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底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜  作者: 筋肉重太郎
第二十四章 第一基地防衛戦線

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第一防衛基地本陣 その2

 周りの人間からすれば、これから2人の戦いが始まる。といったところだろうか。しかし、実際のところはそうではない。2人がもっと前から始まっていた。周りから見える2人は、2人の事実の全てではない。


 先にも言ったが、偽黒ジャケットは周りに砂鉄を侍らせ、鎧の男はボロボロ。これから始まるのではなく、一時中断といった形だった。


「じゃ、続けましょうよ。私たちの殺し合いを」


 偽黒ジャケットは右手を前にあげ、流動し続ける砂鉄を鎧の男に向ける。


 鎧の男に招待がばれたことで口調が砕け、そのおかげかなんとなく楽そうだ。


「……当然さ!」


 どことなく楽そうな偽黒ジャケットとは対照的に、鎧の男は脂汗を滲ませ、虚勢の笑顔を貼り付けて戦闘体制を整える。


 ここで両者のコンディションを詳しく説明しておこう。現在、両者とも少なからずダメージを受けており、鎧の男は見た目通り、全身打撲と出血でもう一仕事終えたと言っていい位なダメージを受けていて、偽黒ジャケットは序盤に受けた鎧の男の抱擁による腕のダメージのみ。つまり腕は使えない。


 ではなぜ、腕の使えない偽黒ジャケットが、鎧の男に対して全身打撲、鎧がボロボロになるほどのダメージを与えれたのか。



 その秘密は特に秘密にされることもなく、始まって早々に明らかになる。



「……ッ! またかい!?」


 砂鉄が鎧の男の背後に地面から忍び寄り、背後に人1人分の黒い壁を生成する。しかし、その黒い壁が壁と呼べる形を維持する時間は少なく、即座に鎧の男の表面に付着し、そのまま体を偽黒ジャケットの方へ引っ張る。


 鎧の男が「またかい!?」と言ったように、2人の戦いの中では、この戦法は何回か行われていた。ただまだ対策や解決といった方向へは導けていない。それほどまでに磁力とは抗い難いものなのである。


「また来てもらいますよ」


 鎧の男の引っ張られる先、そこには当然のように偽黒ジャケットが鎮座しており、拳を握り締め射程圏内に来るのを今か今かと待っている。



 肝心なその拳は人の肉ではなく、砂鉄でできた拳なのだが。



「……ッ! おのれッ!」


(とにかくガードを……!)


 鎧の男のスキルでは磁力に抗いようがない。今のところは打破する方法は思いつかない。であるならば、受けるダメージを最小限にするのが最善だ。


 腕をばってんの形にクロスさせ、ダメージを最小限に抑えようとする。砂鉄の拳の大きさは1メートルはあるだろうか。砂鉄でできていて完全に独立しているため、偽黒ジャケットの両手は空いた状態だ。いくら損傷しているとは言え、使ってこないとは限らない。


(腕は砂鉄の拳のガードに、そして目は……本人に向ける!)


 そうやって着弾した砂鉄の拳は見事に受け切ることに成功した。成功の要因としては、何回か喰らったことのある手で早めに察知することができたのが大きい。


「何安心してるんだよ!?」


 砂鉄の拳を受け切ったのを見て、偽黒ジャケットはすかさず駆け込み、顔面へ蹴り込みを仕掛ける。


「安心してるのはそっちじゃないか!?」


 ただ、今回は目を偽黒ジャケットから外さなかった鎧の男に軍配が上がり、すんでのところで頭を逸らして回避しつつ、逆に足で顔面にカウンターを入れることに成功した。


「ぐっ……!」


「うまいこといったな! だが……!」


 偽黒ジャケットは顔面に攻撃を入れたことで、フラッと立ちくらみを起こし、地面に手をつく。立ちくらみが回復するまでに時間が発生するが、その隙を付けるほどの元気は鎧の男も持っていなかった。


(腕が痺れている……! 体験済みではあったが、はやり磁力というのは侮れないな……!)


 砂鉄の拳を受けた腕の痺れが抜けず、休息を必要としていた。時間が必要なのは鎧の男も同じだったのである。


 ここまでの戦局を見て、2人はそれぞれの考えにたどり着いていた。


(砂鉄の拳をガードしつつ、本人を見るのは一時凌ぎにしかならない……! とにかく、砂鉄の拳ではなく、砂鉄そのものの解決方法を見出さなくては……それこそ捨て身でも……!)


 鎧の男は砂鉄の攻略方法について、何か確信めいたものを感じつつ。


(砂鉄の拳に関しては攻略されつつある……ダメージもこれ以上行くと馬鹿にならないし、これからの戦いに響いちゃう……なら、奥の手を使うまで)


 偽黒ジャケットは自分の攻撃が攻略されているのを感じ、早々に奥の手を切る覚悟をした。

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