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底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜  作者: 筋肉重太郎
第二十四章 第一基地防衛戦線

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利用しろ

「注射器の出所が……東京派閥だって?」


 グリードウーマンが戦っていたあの女は、明らかに東京派閥側の人間らしかった。だから、注射器の出所が東京派閥である可能性は高いのはわかっていたが、それだと神奈川派閥に潜入していた時期になぜグリードウーマンが注射器を持っていたのかの説明がつかなくなる。


 なので、あまりにも安直すぎるかと逆に放置していた考えであった。


(あの……東京派閥が……)


 黒いモヤが頭の中を覆い、黒でいっぱいになる前になんとか頭を交互に振り、頭の中のモヤを晴らす。今は復讐のことを考えている場合ではない。


(待て……落ち着け……まずはグリードウーマンだ……こいつがいつから東京派閥と接触していたのか……)


 注射器の出所が東京派閥だった。それを見かけだけの言葉の意味ではない。もう1つの意味を孕んでいる。


 孕んでいるもう1つの意味とは、この女、グリードウーマンは俺が憎んでいる東京派閥と裏で繋がっていた過去がある。と言うことだ。


 当然、グリードウーマンは俺が東京派閥出身だと知ってはいるだろうが、俺が東京派閥に……しいては幼馴染に復讐したいと願っていることは知らない。知らなくて当然だ。ハカセしか知らないことなのだから。


「グリードウーマン……お前はいつから東京派閥と接触していた?」


「えーと…… 1ヵ月と少し前位かしら。あなたにボコられる少し前よ」


「そんなに最近だったのか。計画的じゃないな」


 俺の皮肉めいた言葉に、グリードウーマンは首を横に振る。


「その通りよ。本来なら、あの集団襲撃には東京派閥の介入はなかったわ。私とシュルカーを中心とした襲撃……それだけだったところに、急に東京派閥、しかもトップである異能大臣から連絡がかかってきたの」


「アドレスか何かが漏れたのか?」


「わからない……でも、確かなのは、私たちに注射器の提供を断るすべはなかったということ……断ればお前たちなんてすぐに潰せる。それくらいの気迫と重苦しい雰囲気が……面と合わせなくても伝わってきたから」


 まぁ実際そうなのだろう。あの時のグリードウーマンたちと東京派閥では途方もない位の戦力差と質の違いがある。四聖あたりをぶつけるなりすれば終わりだ。


(しかし、計画的ではなかった……か)


「……なるほどな。そういう流れだったのか」


 東京派閥との繋がりは、グリードウーマンからしても予想外のつながりであったらしい。それは理解した。ただ……


「お前……それに便乗して、まだ東京派閥との連絡を続けているわけじゃないだろうな?」


 ただ、だからと言ってグリードウーマンが未だに東京派閥と接触している可能性は容認できない。





 もし、未だに東京派閥と繋がっているのなら……





 自分の手からゴキゴキと肉が収縮する音が鳴った。


「……もう連絡はとってない。足がついたアドレスは全て削除したし、そもそも神奈川の牢獄に入ってそこら辺の道具は全て没収されたから」


「…………」


「……本当よ。信じて、お願い」


 沈んだ表情で懇願するグリードウーマンだったが、俺の疑いの目は晴れることはない。


 もしこいつが最初から俺を監視するためのスパイだったとしたら? 先程までのエピソードトークが全て虚偽の報告だとしたら? 目の前の人物を黒とする可能性が次から次へと溢れ出てくる。


(今始末するか?)


 一気にグリードウーマンが怪しく見えてきて、だんだんと殺意が湧いてくる。嘘か本当かもわからないし、とっとと殺してしまうか?


(っと……危ねぇ……逆に考えろ……もしかしたらこいつはこの戦争以外での東京派閥への足がかりになるかも知れねぇんだぞ)


 別の考え方をすれば、グリードウーマンを逆利用することで東京派閥の情報を入手できるかもしれない。それこそ警察がよく行う逆探知のように。


(……それに、グリードウーマンに注射器を渡したっていう異能大臣ってやつ……妙に気になる……)


 異能大臣の行動にはいくつかの違和感があった。


(いくら注射器が国家機密レベルの強化アイテムを渡すためだったとしても、異能大臣ともあろう位の高い人物が犯罪者に対して直接連絡するかね?)


 信憑性を高めるため? 犯罪者たちの信用を上げるため? いくつかの考えが浮かぶが、俺のような人物に逆利用される可能性があること以外は、メリットしか浮かばないように思えた。


(外務大臣と内務大臣は接触したことあるが……異能大臣はその2人よりも頭が切れるらしいな)


 ますます興味が浮かぶ。なら、グリードウーマンをここで殺す選択肢は消える。


 なら、グリードウーマンは生かす。とことん利用した上で活かし尽くして、消しカスになったら捨ててやろう。


「とりあえずお前は殺さない。だが……」


 未だ気分が沈んだ表情で俺を見やるグリードウーマンとは対照的に、策を思いついた悪どい笑みを浮かべ、グリードウーマンへと、生き残るための条件を話した。





「今後、定期的に東京派閥の情報を俺に提示しろ。それができなくなったら……分かるな?」





 それは、グリードウーマンという1人の女を徹底的にまで利用し尽くす……悪魔の取引だった。

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