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4)薬師如来の拝みかた

 

 世尊若於此經受持讀誦或復爲他演説開示…


曼殊室利「世尊、このお経を受持し読誦し、或いは繰り返し他の人のために見せて解説し、自分も勉強し他の人にも教え、恭しく敬って尊重し、種々の花香/塗香/抹香/焼香/花鬘(花飾り)/瓔珞(宝石飾り)/幡蓋(吹き流しのついた豪勢な日よけ傘)/伎樂(踊りや音楽)で、供養のために五色の鮮やかな布でこれを飾って、よく掃除した浄らかな場所に高座を設けてそこに安置するなら、その時は四天王とその眷属、そして無量百千(1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000)人の天人たちが、みんなそこに詣でて供養し守護します。

曼殊室利「世尊、もしこの経宝が流行してる場所でよく受持し、かの世尊・薬師瑠璃光如来の本願功徳と名号を聞いたら、二度と横死する(重病や事故や殺害などにより、まだ寿命はあるのに死んでしまう)ようなことはないとわかるし、またいろいろな悪い鬼神たちも二度と生命エネルギーを奪うことはできなくなります。奪われたものも戻ってきますから、身も心も安楽となります。」


 ブッダが曼殊室利に告げた。


「そのとおり、そのとおり。まさにキミの言うとり。

「曼殊室利くん。もし浄信のある善男子・善女人たちが、かの世尊・薬師瑠璃光如来を供養したいと思った時は、まず、かのブッダの形の像を造立して清浄な座布を敷いて安全な場所に安置し、種々の花を散らして種々の香を焚き、種々の幡(吹き流しのような布飾り)でその場所を厳かに飾るんだ。そして七日七夜、八分を受持して斎戒する。清浄な食事をし体を洗い香を焚き清浄で新しい衣服を着て、無垢で濁ることのない、怒らず攻撃することのない心で。そして一切の有情に利益安楽をもたらすしゃの平等の心で過ごすんだ。」



 八分とは八戒のことでしょうか。自分の欲望を自分の意志でコントロールすることに慣れるための、初級者向け修行法のようでして、


 01)不殺生:略

 02)不偸盗:略

 03)不邪淫:略

 04)不妄語:略

 05)不飲酒:嗜好目的オンリーの品の摂取を控える

 06)不犯斎:食事は日の出~正午の間だけとし必要最小限に

 07)不於高好床坐:軟かい座布や暖かい布団で楽をしない

 08)不習歌舞戲楽:歌舞音曲や化粧着飾などで気分を浮つかせない


 というルールを守る斎戒らしいです。

 詳細は『八関斎経』や『優陂夷うばい墮舍迦だーしゃか経』などのお経で説明されていますが、やや緩いめな前出の十善戒と比べると、不邪淫には「Hなことを考えても異性と同じ部屋で寝てもダメ」とか、不習歌舞戲楽は「音楽を聴いてもダメ」等とか、かなり徹底が必要なようであります;


 斎戒は布薩ふさつ(ウポサタ)とも申しまして、月の満ち欠けに従ったサイクルで定期的に(六斎日とか十斎日とか)、あるいは特別な目的のある時に1日か2日、この八戒を徹底的に守るというのが在家信者用の修行だそうで。

 一日やってみると次の日は、フケツな人が久々に風呂で体を洗った翌日のように気分爽やかとなり、着たきり雀が久しぶりに洗濯した次の日のように身が軽く、汚れっぱなしだった鏡を完全に磨きあげた翌日のように自分や世の中のことが正しく見えるようになる、そして得られる福徳は、斎戒について話しをするとか考えるとかだけでも多少はあるけれど、定期的に実行すれば世界の五大河川の水量に等しい、とのことですが……この場合では一週間連続してやらなならんらしい。ひぃ~、、、ベテランにはフツーなのかもしれんけど初心者に7日連続はちょっとキツそう。



「…そして太鼓と音楽と歌で讃えながら仏像の周りを右繞うにょうする(自分の右側の肩を見せるように、向かって左の方から一定回数、周囲を廻る)。それからまたかの如来の本願と功徳を念じつつこの経を読誦して、その内容をよく考え、何が書いてあるのかみんなに公開して説明するんだ。


「すると、求めていたことがすべて楽に実現してしまう。長寿がほしかったなら長寿を得るし、富饒ふじょう(財産)が欲しかったなら富饒を得るし、官位が欲しかったなら官位を得るし、男の子供/女の子供が欲しかったなら男の子供/女の子供が生まれる。


