俺の彼女は尽くしてくれる。
俺の彼女は…………可愛い。
面倒好きでいつも俺の心配をしてくれる。
とても感謝している。
だけど、とある出来事をきっかけに彼女に疑念を感じるようになった。
_俺はその日、風邪で寝込み自宅休養をしていた。
_隣には彼女の直子がいる
「尚樹、大丈夫?」
添えられた手の温もりは温かく、俺の心は癒されていく……………お礼を言う俺。感謝の言葉は
「直子、ありがとな……」
それだけでいい。それ以上の言葉などいらないと思ったからだ_
_直子の背後から見えるカレンダーの日付に気がつく。_今日直子はここにはいてはいけないはず
だから聞いてみる。
「直子、今日大手出版社の説明会じゃなかったけ?」
直子は、俺のおでこに手を当てて語りかけてくれる。
「就職よりあなたが大切なの」
俺は嬉しくて直子にキスをする。こんなにも愛されているのか…………。俺は直子と結婚したいと思った。
だけどなぜか、遠い昔の記憶が蘇ってきた………
小さい頃の祖父との記憶だ。祖父は丈箒で玄関のゴミを集めながら、いそいそしく言っていた。
「掃除はお前のためにやるんじゃ!だからワシはお小遣いなどやらん」と蹴散らされた。
俺はお小遣い目当てだったから、
_祖父が意地悪な爺さんにしか思えなかった。
だけど将来の道末に悩んでいる俺が高校三年生の頃に
_彼はこんな言葉を残してくれた。
『尚樹お前は雑草になれ。ワシのように鷹になろうとせずに当たり前のようにある雑草になれ』
彼はガンを煩い_死の間際_だった。
そして彼は言い欠ける。
『あの……石は………』
そして彼は死んだ。
今となっては彼が何を言いかけたのかは_わからない。だけど俺に何かを伝えたいと思ってた。
そして_俺にご褒美を一切くれなかったのは、何か理由があったのではないのかと……思い始めた。
その答えが直子の事を知ることで、わかるような気がしたし、直子への感謝の意を込めて彼女にできる最高級のお礼を何かしらの形でしたいと思ったのだ。
_俺は彼女に何を与えらるのだろうか?
そう思ったから、その日をきっかけに、直子の人生について考えるようになった。