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勝率、オタ活、収集中!!

 ひっさしぶりでーす!! 明日も投稿するよ〜

『勝てない』


 戦争をする側。仕掛ける側と言うものは、ある程度勝算があり、何より、勝つために仕掛けている。なのに、事実上の相談所から告げられたのは、確実に勝てないと言う一言。


 普通なら少しは取りみだしそうなものだが、ロカは赤い髪をたなびかせ、ポーカーフェイスを崩さなかった。


「では、その理由は?」


「簡単な話じゃ。ワシが()()すぎた」


 その言葉に、ロカのこめかみがピクリと反応する。


「……つまり、おじいさまがもっと若ければ、勝つことができたと?」


「正確には、もっと時期が早ければ……じゃな。上の奴らは早く決断できん奴らばっかじゃったからのう」


 あまりにも横暴。あまりにも自分本意。人数差や技術力等の差ではなく、あくまで自分が老いたから勝てないと言い切った震巻にロカは破顔して返答した。


「ふふ……さすがですねおじいさま。自分が弱くなったから戦争で負けると言い切れるなんて……」


「グヘヘ……あ、弱くなったとは言っておらん! 老いたと言っておるんじゃ! そこ重要じゃからな」


「すみません。ですが……私たちはそれほど頼りないですか?」


「うむ。頼りない」


 あまりにもはっきりと、ロカの目を見据えて言い切った震巻を見て、ロカは何を納得したのか、数秒経ってからうんうんと頷いた。


「おじいさまの意見は理解できました。私と概ね意見は変わらないのも……その上で、結論は私と相反するものだと言うことも」


「相反する……つまり、ロカは勝てると思っとるんじゃな?」


「ええ、もちろん」


「なぜ――――」


 その瞬間、ピロン。と廊下中に響くスマホの通知音。それを聞いたロカは、ズボンのポケットからスマホを取り出した。


「……ふふ」


 スマホを見て、ロカはわざとらしい笑みを浮かべる。どうやら嬉しい報告だったようだが――――


「おじいさま。先ほど言いかけたことですが……なぜ勝てると思っているのか。を聞きたかったんですよね?」


「……うむ」


 震巻にスマホの画面を見せる。そこにはこう書かれていた。


『「黒ジャケット」の任務の承認を確認。日程をご確認の上、続報をお待ちください』


「……これは」


「闇サイトを使って、秘密裏に黒ジャケットを確保しました。すでにサイトの人間を通してこちらの事情も話し、協力関係を築けています……が、まさか、おじいさまが彼を知らないなんて、そんなわけないですよねぇ?」


 いくら隠居していたとは言え、黒ジャケットと言う名前には聞き覚えがあった。震巻の覚えている限りでは、東京派閥からのお尋ね者で、大派閥を点々としながら、いまだに確保されていない犯罪者。


(強いとは聞いているし、経歴から見ても強いんじゃろうが……そこまでか?)


 震巻からすれば、大派閥出身の犯罪者など、腐るほど見てきた。それこそ朝食を食べるかのように、毎日、そのレベルの犯罪者をつぶしていた頃もあった。


 そんな震巻から見て、見た目を確認できるのが画面の中の写真だけとは言え、まだ高校生程度のガキが、戦争の勝敗を左右するほどの強さを持つとはとても思えなかった。


「……そこらの有象無象とは違いますよ。この子は」


「どう違う?」


「それは……実際に見てもらった方が早いかと」


 スマホの電源を急に切ると、ロカは震巻に背を向け、その場を後にした。









 ――――









「んふふ……ヒヒ……ふへ……」


 ああだめだ。家に戻るまで我慢していたのに、やっと、彼に会えると思うと、笑みが、いやニヤケが止まらない。


 初めて会ったあの日から、私の心の傷はみるみるうちに、あなたに癒されていった。私にとってあなたは万能薬(エリクサー)。なくてはならない存在なの。


「そうよ……そうなの。私たちは、つながる運命……」


 見て。これを見て。全てあなたのために集めたの。


 非公式で発売されたグッズは当たり前のようにコンプリートしているし、鑑賞用、保管用、いろいろと大事なことに使う用でそれぞれ3つ以上は購入している。


 それだけじゃない。あなたが触れたとされる瓦礫。あなたがはたき落とした蚊の死骸。あなたが殴り殺した犯罪者の皮膚の一部。あなたが、あなたが、あなたが――――


 とにかく、あなたのことが大好きなの。大好き。大好き。だいすき。


 でもわかってるの。こんなのは偽物だって。


 私が心の平穏を保つためだけにしている。何の意味もない行為だって。


「ああっ! でもいざ出会って、彼の前で粗相してしまったらどうしましょう!?」


 こちら側が呼んでおいて、いきなりの粗相。そんなことをしてしまったら、恥ずかしさと申し訳なさのあまり、お腹の胃のあたりを中心に爆発してしまう自信がある。しなければならない。無礼を働いたのだから。





 でも、でも、もし、あなたがその無礼を許してくれるなら……





「そ、その後お願いして、つ、ツーショット写真とかぁ!? う、うへっ! うへへへへ!!!!」





 私、龍ヶ崎ロカ19歳。絶賛オタ活中。







 








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