行ってきます
日間ランキング入りましたー! 久々! やってもいいよと思う方だけで大丈夫なので、ブックマーク、レビュー、星、感想をよろしくお願いします。これから先も見ていってくださいー。
時間は俺のはやる気持ちに呼応するように、一気に過ぎ去り、ついに当日となった。
ここから戦場となる群馬派閥まで、数日かけて到着する予定だ。
俺1人で行けば1日とかからないが、集団になると話は別。みんなで隊列を組み、エンチャントで特殊コーティングされた装甲車に乗り込むのだ。
ロカの話では、後方待機になってしまった代わりに、ハカセとブラックを含めた3人で装甲車を使わせてもらえるらしい。まぁ、それでも割に合わないが。
とにかく、もうこの部屋ともおさらばだ。
「……」
「どした?」
「……いえ、少し……しばらく会えなくなると思うと……」
今回の袖女はそもそも戦争に参加していない。参加するのは俺とブラックだけ。
(にしてもこいつ……本人の前でよく堂々と言えるな……)
なんだかこっぱずかしくなってくる。首筋をボリボリと掻き、俺は袖女を抱きしめた。
「……あ」
「大丈夫だ。俺が負けると思うのか?」
「……いえ」
「なら、ここにいろ。足を引っ張るな。横にいるだけでとは言わん」
……これを言うのは勇気がいるな。
「俺の居場所になってくれ」
俺がずっと欲しかった。東京派閥ではどこにもなかった居場所。思い起こしてみれば、俺の帰る場所にはいつも袖女がいた。
『お帰りなさい……そのまま野垂れ死ねばよかったのに』
『はぁ……なんでこんな奴なんかと……』
『……あなたの分ですよ』
『何の役にも立っていないのに!! いざ駆けつけてこのザマなのに!! なんで、なんで!!!!』
『あなたといた方が、なんだか楽しそうですから』
『はーい。お帰りなさい』
どんな時だって、入る場所に居たんだ。
「それだけでいい」
もう話すことはない。勇気を振り絞るのは戦いの前だけで良い。
袖女に背を向け、ブラックを連れて玄関まで行く。後は外に出るだけ。
「……待って!」
その時何をしていたのか、何を考えていたのかは正直、自分でもわからない。ただ後ろから近づいてくる袖女に気づかず、反射的に振り向いて、袖女の顔が目の前にあって
……
「…………」
静寂が、そこにはあった。
「……ぷはっ……えへ……」
袖女の顔は真っ赤だ。ベッドの上で、風呂の中で毎晩見た表情。
「……行ってきます」
「……行ってらっしゃい」
何があったのかはご想像にお任せしよう。が、ただ1つ言えることがある。
今なら、誰にも負ける気がしない。
次は深夜1時からー