「もし悪夢を見ててもう見たくない人が、いろんな醜悪な姿だの怪鳥だのが集まってくる夢を見ていて、あるいは自分の住処に次々とオバケが出たりしてて。でもこの人がもし、人々に資金や法具の確保を手伝ってもらってかの世尊・薬師瑠璃光如来を供養し恭しく敬えば、悪夢も醜悪な姿も不吉なこともみんな隠れて無くなって、もう患わされることは無くなる。


「あるいは水に流され/火で焼かれ/刀で斬られ/毒を流し込まれ/吊り下げられ/高いとこから突き落とされ、ゾウ/ライオン/トラ/クロクマ/ヒグマ/毒ヘビ/悪いサソリ/ムカデ/ゲジゲジ/(判読困難)/カ/アブ、等で恐怖していても、本当に心からこのブッダを憶念して恭しく敬い供養すれば、すべての恐いものから解放されることができる。


「もし、他国が攻めてきたり盗賊が暴れ反乱が起きたりしても、しっかりと心からこのブッダを憶念して恭しく敬い供養すれば、みんな解決してしまう。


「それからね、曼殊室利くん。もし浄信のある善男子・善女人たちがいて、でも天の助けがなくて正しい行いができないときも、ただ一心に仏(目覚めた人)・法(その人の教え)・僧(教えに従う修行者たち)を信じて、もし、五戒、十戒、菩薩の四百戒、比芻の二百五十戒、比芻尼の五百戒、といった戒律を教わり守ってて、けれども修行中にウッカリ戒律を破って悪趣に堕ちてしまうんじゃないかと恐れていても、しっかりこのブッダの名号を念じて恭しく敬い供養してれば、ゼッタイに三悪趣に生まれ変わるようなことはないんだ。


「あるいは女の人が赤ちゃん産むときにメチャクチャ苦しんでいても、しっかりと心からこの如来の名前を唱え礼拝し讃嘆し恭しく敬い供養すれば、そんな苦しみはみんな除かれてしまう。そして生まれる子供は完全に五体満足、見る者がみんな喜ぶほど姿が端正で、利根は聡明、運勢は安穏、病気になることも少なく、人でないやつ(鬼神とか悪霊とか)から生命エネルギーを奪われるようなこともないんだョ。」


 そして世尊は阿難あなん(アナンダ、年の離れたブッダの従弟で晩年の愛弟子)に言った。


「私が褒め称えたかの世尊・薬師瑠璃光如来の功徳みたいな話は、悟りを開いたブッダたちのごとく深い修行をした人たちでないとなかなか理解できないけどさ。ひょっとするとキミも信じてないんじゃないの?」


 阿難が言う。


阿難「大徳だいとく世尊……僕は如来の説明されたことに疑いは持たないと約束しました。なぜかってゆーと、すべての如来の身(体)・語(言葉)・意(心)ですることが清浄でないなんてことは絶対ないからですッ!

阿難「世尊……太陽や月がヒューッと落っこってきたり、最高峰の山の王が傾いてズズズッと動きだしたりすることがあったとしても、ブッダたちの言うことに間違いはありませんッ!

阿難「世尊、ふつうの衆生には、ブッダたちのものごっつ深いお話を聞いても、それを信じることのできる根(素質)がそなわってません。しかしよく考えればなぜ……、『ただ薬師瑠璃光如来という一人のブッダの名号を念じる』というだけで勝れた利のある功徳を獲得できるのに、こんなような不信や反論や誹謗でもって、せっかくの迷いの中でも得られる大利楽を失い、いろいろな悪趣に堕ちちゃって、無限に流転してゆくことになっちゃうんでしょうね?」


 ブッダが阿難に告げた。


「有情の皆さんもね、もし世尊・薬師瑠璃光仏の名号を聞いて心から受持したら、疑惑なんか湧かないし、悪趣に堕ちる者なんかどこにもいなくなるョ。

「阿難くん、ブッダたちのものごっつ深い所行は理解も信用も難しいんだ。君は今それをゲットして、如来のスッゲエちからを知ることができた。

「阿難くん、すべての声聞/独覚/また充分な境地に至ってない初級中級の菩薩たちはみんな、こういう真実を理解したり信用したりできない。ただ、次の生涯で成仏することになってる菩薩以外には。

「阿難くん、人として生まれることは得難く、また三宝(仏・法・僧)に出会って信じ敬い尊び重視することも、また得難い。世尊・薬師瑠璃光如来の名号を聞くことも、また難しいんだよ。

「阿難くん、かの薬師瑠璃光如来の測り知れない菩薩行、計り知れない巧みな方便、計り知れない広い大願はね、もし私に一劫や一劫以上の時間があったとしてても、説明にはその劫が終わるまでかかる。かのブッダの行い、願、巧みな方便は、尽きることがないんだョ。」


 と、その時。聴衆の中にいた一人の菩薩が立ち上がり……



 つづく!

 


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