ふわふわの後、いちゃいちゃ
初めてですよ! ここまで甘いのを書いたのは!
1周回って冷静になった脳を回しつつ、物理的にも頭を回して周囲を確認する。
よく見てみると、目が覚めて、ぱっと見ではわからなかった部分もよくわかる。
濡れているのはベッドだけでなく、床の1部分も濡れていたらしく、水か何かが染み込んでできたシミが残っている。
そして、何よりも左肩に感じる重み。体が重いとかそういうのじゃなく、物理的に何かが乗っかっている。ひっついている重み。
「袖女……」
「んみゅ……んー……」
袖女が"全裸"で添い寝していた。もう一度言う。"全裸"で、である。
そして、俺も全裸。昨日の夜のことは覚えていないなんて、そんな都合の良いこともなく、めちゃめちゃ鮮明に脳の記憶保管庫に保存されていた。
(やっちまったのか……)
まさかこんな形で、しかも戦争前に朝チュンを迎えるとは思わなかった。死亡フラグも良いところである。
そんなこんなで、昨晩のことを思い出し、悶えているところに、袖女がゆっくりと閉じていた目を開けた。
「んはぁ……あ、おはよ……」
起きた袖女はあたりを見まわさず、いの1番に目に入った俺に挨拶をする。まだ寝ぼけているのか、声色はかなり甘ったるい。
(その声はやめてくれ……また思い出しちまう)
「んう……はっ! 時間……」
寝起き状態から何とか覚醒した袖女はベッドの近くにあるデジタル時計を手に取り、時刻を確認する。
「もう……1時過ぎ……!? ご飯の準備……や、いっか、今日ぐらい」
昼過ぎだとわかった途端、いつもの癖で家事をしようとした袖女だったが、俺が横にいるのを思い出し、焦った顔を崩して、再び俺に抱きついた。
「……どうでしたか?」
「……何がだ」
「昨夜のことです……気持ちかったですか?」
顔を真っ赤にして、恥じらいながらそう聞いてくる。さっきから焦ったり赤らめたり、相変わらず飽きない女だ。それに、その問いに対する返答は、起きる前から決まっている。
「……俺の覚えている限りで、最高の夜だったよ」
「……1番?」
「あ? いや、だから最高の……」
「1番?」
「……ああ、1番の夜だった」
「……えへへ」
赤らめながら嬉しそうに笑う袖女。……正直言ってかわいいし……
(……えっろ)
官能的だと思ってしまった。
「……あ」
だから、これは袖女が悪い。
「……お前のせいだぞ」
「ん……そうですね。責任は取ります。だから……」
すると、袖女は俺に馬乗りになり、真っ赤な顔を一切隠さず、潤んだ瞳をこっちに向ける。
「……1番の朝にしましょ?」
マジ1番でした。