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底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜  作者: 筋肉重太郎
第二十四章 第一基地防衛戦線

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第一防衛基地本陣 その4

(……龍か!)


 私は偽黒ジャケットの作り上げた龍を見て目を見開く。威圧感を感じさせる雰囲気とは裏腹に、美しく、それでいて精工に細部まで細かく作り上げられているのを感じる。


「成長か……確かに! 新潟派閥でしか得られない成長だ!」


「でしょう?」


「だが、その黒い龍と一緒に戦ったところで、私は負けん! 東京派閥という誇りを背負っているからな!」


 すかさずファイティングポーズを取り、裏切り者に向かって東京派閥への忠誠心をアピールする。ふふふ。忠誠。


「……それが嫌だったのよ」


「む? なんだって?」


 偽黒ジャケットがぼそりと何かを呟くが、あいにくと私は呟いた言葉を聞き取る耳は持ち合わせていなかったため、何を言っているのかがわからなかった。


 だがそんな事は関係なく、偽黒ジャケットは言葉を続ける。


「あなたなら出来るだとか進むべき道だとか進路だとか……そういうのはもうまっぴら!」


 すると、黒い龍は口を大きく開き、何かをかき混ぜるような高音を立て始める。


「私は私の道を行くのよ!」


「……! これは!!」


 背筋に感じる嫌な気配。何度も修羅場をくぐり抜けてきた全身が警告を鳴らす。龍の口から感じられるもの。間違いなくブレスの類いであろうそれは――――


「……良くないな!」


 幸いなことに、私の足を封じていた砂鉄は龍の形成に使われている。つまり私は良い意味で無防備。完全に自由な状態である。これならば私を縛るものはもうない。


「むう……!」


 足を強めに踏み込み、そう遠くない龍へと行こうとしたその時、黒い影がそばへ這い寄りチョップを叩き込む。


「ん……!? 貴様……!?」


「どこ見てんの? 相手は私なのよ!」


 まさか本人が割って入ってくるとは想像がつかなかったが、なるほどそういうことか。


(龍のブレスの時間を稼ぐための……! 私と同じ! 捨て身で来たか!)


「その気やよし! しかし、私を前にスキルも無しで立ちはだかること! それは無謀だと知るがいい!」


 当然、拳を握り締め、偽黒ジャケットに向けて発射する。偽黒ジャケットは両手を開いて何とか受け止めた。


(しかし! 拳から感じる肉の響き的に、手応えあり!)


「ふんっ!」


 そのまま体を一回転し、後ろ回し蹴りを決める。先の一撃で手が痺れていたようで、たいして両手を使うことなく腹にモロ喰らいした。


「おっごっ……」


 インパクトの瞬間に耳に入るぐぐもった声は、攻撃が有効打足り得ている最もな証明であった。


(スキル有りであれば接近戦でもいい勝負をしていただろう……だが! さすがに無謀だったようだな!)


「どうした! その程度では時間稼ぎにすらならんぞ!」


(本人を殺れば龍も崩れるはず! あの彫刻品のような龍が崩れるのは惜しいが、それも定め!)


 龍には目もくれず偽黒ジャケットを一心に狙い、充分にためを作った握り拳を当て……


「おご!?」


 ……ようとした時、衝撃と同時にアゴを跳ね飛ばされ、視界が冬の空いっぱいになった。


 カウンターが頭をよぎったが、そもそも私と偽黒ジャケットでは根本的な腕のリーチが違うし、後ろ回し蹴りを受けてよろめいていたはず。つまり……


(この裏切り者! 手に少量でも砂鉄を隠し持っていたか!)


 砂も固めれば立派な凶器になるように、砂鉄も固めれば凶器足りえる。おそらく最初から少しだけ手の中に握り締め、いいタイミングが来るまで隠し持っていたのだろう。


「……っしかし! 小細工は所詮小細工! 問題無しだ!」


「本当に?」


 私は当然、跳ね上がった頭を一刻も早く元に戻すために、勢いよく頭を偽黒ジャケットの方に向けた。



「……ん?」



 向けたのだが……



「なんだ?」



 偽黒ジャケットの体が……徐々に大きく……いや違う。これは。



「私が近づいてッ……!」



 顔面に一発。ためにためた必殺のパンチが炸裂した。



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