活躍する者たち
地面にヒビが入り、地盤が2つどころか、3つ4つ。さらに飛んで数百個に割れる。
木々が根本からベロンと捲れ、クレバスが生まれていき、敵味方関係なく、人が当然のようにそこに吸い込まれていく。
「気を付けろ……っ! おい! 足元!」
「す、すまねぇ……助かった……」
「うわあああああー!!!!」
「そんな……」
空を飛べるスキルを持っている兵士は助けることができるが、それらを持たない兵士たちは、足を滑らせくれバスに滑り落ち、それを眺めていることしかできない。
「ぐ……」
(こんな……ちくしょう、殺されるより……何もできねーじゃねーか……)
ウイルスのように、人から人へと電波することで、絶望の波紋が兵士たちに広がっていく。
隣の人物が、敵が、足を滑らせるという日常生活でもありがちなミスで、次から次へと姿を消していく。その場に確かにいた証すら残らない。地中に埋もれ、死を待つのみだ。
しかし、ある部隊だけは地震による被害を切り抜け、この戦いを有利に進めていた。
『龍兵隊! 今がチャンスだ! 攻撃の手を緩めるな!』
「「「「了解!!」」」」
それは犯罪者たちではなく、新潟派閥独自の部隊である龍兵隊であった。
龍兵隊は亮介の指示のもと、序盤に大半の部隊が奇襲に投入され失敗し、その命を散らした。
故に、新潟派閥は犯罪者たちを主戦力として使うしかなく、ここから先は空気にならざるを得ないと思われていたのだが、ここに来て、まさかの大活躍を示していた。
「あいつら……! 龍の状態で空を……!」
空を自由に駆け巡る龍たちを見た東京派閥の兵士から、そんな言葉が漏れる。
東京兵士の言う通り、龍たちは空を飛び、遠距離からブレスを吐いて攻撃してくる。
空を飛べる利点と、遠距離から高火力を出せる利点が、今の状況と見事にマッチし、数は少ないながらも、ここに来てまさかの大活躍を果たしていた。
しかも、龍たちの活躍は東京へのダメージにとどまらず、周りの犯罪者たちのサポートもこなしていた。
「やばっ、死――――っと!?」
「落ちそうだったな。大丈夫か?」
「お前、龍の……チッ。トカゲもちったあ役に立つじゃねーか!」
「一言余計だ……亮介様の指示だからな」
今にもクレバスに滑り落ちそうだった犯罪者を攫うように、背に乗せて助ける龍が現れ始めたのだ。
今までのわだかまりはどこへやら。プライドを捨て、なりふり構わなくなった亮介と龍兵隊に、犯罪者への軽蔑の視線はもはやなかった。
一方で、東京派閥の兵士たちは龍に助けられることなく、次から次へと、血すら残すことなく滑り落ちていく。
自分たちだけ選ばれず、相手側だけ選ばれ、運命のように助け出されていく光景は、生き残ったものにとっても絶望を与えていく。
しかし、東京兵士たちの心は折れてはいない。我々には数多の名のある兵士がいる。それが倒れない限り、自分たちには希望がある。
淡い希望を胸に抱きしめ、推進力とし、重い腰を上げようとした。その時だった。
地面がさらに盛り上がり、海のように波打ち、更なる轟音を響かせて。
黒い何かをまとった黒ジャケットと、傷だらけになり、鎧の禿げた四聖の1人を目の当たりにしたのは。




