伸一から連絡があった。
「お前何してんだよ!直子さんが大変なんだぞ」
俺は急いで伸一に教えてもらった病院へ行った。
そこには頭に包帯を巻いたベッドの上で寝込む直子がいた_医者は言っていた_どうやら森林に繋がる塀を野路登り謝って転落したらしい。
意識はあるようだったので直子に尋ねた。
「なぜあんなところに行ったんだ?」
すると直子はすらりと俺の手に何かを忍び込ませた。
俺は硬い違和感を覚えて見下ろす。
___それは____小さな光石だった。
直子は一言「直樹が喜ぶと思って………」
俺は直子を抱き締めて叱りつけた。
「お前の体を代価にしてまで、欲しいものなんてないよ」
直子という女がわからなくなった。
だけど愛おしくて、愛おしくて、とにかく一緒にいたいと思った。
_この記憶を思い出すと、より一層直子に何かを与えなければならないと、焦りに似た感情を抱く_
_また直子はどうして、ここまで俺に尽くしてくれるのだろうか?________まずここから考えなくてはならないのかもしれない。