表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
718/783

不明

「し、しかし……」


 桃鈴様からの誘い。普通なら、それがどんな場所であろうと、即座に返答し、ついていったところではあるが、今回ばかりは話が違う。死が付きまとう戦争なのだ。親に確認を取らないといけないのは当然のことであり、それに親が合意しないのも当然のことである。


「親御さんのことなら心配ありません。既に私から合意をとっています。遠慮なく自分の思いを優先してくださいませ」


 横から異能大臣のそんな言葉が耳に入る。


(既に確認を? 桃鈴様は前日以上前からこのことを考えていたのか?)


 俺たち4人に三山武。戦争に連れて行くのなら申し分ないメンツではあるが、所詮は超高校級レベルならという話であり、プロとの差は神奈川派閥での件と黒ジャケットの件で痛感した。桃鈴様もなんとなく理解しているはず。


(なのに、なぜまだ私たちを誘ってくださる? そもそもなぜ親たちはこのことを了承したんだ?)


「自分はやりますよ! 東京派閥に三山武ありってところを見せてやりてぇ!」


「俺もやります!」


「……私も」


 こういった件に初めて関わることになる三山は食い気味に了承し、もともと頭が弱い優斗、桃鈴様に特に盲目的な友隣も続く。しかし、そこから先は続かず、俺と宗太郎は言葉を紡ぐことができずにいた。


「……? お前らどうしたん?」


 いつまでたっても口を開かない俺たちに優斗が声をかける。その声色は疑問に満ち溢れており、この違和感に気づいていないようだった。


「……すみません。少し、2人で風に当たってもいいでしょうか」


「……いいよ! ゆっくり考えて!」


 桃鈴様から了承をもらい、宗太郎を連れて、病室の外の廊下に出た。


「宗太郎。今回の件……」


「おかしい……よな?」


 やはり、俺と同じく、宗太郎も今回の違和感に気づいていた。そして、その原因も大方わかっていた。


「異能大臣だよな?」


「ああ、間違いない……それなら、すべての辻褄が合う」


 桃鈴様は本来心優しいお方だ。私たちがお願いしてついていくことはあれど、自身から来いとは中々言えないタイプ。なのに……


「……どうする? 断ってみるか?」


「それは論外だ。異能大臣にわざわざ桃鈴様と2人っきりになるチャンスを与えているようなものだし」


「じゃあどうするよ?」


「……今は了承するしかない。だが宗太郎。この件は俺たちだけの秘密にしておこう。変に3人に話して、混乱させては本末転倒だからな……お互いに異能大臣を監視していこう」


 再び病室に戻った俺にできることは、「はい。分りました」と言うことだけだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