新拠点
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俺の辿り着いた先、そこは俺とブラック、そしてハカセが建てた新たな拠点。
作りとしては、タープにテントに焚き火、そしてその周りにキャンプ用の折りたたみ式椅子を2つ並べただけのシンプルな作り。
防衛するための壁などは当然なく、4人家族のキャンプと間違うようなもの。戦場に合って良いものでは決してないかった。
が、俺にとっては、最初の頃の日々を感じられる懐かしい拠点だ。
「帰った。第一基地は潰してきたぞ」
「お疲れさん。見とったよ。ようやったもんじゃ」
椅子に腰掛けたハカセが、焚き火に薪を焚べながら俺を出迎える。俺がいないうちに、何かしらでばれて、襲撃を受けないかと、少し不安になっていたのだが、要らぬ心配だったようだ。
ホッと息をつくと、俺はもう片方の椅子に座り、ブラックを膝に座らせる。
「とりあえず、今日の活動はここまでじゃ。日も遅い。遅い。ここは飯食って英気を養え」
ハカセは俺に肉を山盛り乗せた皿を渡す。
「サンキュ……んぐ、で? こっからのハカセの展望は? 両派閥はどう出ると思う? ……ほら、ブラック。お前の分」
「新潟派閥が第一防衛基地が潰れたのに気づくのは遅れるじゃろう。逆に東京派閥はすぐ気づく。生き残りがいようもんなら今気づいていてもおかしくなかろう」
ペストマスクをずらし、肉を口に運びながらハカセは答える。
「つまり?」
「第一防衛基地が潰されて、東京派閥が黙っているわけがない。まず間違いなく明日、東京派閥は攻めてくる」
「……この戦争は明日が本番ってわけか」
「うむ」
そこから少しの間、無言で肉を食う時間が続いた。
そこから少しした後、ハカセから俺に話しかけてきた。
「そういえば……どうじゃった? 四聖との戦いは」
それに俺は正直な返答をする。
「良かったよ」
確かに良かった。肉体は違うが、優斗と雄馬よりは確実に強かった。
ただ、それだけだ。
牛の時の、血が沸騰するあの感じがない。四聖がネームだけで大した事はなかったのかと思うほどに。
いや、それとも、もしかすると――――
(俺は……自分の持っている以上に、強くなっているのか?)
それこそ、龍ヶ崎震巻との試合で、確信した以上に――――
少し減った皿の上の肉を見つめ、考えていると、ハカセがまたしても言葉をかけてきた。
「良かったか、ま、どう思おうがオヌシの勝手じゃが、足りないのであれば……」
椅子から身を乗り出し、まるで子供がとっておきの秘密を暴露するような、嬉々とした声色で。
「"騎士"に興味がないか?」