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怒り

 まだまだー!

 帰り道、俺は全身アザだらけの体を引きずって、家に帰ろうとしていた。


(もうこれ以上関わりたくない……)


 毎日毎日こんな目に合うのなら、いっそ退学してしまった方がいい。


 退学を本気で考えたその時……


「伸太!」


 後ろから声が聞こえる。痛みを抑えながら振り向くとそこには才華がいた。

 息はきれていないが、かなり急いできたらしい。靴のかかとを踏みながら走ってきた。


「一緒に帰ろう?」


「…………」


 俺は何も言わず歩いて行く、それを了承と受け取ったのだろう。才華は何も言わず隣についてきた。


「……ねぇ」


「……なんだ」


「今日の5時間目のこと……気にしてる?」


 俺の核心をついたセリフだった。


「そんなの思ってない」


「嘘、絶対に思ってる」


「思ってない」


「……何年一緒にいると思ってんの、わかるよ?それくらい」


 どうやらこいつに嘘は無駄らしい。


「ねぇ……そんなに気にすることないよ」


 才華にしてはだいぶ言葉を選んでいる。かなりことを大きく考えているんだろう。


「ねえ……元気出してよぉ……確かに今はスキルがイージーかもしれないけど、これから絶対上がっていくって! 大丈夫! 僕が保証する!」


 そう……スキルランクには、ランクアップと言うシステムがある。それは戦闘や訓練において、ランクが下のスキルを持つ人間が高い記録を出したとき、そのスキルが再評価されスキルランクが上がることだ。


 普通、かなり難しいこのシステムだが才華が言ってくれると本当にできそうな気がしてくる。


 ……もう少しがんばってみようか……そう思った時ーーー


「それに仕方ないよ! 相手側、ハイパーだったんでしょ?」


 …………仕方ない?


「それでもひどいよね! イージーにハイパーをぶつけるなんて!」


 ……………………シ方ない?


「しょうがないよ! 仕方ない仕方ない! 切り替えていこう!」


 ……………………………………シカタナイ


「……るかよ」


「……え?」


「 hyperのお前に……」


「勝ち組のお前に……」


「下のやつの……底辺の気持ちがわかってたまるかよ!!!!!!!!!!!」


「…………え?」


 思いっきり怒鳴る。ここまでキレたのは初めてかもしれない。これは土下座した時以上だ。


「必死に頑張って! 努力して! それでも1つも上にいけないやつの気持ちが! お前みたいな! 何でもできて! 努力すればその分上にいけるやつが!! お前なんかよりずっと努力してるのに!! 努力が足りないって言われて!! 何にもわからなくなって!! 必死に息継ぎしているだけの人間の気持ちが!! わかってたまるかよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 ネットで調べたスキルを伸ばす方法もやった。全く伸びなかった。筋トレもしたけど全くと言っていいほど筋肉がつかない。かといって勉学もできるわけじゃない。いくら勉強しても周りの奴らは覚えるのに。俺だけ覚えられない。



(そんなもがいてる俺の気持ちを……こいつは仕方ないで割り切りやがった。笑ってなくそうとしやがったんだ!!)



「ちがっ……そんなつもりじゃ……」


「うるさい!!」


 俺は左手で才華の胸ぐらをつかみ、闘力操作によって右腕に全エネルギーをのせる。

 ゴオオオという音を立てながら、熱くなる右腕を無視して俺は拳を振り上げる。



 そして才華めがけて……拳を振り下ろした。



 だが



 その一撃は



 無情にも



「貴様……このお方に何をしている!!」


 勝ち組の1人の片腕だけで防がれた。

設定 東京以外の派閥

 日本の中に派閥は47個あり都道府県と一緒の数がある。これはもともと都道府県だったものが日本政府に向けての侵略の意思により都道府県が名を変えたものであるからである。


 既に日本政府はなく、国家公務員の席が縮小され1つの派閥につき国務大臣、外務大臣、首相、そしてスキル専門の事柄全般を取り仕切る異能大臣が存在しているため現在、日本には188人の大臣が存在している。

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