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ついつい流れで……

 最初は黒のクイーン視点、その後に浅間ひより視点です!

 神奈川派閥とその外を繋ぐ関所付近。本当ならば建物が立ち並び、人通りが激しいはずのその場は、もはや本当に建物が立ち並んでいたのかわからないほど、粉々に瓦解し、まるで世紀末、まるで爆心地のような風景になっている。


 爆心地のようになった関所付近の中心。そこには、普通の神奈川派閥なら、どこにあってもおかしくない大きめのドームが形成されていた。


 普通なら違和感のないドームだが、木っ端微塵と言えるまでに崩壊した街のせいで、逆に違和感ありまくりになってしまっていた。


 しかし、そんなドームももはや崩壊寸前。それもたった1人による犯行だと言うのだから驚きだ。


「ごほっ……がほっ……」


(……くそ……想像以上に……想定以上だった……)


 そのドームの瓦礫から、息も絶え絶えとしたようすで体を出す私、黒のクイーン斉藤美代は高速で頭を回転し、現状の打開策を模索していた。


(どうしてもあのスピードに対応できない……)


 もはやあのスピードには対処できない。そう考えた方が良いだろう。だが、それは田中伸太の一撃をフリーでまともに受けてしまうことと同義なのだ。


 しかも、一撃のパワーが半端ではない。その証拠に、肋骨が4から5本ほどに加えて、この首の痛み。おそらくだが、首の骨か筋肉に多大なダメージが入ってしまっている。


(しかもこれを()()を使った上から通してきてる。私と彼のスキルが似ている時点で、中和される可能性は想定していたけど……まさか、その上でここまでの攻撃力を有しているなんて……)


 どうにかできる可能性はゼロでは無いだろうが、それでもかなり低い。


(やるしかないのか……?)


 が、体からプチプチと何かが切れる音を響かせつつも、瓦礫からむくりと顔を出し、田中伸太の姿を見た瞬間、先ほどまで私が考えていたことは霧となり霧散し、とある1つの疑問が浮かんだ。









 ――――









「すっご……」


 彼のアッパーカット1発で半壊したドームを眺めながら、これまで何度言ったかわからない感嘆の言葉を漏らす。


 本当にマジで、彼は目を離すとどんどん変わっていく。初めて出会った時と今を比べたら、ダンゴムシとライオンぐらいの差があるだろう。


(……いや、今の例えはうまくなかったですね)


 自分の中で勝手に反省しながらも、私の感情は未だに感嘆の感情を感じていた。


(本人以外から見ても明らかにわかる力のパワーアップ……しかも、今までのようにスキルの幅が広がったり、新たな力を手に入れたとか、そんな感じじゃない……)


 もっともっと、基礎的な部分が上がったような気がする。


 と、そう思ったその時であった。おもむろに彼が服を脱ぎ捨て、これまで激戦を共にしてきた歴戦の肉体をあらわにしたのは。


 急に目の前に現れた男の上半身に一瞬恥じらいを覚えるも、そのあまりの筋肉質な体に、恥じらいは驚愕に変わった。


(ちょっと前に見た時は……なんか……こう……良い意味でザ・少年って感じだったのに……)


 1年や2年ぶりに見たとかならともかく、私が1番最後に見たのは2ヶ月ほど前のことだ。そんな短期間で人間の体はここまで変わらない。


(一体何が……でも)


 予想外に予想外が上塗りされるこの戦場で、ただ1つ明らかなことがある。









((なぜ急に上裸じょうらに……?))









 黒のクイーンと浅間ひより。交わらなかった2人がハモりと言う名の交わりを見せた瞬間である。


 




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